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「アップリケ処女が」と蔑まれた東大時代 金田淳子×アルテイシア対談③
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「アップリケ処女が」と蔑まれた東大時代 金田淳子×アルテイシア対談③

2016-05-13 19:00

    『オクテ女子のための恋愛基礎講座』発売にあわせて、社会学研究者でBL研究家の金田淳子さんと、「オクテ男女の恋愛と結婚と性」について語り合いました。

    『オクテ女子のための恋愛基礎講座』(幻冬舎文庫583円)

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    金田淳子/
    社会学研究者。BL・やおい・同人誌研究家。
    東京大学法学部と文学部を卒業後、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。
    文芸批評誌『ユリイカ』のボーイズラブ特集や『美術手帖 特集:ボーイズラブ』に企画段階から協力。
    共著に『オトコのカラダはキモチいい』 『文化の社会学』等。ホウドウキョク内のフリーダムな番組『真夜中のニャーゴ』金曜23時05~に出演中。
    『オトコのカラダはキモチいい』公式チャンネル(二村ヒトシ・金田淳子・岡田育)

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    アル:
    私も今では恋愛セックス作家などというしゃらくさい肩書きですが、十代の頃は「恋愛もセックスも一生できないのでは」と怯えていたんですよ。

    中高と女子校で、共学の大学に進んだ当初は男子と目も合わせられず、「挙動不審なブス」を絵に描いたような存在だったので。

    金田:「キッカケは見た目を変えたこと」と新刊『オクテ女子~』に書かれてましたね。

    アル:ファッションや髪形やメイクを研究して、見た目を変えたとたん、男子の態度が一気に変わって。それで自信もついたし、異性の前でオドオドせず、堂々と接せられるようになりました。

    男女の読者から「見た目を変えたら異性と話せるようになって、結果的に恋人ができた」という報告をよくもらいます。

    金田:その点はすごく共感するんですよ、私も珍妙な服装をしていたので。

    アル:珍妙(笑)。私もシノラーファッションをしていて、チンドン屋ふうの女子大生でしたよ。

    金田:私の場合、オシャレにしようという意図もなく珍妙な服を着てしまうという。オタクにありがちな、動物モチーフを好むみたいな。いやいまどきオタクにもそういう人いないか。

    アル:わかります!私、いまだに買ってしまうもん。

    金田:私も小物とか買ってしまうけど、大学時代はネコのアップリケとかついた服を着て、校内を闊歩していて。

    東大生って、たぶん4割ぐらいが田舎から来た人たちで、6割ぐらいが首都圏の人たちなんですよ。だからそこに文化の格差があって、首都圏の人たちは、もう一通りやり終わったみたいな感じ。

    アル:首都圏はリアルが充実しているんですね。

    金田:リアルが充実しているから、その格差がすごくて。田舎から来た人たちは「類人猿から、いま、人類に」みたいな。いや、おしゃれな人もいたけど私はマジでそんな感じ。

    アル:“たま”のランニングみたいな感じ?

    金田:そうそう!私とかも気持ち的にはランニングで「ついたー!」みたいな感じですよ。古い!これは若者には絶対通じない(笑)

    アル:たまのランニングって誰やねんって(笑)

    金田:颯爽と竪穴式住居からアップリケつけて出てきた感じ。

    アル:あはははは!(爆笑)

    金田:だから周りからは「あのアップリケ処女が」という目で蔑まれていたと思います。
    さらに「カップルになるのが当たり前、恋人いないやつはイケてない」文化みたいのがありまして。アメリカのプロムかよ! 

    あまりにもその世界が辛かったから、クラスの女の子が「オタクのサークルがあるよ」と誘ってくれて入ったんだけど、そこは男性ばかりだったんですが、完全に旧きよきオタクの、三次元の恋愛とか興味ないし…という文化でした。そのおかげで「ふぅ~!なんて!心地がいいんだ!!」と、入り浸るようになりました。

    アルテイシアさんの女友達の夫が、ネルシャツを三枚重ね着して「妖怪襟六枚」という呼び名だったそうですが、そのサークルの男子もほぼ全員、やっぱりネルシャツでしたね。

    アル:それでデュフフって笑うんですか?

