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  • お知らせ「言論アリーナチャンネル」の無料チャンネルへの運用移行

    2022-11-30 15:00
    日頃より「言論アリーナチャンネル」をご利用いただき誠にありがとうございます。

    「言論アリーナチャンネル」は【2022年12月22日 16時(無料化日時)】をもちまして、
    月額有料チャンネルとしての運用を終了し、無料チャンネルとして運用いたします。
    今度とも、変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

    なお、チャンネル会員の退会手続きは、閉鎖月にシステム側でおこないますので、
    お客様による退会手続きは不要です。

    また、【2022年11月30日 16時(新規入会停止日時)】をもちまして、
    チャンネルへの新規入会を終了とさせていただきます。

    【2022年12月21日 16時(閉鎖日時の24時間前)】から、
    有料コンテンツ(動画、生放送、ブロマガ等)を
    購入できなくなります。

    何卒ご了承ください。
  • 2014年12月第4週

    2014-12-31 14:57
    めるまがアゴラちゃんねる、第122号をお届けします。
    配信が遅れまして大変申し訳ございません。

    また、めるまがアゴラちゃんねるは、2014年末を持ちましてしばらく「休刊」します。読者の皆さまには長い間、愛読していただき、感謝いたします。ありがとうございました。また、復刊した場合はどうかよろしくお願い申し上げます。



    コンテンツ

    ・今週の池田信夫
     アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事を紹介します。

    ・ゲーム産業の興亡(134)
    パソコン向けコンテンツ流通プラットフォーム「Steam」の強み
    新清士(ゲームジャーナリスト)


    アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I

    アカシックライブラリー(旧アゴラブックス)は、あなたの原稿を電子書籍にして販売します。同時にペーパーバックとしてAmazon.comサイト上で紙の本も販売可能。自分の原稿がアマゾンでISBN付きの本になる! http://bit.ly/yaR5PK 自分の原稿を本にしてみませんか?


    今週の池田信夫

    憲法改正は「大改革」ではない
    http://agora-web.jp/archives/1625830.html
    安倍首相の組閣後の「戦後以来の大改革進める」という記者会見に違和感を覚えた。憲法改正が困難であることは事実だが、それよって具体的に何が「改革」されるのだろうか。

    アベノミクスは政府債務を踏み倒す「金融抑圧」
    http://agora-web.jp/archives/1625599.html
    井本省吾氏の記事に補足しておく。問題のピケティの発言は、「日本政府は2〜4%程度の物価上昇を恐れるべきではない」というものだ。これは金融政策に否定的な彼には珍しいが、ねらいは景気対策ではない。

    靖国神社って何?
    http://agora-web.jp/archives/1575388.html
    安倍首相の靖国神社参拝が話題になっています。実際に行った小学生は少ないと思いますが、これは東京の九段にあります。都心なのに静かで緑の多い、美しい神社です。
    これは幕末に天皇家の社としてつくられ、「東京招魂社」と呼ばれていました。明治時代に靖国神社という名...

    アベノミクスの終焉
    http://agora-web.jp/archives/1621033.html
    今年の7?9月期のGDP速報値が、予想以上に悪かった。これを増税の影響だという人が多いが、それは誤りである。増税の影響は一過性なので、右の図(朝日新聞)の比較でもわかる通り、半年たつとGDPはプラスに戻るのが普通だ。増税率はほとんど同じなので、この差は消費税以外...

    吉田レジームと岸レジーム
    http://agora-web.jp/archives/1626090.html
    安倍首相の最大の目的は憲法改正だろうが、彼の祖父がそれに情熱を燃やした時代とは、国際情勢は大きく変わった。基本的なことだが、安倍氏が理解しているかどうか疑わしいので整理しておきたい。

    集団的自衛権と集団安全保障は違う
    http://agora-web.jp/archives/1626174.html
    来年の国会では集団的自衛権をめぐる論戦が始まるが、せめて本書に書かれている基礎知識ぐらい理解してほしいものだ。本書のQ31では、今年6月15日の「後方支援、独軍55人死亡 アフガン戦争」という朝日新聞の記事を取り上げている。これは「集団的自衛権 海外では」とい...

    リフレって何だったの?
    http://agora-web.jp/archives/1625935.html
    日経新聞の経済教室で、日銀の岩田副総裁が「レジーム転換が効果発揮」と書いています。レジーム転換ってよくわからないけど、彼は「2015年3月までに2%にならないと辞任する」と約束しました。その物価上昇率はどうなったんでしょうか?


