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R&Bフリーク以外は置き去りにするR&B評 第21編『TLC』
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R&Bフリーク以外は置き去りにするR&B評 第21編『TLC』

2016-05-25 22:35
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    「TLC」

    アメリカ合衆国の女性R&Bグループ。オリジナルメンバーはT-ボズ、レフト・アイ、チリの3名。4つのグラミー賞を受賞、全米シングルチャート1位を4曲で獲得、全世界のアルバム総売上6,500万枚以上というガールズRBグループとして史上最高の売上記録を保持するスーパーグループ。2002年のレフト・アイの死により現在は2人組。


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    <TSUYOSHI評>

    TLCの『Diggin' On You』のミュージックビデオ(https://youtu.be/tReIHIDX354)が好きだ。彼女たちのライヴの様子やステージの裏側を垣間見れるような映像が楽しかったりもするが、それよりも、プロモーションビデオであるはずなのに音源はオリジナルバージョンを使ってないことに当時驚いたのを覚えている。このミュージックビデオには1994年リリースのTLC2ndアルバム"CrazySexyCool"に収録されているオリジナルバージョンの音源ではなく"L.A.'s Live Remix"という名の音源が使われている。いくらライヴの模様の映像を使っているとはいえ音源はオリジナルを使うのが当たり前であったなかで、このライヴを模した音源を使用した『Diggin' On You』のミュージックビデオの手法は新鮮に感じたものである。

     

    "L.A.'s Live Remix”というだけあって、ところどころで派手な音源ではある。時にアース・ウィンド&ファイヤーの如く鳴り響くホーンセクション。時折ファンキーに、たまにうなりを上げたりしながらも安定のグルーヴをみせるシンセベース。ストイックに単音でリズムを刻み続けるギター。他にもライヴアレンジとしてのさじ加減がなにかと絶妙で、この"L.A.'s Live Remix"20年以上経った今の時代においてもR&Bのライヴアレンジの一番のお手本なのではないだろうかとさえ思える。

     

    ちなみに「Diggin' On You」のオリジナルのトラック(https://youtu.be/bLGP37re040)はというと、パッと聞き、それまでに聞いたことがないような独特なドラムのリズムアレンジに感じてしまうのがこれまた興味深い。とはいえこのリズムパターンを生のドラムセットでスネアに重点をおいて叩くことを想像してみると、なんのことはない、実のところ黒人の方々がお得意の土臭いシャッフルだと気付く。しかし、機械で作られた音源で少々はねる度合いをキツめに設定して打ち込まれたこのリズムパターンは、本来の土臭さはどこかに消え去り、そのうえ他のウワモノのピアノやシンセの音達と実になじんでしまっている。さらにもう一点。皆さんの耳に音楽が届くまでに、各パートをレコーディングした後にミックスダウンという音量や定位と呼ばれるものなどを整える作業がある。イヤホンやヘッドホンをして曲を聴くと分かりやすいが、例えば近代のR&Bのボーカル素材の定位は、メインボーカルは真ん中に配置、コーラスパートは真ん中には置かずに左右に振って配置をするのが基本である。改めて「Diggin' On You」のオリジナルバージョンを聞き返してみると、この基本から少し外れていることに気づく。サビ以外のメインボーカル部分のT-ボズや大サビでメインを歌うチリのボーカルは通常ならば真ん中にいるはずだが、この曲では彼女たちの声は真ん中からはほとんど聴こえず、主に右左から聞こえてくる。反対にサビ部分ではコーラスでハーモニーを担っているパートですら、ほぼ全てのボーカル素材が真ん中に寄っている。この常識とは異なるミックスダウンの手法により、作り手はこの曲のトータルなイメージをありきたりな表現で終わらせることなく、どこかしら浮遊感のある独特な雰囲気の楽曲に仕上げているのである。結果、とてもコンテンポラリーなR&Bへと昇華させてしまったこの曲のプロデューサーのベビーフェイスって素晴らしいというお話。

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    <西崎信太郎評>


    「アメリカにレコードの買い付けに行った時、プロモーションで訪れていたデビューしたてのTLCに会ったよ」と、某有名レコード店で買い付けを担当していた方から伺ったエピソードがとても印象に残っております。僕がHMVのバイヤーだった頃、デビューしたてのジャスティン・ビーバーは、渋谷のABCストア、YAMADA電機には行ったのに、僕が当時いた渋谷HMVにはプライベートでも来なかったなぁ、と。時代背景もあるかもしれませんが、勝手にTLCには好印象を抱いてしまったお話。

     

     '90年代に登場したフィメール・グループ。ザッと挙げれば、アン・ヴォーグ、SWV、トータル、エクスケイプなどなど。その中で、代表格となるアーティストはデスティニーズ・チャイルド、そしてTLC。サウンドのみならず、ファッションやスタイルまでも変革した革命的ユニットは、メイル・グループならジョデシィ、フィメール・グループならこのTLCでは。個々のメンバーの知名度という点でも、'90年代のフィメール・グループでは、やっぱりデスチャとTLCは別格。

     

     さてさて、そんなTLCも結成から既に25年以上の時が経過。中心メンバーのレフト・アイの悲しい出来事もありましたが、未だにグループのバリューは健在。そんな中、最近やたらと表面化してきた気鋭のフィメール・グループ登場劇。本当に粒ぞろいのグループが続々と登場してきて、R&Bシーンの明るいトピックの1つに。グループのスタイルとしては、TLCSWVを真似たようなグループが、やはり多い。米テレビ・ドラマ『Empire Season 2』にも参加したDMKや、SWVの再来としてデビューしたJazmin SistersInterscopeと契約したLipstiqは、歌&ラップ・スタイルから、正にTLC

     

     恐らく、今後もっと登場するのではないかと思われる気鋭のフィメール・グループ。その登場の裏には、デスチャ、SWV、そしてTLCの存在があってのこと。そういえば、TLCがクラウドファンディングでニュー・アルバム制作の資金15万ドルを募っていましたが、このフレキシブルな行動力が、長年に渡って愛される要因の1つだと僕は思います。ベタですが、未だに"No Scrubs"は大好きです。

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