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■久瀬太一/8月23日/23時50分
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■久瀬太一/8月23日/23時50分

2014-08-23 23:50
    久瀬視点
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     黒い国産のよくみかける自動車に乗せられた。
     正直なところ、雪さんに車の運転ができるのか少し不安だったけれど、丁寧な運転で夜道を進む。
     オレは彼女に、いくつかの質問をした。
    「雪さんは、制作者の知り合いなんですよね?」
    「うん。そう」
    「制作者というのは、なんなんですか?」
    「名前の通りだよ」
    「でも、制作者には敵がいる」
     そうノイマンが予想していた。
    「誰にだって敵はいるよ」
    「制作者の敵って、誰ですか?」
    「その質問には答えられない」
    「どうして?」
    「純粋ではなくなってしまうから」
    「なにが?」
    「光が。あるいは、それをみる瞳が」
    「いちいち、比喩でしか答えられないことなんですか?」
    「うん」
     オレはため息をつく。
     それから、質問を変えた。
    「ヒーローバッヂが、悪魔のプレゼントって話をきいた。本当ですか?」
     雪は前を向いたまま、首を振る。
    「それは違う」
    「ヒーローバッヂは、プレゼントと関係ない?」
    「否定したのは、そっちじゃない」
     彼女は微笑む。
    「私たちはあれを、決して悪魔のプレゼントとは呼ばない」
    「名前のないプレゼント」
    「ええ」
    「ヒーローバッヂがプレゼントだってのは、否定しないんですね」
    「どうかしらね」
     オレはため息をつく。
    「あのゲーム、なんの意味があったんですか?」
     雪さんもみさきを救いたいのなら、直接オレに会いに来てくれればよかった。わざわざあんな、無茶苦茶なゲームをやらせる必要はなかった。
    「光を集める必要があった」
     と雪さんは言う。
    「あの子は君にしか救えない。でも君にだけは救えない」
     相変わらず、わけがわからない。
    「どういう意味ですか?」
    「そのまんまだよ」
    「そのまんまだと、単純に矛盾しています」
    「そう」
     雪さんは頷く。
    「矛盾している。だから、この物語にはバッドエンドしか存在しない。それを書き換えなければいけない」
     彼女はウィンカーを出し、車線を変更する。それから少しだけ強くアクセルを踏んだ。
    「これはとても感情的な問題なんだよ。数式みたいに理性的な話じゃないんだ。当然のように矛盾をはらんでいる。取り除きようのない問題だ。矛盾を呑み込んでそれでも先に進める、より大きな光が必要だ」
     
           ※

     やがて雪さんの黒い国産車は、なんでもないような道端で停まった。
    「ここだよ」
     と雪さんは言う。
    「そのマンションの中に、あの子はいる」
     でも、言われなくてもわかっていた。
     ――見覚えがある。
     オレは、この道を知っている。
     ここは。何度も繰り返し、バスの窓からみた。
     みさきが血を流していた路上だった。
     ふと時計をみると、8月24日まで、もう10分を切っている。
    読者の反応

    雪見/イクミ @marmalade0193 2014-08-23 23:51:48
    「光を集める必要があった」
    光=ソル?  


    いそでぃ@3D小説参加中 @equi_libria 2014-08-23 23:52:37
    もっと光を……  


    タケヲ @tkyk_enisi 2014-08-23 23:52:30
    久瀬くんよく動くなww  


    ラピス @rapiss 2014-08-23 23:55:21
    純粋ではなくなる・・・「敵」を「敵」と認識してはいけない?  


    スター(ロボ)@And Game制作 @Sutaa 2014-08-23 23:58:14
    さーもりあがってまいりましょう!! 


    光輝@oculus泥酔 @koukiwf 2014-08-23 23:58:57
    飛鳥山に向かってるのに子猫見っけて
    一瞬目的を忘れそうに





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