    金田:デュフフは、比較的、最近の風物かなって思うんですが、でも「○○氏」って呼び合ってた。「山田氏、次は何やる?」とかいって、汚い学生会館でテーブルトークRPGをやってましたね。

    アル:よかったですね、居場所が見つかって。

    金田:ほんとにこれが居場所かぁって思ったよ。だってそれまで本当に瀕死だったもん。
    アップリケつけて、ノーメイクで変な服でふらついてたから、飲み会の時、女子以外の人が話してくれないの。

    アル:わかる!私も飲み会で女扱いどころか人間扱いされず、壁のシミ扱いでしたよ。

    金田:そういう、ダサいというだけで、話もしてくれない人たちって、今考えてもあんまり友達になりたくないなとは思います。

    でも、私は別に政治的な深い主張とか、理由があってアップリケをつけているわけではなく、単にセンスが無かったわけで。そこで、カチンと来るけど、少しだけでも自分から歩み寄って学んで、最低限の今風の格好をすると、それだけで扱いが全然変わったりする。

    「服装や化粧で相手の態度が変わる」ことは若い頃につくづく学びましたね。
    昔の少女漫画とかにある、何回か会っただけで内面もよく知らんのに「そのままの君が好き」みたいなことは絶対に起こらない。そのままだと、すね毛とかボーボーですからね。

    アル:そりゃもうボーボーですよ。

    金田:そこで、じゃあ変わるぞ!と決めたわけですが、私はファッションに疎すぎた。
    高校まで制服だったこともあり、自発的には全く学んで来なかったし、学校で教わるものでもない。親も参考にならない。
    だからまずどうすれば軌道修正できるのか全然わからなかった。このできなさ加減はたぶん、おしゃれな人には全く伝わらないと思う。冬に夏の服を着て、夏に冬の服を着るみたいな。

    アル:あはははは!(爆笑) めっちゃ寒いし、めっちゃ暑いじゃないですか。

    金田:修験者(しゅげんじゃ)みたいな(笑)

    アル:ほら貝吹いたら山伏ですね(笑)

    金田:そういうことにまったく違和感を感じていなかったのね。
    でも、優しい女友だちが「そ、それは…夏の素材…」みたいな感じで、言いにくいことを言ってくれて。「あ、冬に、夏の素材のものは着ちゃいけないんだ!」と知るわけですよ。気づき。

    アル:そこからだったんですね。季節感みたいなところから。

    金田:服装には、季節感というものがあるんだと知って。上下の色を合わせるためにベージュを選んだけれど、麻素材は冬はダメか。くっそう、冬はじゃあウール素材のものが必要なのか…みたいな。
    ほら、基礎的な教材がアニメとかだから、素材がよくわからないんだよね。それで素材という概念がなかったから。

    アル:素材という概念について、学校では教えてくれないし。

    金田:そうだよ!もちろん化粧も全然わからなかったから、「地球には女性誌というものがあるらしい、まずはそいつを買えばいいんだ」と思ったんだけど、女性誌ってクラスタ分けしてあるじゃん?

    アル:ノンノとJJとVERYでは客層が全く違いますから。男性向けのファッション誌もそうですけど。

    金田:1冊読めばわかるようなものじゃなく、クラスタ分けされてるなんて知らなかったから。学校で教わってないから。

    アル:だから、私はファッション誌の購入を勧めないんですよ。たぶん混乱して失敗するか挫折するから。

    新刊でも『オシャレ初心者が百倍美人になる方法』を書きましたが、たとえば『ネットで“カシュクールワンピース”と検索してみよう』といったアドバイスをしてます。
    そういう始め方が、初心者には一番簡単だと思うので。そもそも「どの店で買っていいかわからないし、店で買うのはハードルが高い」という読者も多いから。

    金田:カシュクールワンピの教えは大変参考になりました。実は、さっそく黒をユニクロで一枚買い、愛用しています(笑)。私ぐらいのファッション下手になると、こういう具体的なアイテムのアドバイスが欲しいんですよ!

