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黒い国産のよくみかける自動車に乗せられた。
正直なところ、雪さんに車の運転ができるのか少し不安だったけれど、丁寧な運転で夜道を進む。
オレは彼女に、いくつかの質問をした。
「雪さんは、制作者の知り合いなんですよね?」
「うん。そう」
「制作者というのは、なんなんですか?」
「名前の通りだよ」
「でも、制作者には敵がいる」
そうノイマンが予想していた。
「誰にだって敵はいるよ」
「制作者の敵って、誰ですか?」
「その質問には答えられない」
「どうして?」
「純粋ではなくなってしまうから」
「なにが?」
「光が。あるいは、それをみる瞳が」
「いちいち、比喩でしか答えられないことなんですか?」
「うん」
オレはため息をつく。
それから、質問を変えた。
「ヒーローバッヂが、悪魔のプレゼントって話をきいた。本当ですか?」
雪は前を向いたまま、首を振る。
「それは違う」
「ヒーローバッヂは、プレゼントと関係ない?」
「否定したのは、そっちじゃない」
彼女は微笑む。
「私たちはあれを、決して悪魔のプレゼントとは呼ばない」
「名前のないプレゼント」
「ええ」
「ヒーローバッヂがプレゼントだってのは、否定しないんですね」
「どうかしらね」
オレはため息をつく。
「ヒーローバッヂが、悪魔のプレゼントって話をきいた。本当ですか?」
雪は前を向いたまま、首を振る。
「それは違う」
「ヒーローバッヂは、プレゼントと関係ない?」
「否定したのは、そっちじゃない」
彼女は微笑む。
「私たちはあれを、決して悪魔のプレゼントとは呼ばない」
「名前のないプレゼント」
「ええ」
「ヒーローバッヂがプレゼントだってのは、否定しないんですね」
「どうかしらね」
オレはため息をつく。
「あのゲーム、なんの意味があったんですか?」
雪さんもみさきを救いたいのなら、直接オレに会いに来てくれればよかった。わざわざあんな、無茶苦茶なゲームをやらせる必要はなかった。
「光を集める必要があった」
と雪さんは言う。
「あの子は君にしか救えない。でも君にだけは救えない」
相変わらず、わけがわからない。
「どういう意味ですか?」
「そのまんまだよ」
「そのまんまだと、単純に矛盾しています」
「そう」
雪さんは頷く。
「矛盾している。だから、この物語にはバッドエンドしか存在しない。それを書き換えなければいけない」
彼女はウィンカーを出し、車線を変更する。それから少しだけ強くアクセルを踏んだ。
「これはとても感情的な問題なんだよ。数式みたいに理性的な話じゃないんだ。当然のように矛盾をはらんでいる。取り除きようのない問題だ。矛盾を呑み込んでそれでも先に進める、より大きな光が必要だ」
※
やがて雪さんの黒い国産車は、なんでもないような道端で停まった。
「ここだよ」
と雪さんは言う。
「そのマンションの中に、あの子はいる」
でも、言われなくてもわかっていた。
――見覚えがある。
オレは、この道を知っている。
ここは。何度も繰り返し、バスの窓からみた。
みさきが血を流していた路上だった。
ふと時計をみると、8月24日まで、もう10分を切っている。
雪見/イクミ @marmalade0193 2014-08-23 23:51:48
「光を集める必要があった」
光=ソル?
いそでぃ@3D小説参加中 @equi_libria 2014-08-23 23:52:37
もっと光を……
タケヲ @tkyk_enisi 2014-08-23 23:52:30
久瀬くんよく動くなww
ラピス @rapiss 2014-08-23 23:55:21
純粋ではなくなる・・・「敵」を「敵」と認識してはいけない?
スター(ロボ)@And Game制作 @Sutaa 2014-08-23 23:58:14
さーもりあがってまいりましょう!!
光輝@oculus泥酔 @koukiwf 2014-08-23 23:58:57
飛鳥山に向かってるのに子猫見っけて
一瞬目的を忘れそうに
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