    特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)

    ゲーム産業の興亡(134)
    パソコン向けコンテンツ流通プラットフォーム「Steam」の強み

    米Valveのパソコン向けのコンテンツ流通プラットフォーム「Steam」のクリスマスに合わせたホリデーセールが始まっている。年末まで、日替わりで、様々なゲームのディスカウント販売が行われる。

    このプラットフォームでは約3000タイトルのゲームのダウンロード販売が行われているが、ディスカウントは強烈で通常の時期の10倍以上の売り上げがあるといわれている。

    例えば、現在ディスカウントで販売されている米Bethesda Game Studiosのロールプレイングゲーム「The Elder Scrolls V: Skyrim(スカイリム)」を紹介したい。11年にXbox360とPS3用に発売され、全世界で1400万本以上と大ヒットしたものの、すでに家庭用ゲーム市場では、中古品が出回っており、新しくゲーム会社が売り上げを出すことは難しい。

    ところがパソコン版として、Steamでダウンロード販売を行うことで、現在まで、まだ購入したことのないユーザーに売り込むことに成功できている。しかも、価格を改定し、値段を安くして販売している。

    通常価格は、1980円だが、24日まで75%のディスカウントが行われており、495円で販売されている。筆者もこのゲームはクリアしているが、ファンタジー世界の一つの地域を自然も含めてすべて作り込んでいる巨大な世界観に、ゲームそのものも全体のボリュームが100時間は遊べる非常にスケールの大きなゲームで、高い評価を獲得している。それを500円で買えてしまうことを考えると、とてもお得な価格だ。


    ■追加コンテンツをユーザーが発表できる仕組みを整備

    家庭用ゲームとして商品寿命が終わったゲームを、ダウンロード販売することによって、寿命を延ばしている。また、家庭用ゲーム版を購入したユーザーが、再度パソコン版を購入することも期待されている。パソコン版ならではの機能があるためだ。

    「スカイリム」は家庭用ゲームに画質を最適化して作成されているが、高性能なパソコンで開発を行えば、より豪華なグラフィックスで楽しむことができる。

    また、ユーザーがゲームのデータの一部を改造することが認められており、そのデータをユーザー同士で共有することができる。Steamには、「Creation Kit and Steam Workshop」という機能があり、ゲーム側で対応すれば、どういうデータをユーザーが改造することができるのかの範囲を決めることができる。また、データの交換もSteam内で簡単にできるようになっている。

    人気があるのは、キャラクターの武器の追加データだ。MATY743氏が作成・公開している「Noldor Content Pack」は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」に登場するエルフ(Noldor)が使っている武器を再現したデータだ。甲冑や盾、剣などが追加されており、簡単な設定をするだけで、プレイヤーは自分のゲーム中にその武器を登場させることができる。

    ゲーム内に建物を追加するデータもある。「Water-fall Shack (2 Levels)」は、ゲーム中に登場する巨大な滝の近くに家を追加するデータだ。崖に設定された家からの眺めはよく、ゲームを探索する楽しさをさらに追加している。

    こうしたユーザーが作成したデータは、数千も登録されており、自由にデータを改変できない家庭用ゲーム版にはない魅力となっている。いくら、家庭用ゲーム版が大ヒットタイトルとなったといっても、まだまだゲームそのものを遊んだことがない人の方が多いため、掘り起こせる余地はまだまだあるということだろう。

    ゲームそのものも3年前のゲームはまだまだ陳腐化しておらず、魅力は減少していない。定期的に行われるディスカウントで、「スカイリム」は頻繁に目玉ゲームとして紹介されることが多い。


    ■ウィンドウショッピングをしたくなる多くのゲームの割引

    Steamで、ディスカウントされているゲームは非常に多く、また値引率も違い、価格も違う。また、数日ごとにころころと変わるので、ユーザーは自分が欲しいゲームが安くなっているのではないかと、ウィンドウショッピングに関心を持たせる傾向がある。ディスカウントされているのは、旧作ばかりではなく、今年発売になった新作も少なくない。

    11月に発売になったばかりのアラスカのイヌイットの民話をテーマにしたアクションゲーム「Never Alone (Kisima Ingitchuna)」は、24日まで、33%の値引率の991円で販売されている。同じく今年発売になった、トラック運転シミュレータの「Euro Truck Simulator 2」は、1月2日まで、75%引きの620円で発売されている。

    多くのゲームの価格設定は、ディスカウント後にも、1000円前後に設定されており、また、アイテム課金モデルのゲームは少なく、売り切り型のゲームが中心だ。Steamは、スマホのApp Storeや、Google Playといったものよりも価格コントロールをしている。

    開発者は50%前後の収入を得られるため、100円前後でも売り切り型の販売モデルが成り立ちにくいスマホゲームとの違いを生みだしている。売り切り型ゲームの開発者でも、一定の収益を得やすい環境を整備することに力を注いでいる。

