はせがわみやび先生の最新『FFXI』ノベライズ作品が発売決定!
およそ6年ぶりとなる『FFXI』ノベライズ作品、『ファイナルファンタジーXI ~終わりなき大地の唄~』。
その発売決定を記念し、著者のはせがわみやび先生に、作品についてお話をうかがいました。
はせがわみやび先生プロフィール
埼玉県浦和在住。物語とゲームがあれば、他に娯楽はいらないという人。既著は『新フォーチュン・クエスト リプレイ』(TRPGリプレイ)。『グランブルーファンタジー』シリーズ、『ファイナルファンタジーXI』シリーズ(ファミ通文庫)、『英雄伝説 空の軌跡』(ファルコム BOOKS)(以上ノベライズ)。『ファイナルファンタジーXIV 新生エオルゼア冒険記─英雄の卵たち─』(ファミ通BOOKS)(プレイ日記)、『13番目の僕の魔女』『暁の夢使いたち』など。
はせがわみやびのHP:http://plaza.harmonix.ne.jp/~miyabi/
Twitter:@miyabi_hasegawa
◯およそ6年ぶりとなる『FFXI』新作小説の執筆にあたって
ノベライズ――特にオンラインゲームのノベライズというのは、いつ終わりがくるか分かりません。ですので、ノベライズ作品に取り組む際は、いつ終わってもいいように、毎巻、読者の皆さんが「物語の区切り」を感じられるように書いています。
ただ、アルとイーリスの物語に関しては、「ちゃんとした終わりを見せて欲しい」という意見を、読者の皆さんからいただきました。ですので、今回は、アルとイーリスの物語の「終わりらしい終わり」を描きたいと思っています。
ファミ通文庫
『ファイナルファンタジー11 祈りの風』
発売日:2002/12/18
◯今作のテーマ
「ヴァナ・ディールは永遠に――」がテーマです。
これは、ヴァナ・ディールという世界はなくなるわけでも、終わるわけでもなく、これからもずっと続いていくよ、ということを意味しています。
さらに、これからは「冒険者達に委ねられた世界」が始まるということも示唆しています。
◯今作で描くこと
今作は、ノベライズといっても、『ヴァナ・ディールの星唄』の物語を追っているわけではありません。
星唄そのものが1冊では収まらないボリュームというのもありますが、アルとイーリスは、ヴァナ・ディールで描かれるすべての物語や出来事を体験していないというのも理由です。
星唄のシナリオEDの後ですので、クフィム島やミザレオ海岸に現れた渦(Undulating Confluence)が、小さくはなっているけれども、まだ消えきっていない頃――ヴァナ・ディールの星唄で描かれた事件の少し未来を描いています。
そして同時に、「アルとイーリス」の“未来”も描いています。
ここでいう未来ですが、ただ何も変わることなく通り過ぎていく時間の先を、“未来”とは言えないと思うんですよ。
読者の皆さんが「おっ?」と思うような、ヴァナ・ディールの可能性と未来図を見せたいです。
もちろん、その未来を担っていく主役は、他ならぬ読者の皆さん――冒険者ではあるんですけれども。
◯主人公はアルとイーリス?
今までと変わらず、アルとイーリスは冒険者として登場します。もちろん、アイテムレベル装備をしっかりと着込んで(笑)。じゃないと、エスカ世界のモンスターに太刀打ちできませんからね。
あとは、アルとイーリス以外にも、かつての仲間たちが登場します。誰が出てくるかは、楽しみにしていてください。
ファミ通文庫
ファイナルファンタジー11 永遠の絆
発売日:2003年6月20日
◯読む前にミッション『ヴァナ・ディールの星唄』プレイは必須?