    さらに『ゼロから始めるオクテ男子愛され講座』では、男性向けのファッション指南も書かれてますね。とても勉強になると思います。
    たぶんモテない男女の理由の5割ぐらいが、服装によるものだと、私は勝手に思ってますから。やっぱ冬に麻素材の服着てる人って、はたから見るとモテ以前に、不安を感じますもんね。

    アル:(笑)不安を感じるし、「風邪ひくよ?」と心配になりますね。

    『ゼロから始めるオクテ男子愛され講座』では、洋服の買い方や美容院の行き方や身だしなみまで、初歩から解説してるんですが、「この章が現実的に一番役立った」という感想をよくもらいます。
    自分はダサいというコンプレックスがあると、他人とコミュニケーションしづらいから。

    オタクの男友達が「僕みたいなダサい奴はスタバなんて入れません」と言ってたんだけど、男性読者から「僕なんてドトールすら入れません」とメールをもらって。見た目に自信がないと、行動範囲も狭まってしまいますし。

    金田:私は東京に来て、モテどころか十分に話すらしてもらえなかったから、とてもよくわかります。「私はダサい」と知った次の瞬間に「服を買いに行くための服がない」という悩みが生じるのもすごくわかる。
    根本的には、相手がどんな格好をしていても、それが全身迷彩服だろうが妖怪襟六枚だろうが、人間として接しろよと思うけど。

    でも、私も男の人が六枚襟のうえ、全ての襟が黒くなっていたら、しかもその人がムスッと無表情だったら、やっぱり話しかけないと思うのね。
    人はまず外見からしか判断できないから、なにがしかの深い主張でその服装をしているのでない限り、ある程度、努力して、歩み寄りを見せることも必要だと思っています。私もそれで、やっとクラスメートが話してくれるようになり、現代人としての一歩が始まったと思ってますから。

    アル:コミュ力を磨くよりも、外見を変える方が手っ取り早いし。

    金田:そうそう。男子と比べても、女子に要求される「女子っぽい格好をしろ」という抑圧は大きいし、もう本当に、冬に麻素材着てても、普通にしゃべれよ!と思うんだけど。でも実際にしゃべってくれないことは事実なのよ。
    だからホント癪だけど、まずは一歩だけ歩み寄ってみる。学生のときはまだ六枚襟でもいいけど、就活とか仕事上で、初対面でジャッジされることはいつまでも起きるので、その練習にもなるというか。

    アル:前に炎上したルミネのCMもそうですが、女性が清潔感のある社会人らしい格好をしていても、「男の需要に応えろ」と言われることには怒りを覚えます。

    とはいえ、私もシノラー時代はブス扱いされて異性が怖かったけど、女らしい見た目に変えたことで、強気になれたんですよ。男の前でオドオドしなくなったし、むしろ「ヤらせはせんぞ!」と強い気持ちになれた。逆に地味な感じの子の方が男に口説かれたら、すぐにヤられちゃったりするんで。

    金田:女らしい恰好をすることで、自分を守れるようになったと。

    アル:そう。オラオラ系やヤリチンって、自信のない女子を狙うから。きゃつらは獲物を見つけるのが上手いんです。

    金田:あー、わかります。私もアップリケ処女の時、そういう男に優しくされたら、すぐヤられてた気がする!

    それと、ぶっちゃけますが、女も男もそうだけど、「自分のありのままを認めてくれて、見た目はダサいけど内面を見てほしい、綺麗なもん持ってるからアタシ」って思ってる人ほど、たいした原石じゃないんですよね。自分をふりかえってみると。

    「外見とか一切人に合わせることなく我が道を歩んでいっても、みんなが気づいてくれるほど特別なスゴイものを持っている」という、その自意識こそ中2的でつまらないものじゃないかと思います。正直言って。

    お前のそのアップリケとか、冬なのに麻素材の服を着ているとか、相手に合わせるという努力を1ミリもせずに、自分の好きなことだけやっているのに、自分の心は綺麗ですみたいに思っている、その思い上がりは何なんだ?と。

    アル:たしかに就活でスーツを着ずに「自分の中身を見てくれ!」という学生に限って、中身もつまらないしね。

    金田:そんな格好をしていても自分のことをわかってくれる人がいるはず、っていうのが一番平凡だし。
    「そういうあなたのこと、わかってるよ」と近寄ってくる人は、まあどう考えても、金か、宗教か、処女マニアとかですよね。あなたの中の原石を認めたわけではないから。宗教の人とかだから。

    アル:それこそ、アナルに入れる水晶玉を売りつけられるかもしれない(笑)
    本当にひとつひとつの言葉が胸に刺さりました。冬なのに夏の恰好をしていた人の説得力がありますね。
    個人的には、颯爽と竪穴式住居からアップリケつけて出てくる女子に、ぜひ会いたいです(笑)!

    ―次回に続く!

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    『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』
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    『ゼロから始めるオクテ男子愛され講座』

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    『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』

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    『オクテ女子のための恋愛基礎講座』(幻冬舎文庫583円)

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