    日本では、ゲームの中心は、スマホゲームに移っているが、世界的には、まだまだパソコンゲームの市場は十分にあり、販売が難しいと考えられてきている売り切り型のモデルの市場を、Steamは着実に築いている。パソコン市場から、売り切り型市場を守り続けているSteamの動きは、来年も、大きく注目され続けるだろう。



    □ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。

    新 清士(しん きよし)
    ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
    Twitter ID: kiyoshi_shin

  • 2014年12月第3週号

    2014-12-22 13:30
    めるまがアゴラちゃんねる、第121号をお届けします。
    配信が遅れまして大変申し訳ございません。


    コンテンツ

    ・今週の池田信夫
     アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。

    ・ゲーム産業の興亡(133)
    中国のガリバー企業テンセントの日本進出
    新清士(ゲームジャーナリスト)


    アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I

    アカシックライブラリー(旧アゴラブックス)は、あなたの原稿を電子書籍にして販売します。同時にペーパーバックとしてAmazon.comサイト上で紙の本も販売可能。自分の原稿がアマゾンでISBN付きの本になる! http://bit.ly/yaR5PK 自分の原稿を本にしてみませんか?


    今週の池田信夫

    「下剋上」をもたらす動機の純粋性 - 『二・二六事件と青年将校』
    http://agora-web.jp/archives/1613405.html
    朝日新聞の大誤報を「日本をおとしめる売国奴」などと罵倒する人が多いが、私は違うと思う。多くの現場の記者は、最初のうちは「アジア侵略の謝罪が足りない」という純粋な動機でやったのだろう。しかし動機がよければ、結果がよくなるとは限らない。

    安倍首相はなぜ増税を先送りしたのか - 『モラルの起源』
    http://agora-web.jp/archives/1624695.html
    総選挙は、景気の悪くなる前に解散した安倍首相の作戦勝ちだった。彼が極右だというのは誤解で、少なくとも経済政策に関しては、麻生首相を上回る「大きな政府」派である。米民主党左派のクルーグマンの助言を聞いたことでも、それは明らかだ。

    なぜ東洋で「法の支配」は失われたのか - 『鑑の近代』
    http://agora-web.jp/archives/1580119.html
    『「空気」の構造』でも書いたことだが、明治以降の官僚制度をプロイセンの行政法の影響だけで論じる通説には疑問がある。霞ヶ関の行動様式は、ウェーバー的な合理的官僚というより中国の科挙官僚(士大夫)に似ているからだ。
    しかし中国には法治国家の伝統がないので、霞ヶ関のゴリゴリの実定法主義はどこから来たのだろう──と疑問に思っていたのだが、本書でその謎が解けた。中国にも儒教の徳治主義だけではなく、韓非子などの法家の法治主義の伝統があったのだ。

    アベノミクスの終焉
    http://agora-web.jp/archives/1621033.html
    今年の7?9月期のGDP速報値が、予想以上に悪かった。これを増税の影響だという人が多いが、それは誤りである。増税の影響は一過性なので、右の図(朝日新聞)の比較でもわかる通り、半年たつとGDPはプラスに戻るのが普通だ。増税率はほとんど同じなので、この差は消費税以外...

    原油暴落と闘う日銀
    http://agora-web.jp/archives/1622561.html
    原油価格が暴落している。今夜10時の段階で1バレル66ドルと、半年でピークから4割下がった。これが10月の消費者物価指数(総合・コアCPIとも)の前年比上昇率が0.9%に下がった最大の原因だが、このときはまだ90ドル台だから、今後もCPIはさらに下がるだろう。


    池田信夫の【アゴラVlog】総選挙の争点から消えた「戦後レジーム」
    http://youtu.be/yFtMVi29D_I
    池田信夫の「アゴラ読書塾」講義より
    安倍首相が語る戦後レジームからの脱却ですが、驚くべきことに今回の総選挙の自民党マニフェストには自身あれほどこだわった集団的自衛権については全く触れられていません。戦後レジームの発端である「吉田茂」を描いた、井上寿一著「吉田茂と昭和史」をテキストに、「吉田ドクトリン」から連綿と続く現在日本の政治のわかりにくさを考えます。



    特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)

    ゲーム産業の興亡(133)
    中国のガリバー企業テンセントの日本進出

    先週、中国のインターネットサービス大手のテンセント(騰訊控股・深浅)が、日本とのゲーム会社の提携などについて、様々な発表を行った。

    12月6日、ガンホー・オンライン・エンターテインメントの「パズル&ドラゴンズ」の中国語版の配信を行う提携を発表。11日には、日本のゲームを中国に展開するだけでなく、中国のゲームを日本に展開するために、日本のソーシャルゲーム会社のエイミングとの資本業務提携を締結すると発表した。

    すでに、バンダイナムコゲームスが「ナルト」のパソコンのブラウザ版をテンセントと開発しているものも先週リリース開始。今年2月に提携を発表していたミクシィの「モンスターストライク」も、展開が始まった。


