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『おい、塩』
『塩?』
『取ってくれって言ってんだよ』
『ありませんよ。店員さーん』
『そこにあんだろうが』
『どこですか?』
『そこ』
『これ?』
『それだよ』
『これ、スノーグローブですよ』
※
ボイスレコーダーと目の前のニールが、同時に舌打ちした。
「そこまででいいです」
とオレは告げる。
「ニール。お前がスノーグローブを塩入れだと勘違いしたのは間違いない。昨日の21時過ぎ、あのレストランで、だ」
ニールは大きなため息をつき、それから首を振る。
「お前が言ってんのは状況証拠ばかりだ。それだけじゃオレが先にバーに行ってたって証拠にはならない。同じ商品を別の場所でみていたのかもれしないし食卓にあったスノーグローブが塩入れに似ていたのかもしれない。それにバーに行っていないことが、ここできぐるみに入っていた証拠にはならない」
「でも、極めて疑わしい」
証拠が充分じゃなくても。
「現場で倒れていた少女が、もうすでに凶器じゃなくなったナイフを握っていただけで犯人扱いされるよりもずっと、疑わしい」
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ」
「そうかな。センセイはナイフで刺される前にもう亡くなっていた。だとすれば犯人はどうしてナイフでセンセイを刺したんだ? 山本が犯人だと偽装するためだと考えるのがいちばん説得力がある。そして、それが可能だったのは、この中じゃニール、お前だけだ」
ニールはつまらなそうに首を振る。
「いいから、あとは警察に任せてもう帰れよ」
「そういうわけにはいかない」
――洋館の真相に、お前が望むものが眠っている。
バスの中の少年ロケットは、確かにそう言った。
オレはここで、真相を解き明かさなければならない。
「ニール。お前が犯人なのか?」
「オレが頷けば、満足か?」
ニールは笑う。こちらを馬鹿にしたように。
「じゃあもう、オレが犯人でいいよ」
――なんだ、それ。
「ほら、探偵ごっこはおしまいだ。さっさと帰りな」
彼はソファの背もたれに身体を預け、こちらを追い払うように手を振る。
これで、真相だってことでいいのか?
すっきりしない。
「どうしてセンセイを殺したんだよ?」
「寒かったんだ」
「そんなことが理由になるか」
「いちいち理由なんて捜してんじゃねぇよ。ただの気まぐれでなにが悪い?」
そんなの、もう滅茶苦茶だ。
――ニール。
本当に、こいつが犯人なのか?
こいつはいったい、なにがしたいんだ?
一体、オレはなにを言えばいい?
わけがわからなくて、ただニールを睨む。
そのとき。部屋の扉が開いた。
※
入ってきたのはアルベルトだ。
「あ段の桶の中を調べていた」
と彼女は言う。
確かに、彼女はそうすると言っていた。
「棚の裏に監視カメラがあった。この部屋を撮っていたものだろう」
「じゃあ――」
それをみれば、すべての真相がわかる!
「ふざけるな!」
とニールが叫ぶ。
「中をみたのか? お前は誰の味方なんだ!」
――誰の味方なんだ?
アルベルトは、自分の味方だと言いたいのか?
彼女は首を振る。
「データはなかった」
「え?」
どうして。
「すべてPCに保存されるようになっていた。だがそのPCは、壊されている」
彼女は部屋の前方に視線を向ける。
そこには確かに、壊れたPCがある。
「は」
とニールが笑う。
「ははっ。残念だったな。さぁ、もうどうしようもないぜ?」
アルベルトは淡々と告げる。
「代わりに、友人に連絡を取っておいた」
友人?
アルベルトはこちらの顔をのぞき込む。
「あの光景、『こちら側』で使うのはちょっと面倒なの。貴方が真相を想像できたなら、その映像をみられるはずよ」
光景?
定休 @teiku130
これまさか光景放送ないよな?
子泣き中将@優とユウカの背後さん @conaki_pbw
4コマと同じ理屈か!
アマキー @RaReRua
なんか動きが妙と思ってたけど、ニール誰かを庇ってる? でも誰を庇うんだ、一部の頃からの友人っていうと……ノイマン、八千代あたり?
こっしー @kosshi3d
メリー犯人説(ニールがかばってるから)
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