一応、ネタバレをせずにネタバレを描いていますので……プレイをしていなくても楽しめると思います。
ミッション『ヴァナ・ディールの星唄』で何が起こったのかなどは、直接描写はしていません。
ただ、ミッションでの冒険者の行動は、決して無駄ではなかったというのは強調したいですね。
◯最後に、新作を楽しみにしている読者の皆さんに一言
発売は11月末ですので、早い人はミッション『ヴァナ・ディールの星唄』を終わらせている方もいるんじゃないでしょうか。その後に読めば、より物語を楽しめると思います。
もちろん、先ほどもお話したようにミッションのネタバレをしているわけではないので、ミッションを進めていない方も安心して読んでいただけると思います。
これまで私が書いた『FFXI』ノベライズ作品を読んでない方や、ファンタジー小説が好きな方も楽しめるものになっていると思いますので、ぜひ手にとって読んでいただければうれしいです。
『ファイナルファンタジーXI ~終わりなき大地の唄~』
発売日:2015年11月30日
定価:(本体1300円+税)
◯はせがわみやび先生のFFXI近況 その①
『FFXI』を始めたのは、PCのβ版からですね。そこから休まず地道にプレイをしています。
キャラクターは、Loyという名前で金髪のヒューム男。ワールドは、バハムートです。
ベーシックなストーリーを書くために、周囲の勧めもあってバストゥーク共和国から始めました。
ちなみに名前の由来は、キーボードの右手だけで打てる文字を組み合わせたんですよ。
でも……実際にゲーム中で自分のキャラクター名を打つ機会ってないんですよね(笑)。
◯はせがわみやび先生のFFXI近況 その②
プレイスタイルは、今も昔もソロを楽しんでいます。
ですので、ゴリ押しできる青魔道士と、神獣に戦闘を任せられる召喚士がメインジョブみたいになっていますね。
そういえば、つい最近、青魔道士のアーティファクトを全部位アイテムレベル119にしたばかりなんです!
コツコツとためたエミネンスポイントをレム物語に交換してようやくです。
今は召喚士のアーティファクトをアイテムレベル119にするのに取り掛かっています。
おかげで、ヴァナ・ディールのほとんどの場所を、安心して探索できるようになりましたね。
◯執筆時の苦労
執筆前や執筆中に、担当編集者(FFXI未プレイ)とダンジョンの雰囲気や生息するモンスターを共有するため、ゲーム画面のスクリーンショットを撮りにいくんですね。
ただ、私自身の活動する時間帯が深夜であったり、所属するコミュニティーも限定的だったので、どうしても一人で探索することになるんです。
そうすると、目的の場所に辿り着く前に戦闘不能になったりすることもあって……それが苦労といえば苦労でしょうか。
でも、書き手としては当然ですが、ゲーム内の物語や世界を可能な限り自分で体験したいので、何度も戦闘不能にはなりましたが、それ自体を楽しんでいましたよ。
ただ、タブナジア周辺のエリアに関しては、カザムやラバオに行くのと比べ、プロマシアミッションを進めないと辿りつけないため、大変でした。
結局、タブナジアを描写するシーンについては、友人にスクリーンショットや動画を撮ってきてもらい、それをもとに執筆しました。
◯お気に入りのNPC
やっぱりシャントットですね。
作品の中でも非常に扱いやすいキャラクターです。
どちらかというと、自分の執筆する物語はおカタい方向にいってしまうため、そういう物語の中で、シャントットのような「狂言回し役」がいるのは非常に楽ですし、楽しかったですよ。
例えばですが、「暴走するキャラクターが一度、すべてを壊した」後に、主人公たちが「壊れたものを元通りにするために奔走する」という物語は、僕にとって組み立てやすいんです。
そんなシャントットみたいなキャラクターは、サンドリア、バストゥークには見当たらないですよね。あえて挙げるなら、サンドリアはトリオン。バストゥークは……ブリジッドでしょうか。ブリジッドは戦えないですけどね。
そう考えると、やっぱりおかしいのはウィンダスに固まっていますね(笑)。種族を表す「怯懦」が伝わりにくいキャラクターばかりです。理屈をつけるのであれば、「臆病」だからこそ、素っ頓狂なキャラクターが多いんだ、ということでしょうか。