    ■世界最大規模にまで成長するテンセント

    98年に創業したテンセントは、現在、ソフトウェアサービスだけの企業としては、世界最大規模のゲーム会社で、時価総額は1490億ドルに達している。14年の4月から9月までの売上は92億ドルで、純利益で29億ドル稼ぎ出している。ゲームからの売上が58%という主力分野となっている。

    ゲーム部門のテンセントゲームスだけで、3000人の世界最大規模の開発チームを持つ。また、アメリカや韓国のゲーム会社などへの投資を積極的に進めている。例えば、韓国で成功しているメッセンジャーアプリの「カカオトーク」に出資している。

    同社は、元々は99年にパソコン向けのインスタントメッセンジャーサービスの「QQ」の展開を開始、04年にゲーム、メディア、eコマース、検索ビジネスに参入。10年には、パソコンゲームのプラットフォームとして、他社にも自社のプラットフォームへの参入を認める戦略をとった。

    04年前後から、中国ではインターネットカフェを中心に、パソコンゲーム市場が急激に立ち上がっていくのだが、テンセントは、MMORPG(大規模マルチプレイヤーオインラインRPG)のヒットゲームを続けて出し、急成長をしていく市場の中で、中国国内で独占的なシェアを獲得していった。現在では6割ものシェアを持つ独占的な状態になっている。

    11年にモバイルに参入、昨年8月にスマートフォン向けのLINEに似たメッセージングサービスの「WeChat」向けにゲームの展開を開始、今年に入って急激に、中国のスマホの普及に合わせて、ユーザー数を伸ばしており、先月には「50%を超えるシェアを持つ」という状態になったようだ。

    毎日QQを利用するユーザーは8200万人、WeChatが4680万人となり、同社のサービスへの登録ユーザー数は3億5000万人のユーザーを抱えている。
    国内市場の成長という強力な背景で、独占的なプラットフォームを作りあげた企業の強さを痛感させられる。


    ■IPを守るという面がつよい中国進出

    ポイントは、テンセントで展開する多くの日本のゲームは、そのまま展開されるケースは少ないというところだ。

    バンナムの「ナルト」の開発はテンセントで、バンナムは監修として参加している。日本側としてゲームのアイデアを監修し、映像などがちゃんと原作の世界観にマッチしているのかをチェックするという役割だ。

    「モンスト」は、日本側が中心になって開発したようだが、テンセントの側も開発に関わったようだ。「パズドラ」も、開発はテンセント側が中心になって「ゼロから作り直す」ことになるようだ。

    そこには理由がある。一つには、好まれるゲームの国民性の相違が大きい。日本ではスマホゲームの多くで、ガチャを利用してキャラクターやアイテムを「集める」といった点に力点が置かれる傾向が強い。中国では、他のプレイヤーとの対戦が好まれる。ユーザーが課金するポイントは、お金を払うと自分の能力を強くすることができるといった点に、集中する。そのため、日本でヒットしている状態のものを、そのまま、中国に持っていっても、成功は容易ではない。

    現地に合わせて、ゲームを作り直す必要があるのだが、中国のゲーム会社にしてみると、日本の企業と合同で開発するよりも、自社でゲームのIPとアイデアを中心に作り直した方が速いということになる。人件費の面でも日本より優位性があり、また、もはや技術的なアドバンテージは存在していないからだ。

    そのため、例えば「ナルト」は、「IPを守りのための展開」(バンダイ関係者)という。中国は、アイデアコピー天国であり、ゲームのアイデアやキャラクターなどのIPをコピーするゲームは後を絶たない。数多くの「ナルト」や「ワンピース」の無許可で展開されているゲームが存在する。

    最大の企業のテンセントにIPを公式に提供することで、「ナルト」の海賊版ゲームを抑止しようという意図があるようだ。テンセントのプラットフォームには、数多くの違法版も掲載されているが、それらの登録をやめることに協力的になってきているという。「ビジネス的な収益は次の段階」(前述の関係者)とのことだ。

    「パズドラ」も、現実的には、IPを守るという面が高いのではないかと思われる。すでに、中国にはパズドラをコピーしたゲームが10以上も存在しており、ゲームとしては、中国人ユーザーにとっては陳腐化している可能性が高く、日本のような成功を、今から期待するのは容易ではないのだ。

    それでも、日本企業が、中国企業の展開をにらんで、最大企業のテンセントとの提携を求めてきたのは確かだ。

    また、今回の発表で、短い期間で開発されたゲームが、次々に日本に展開されるという段階に入る。日本のゲームが独自性を持ち国内市場を維持できるのか、新しい競争にさらされることになるだろう。



    □ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。

    新 清士(しん きよし)
    ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
    Twitter ID: kiyoshi_shin