umeさん のコメント
このコメントは以下の記事についています
突然ですが、東京で一番好きな場所をどこか一つ挙げろと言われたら「伊勢丹 新宿店」と即答します。日本一の売上高を誇る最強のデパートです。
どのくらい好きかというと、お金や欲しいものの有無に関係なく毎週通い続けて、無職の時ですら「生きてくガッツが欲しい」と思ってガンガン行っていたほど。伊勢丹で待ち合わせて、伊勢丹でお茶を飲んで、伊勢丹でウィンドウショッピングをするだけの「伊勢丹友達」もいます。もはやパワースポットです。
そんな、私が愛してやまない伊勢丹 新宿店が、今年の8月末に婦人靴売り場を大幅リニューアルしました。リニューアルに伴い始まった新サービス「YourFIT365」と3D足計測エリア「Fitting Lab」がテクノロジーと百貨店の意地と野望にあふれていたのでご紹介したいと思います。 自分の足形データにあった靴を提案してくれる
まず、「YourFIT365」の概要について。 「Fitting Lab」で足形を計測し、自分の足のサイズを可視化する(無料) その計測データを基に、スタイリストが足に合った最適な靴を提案してくれる(無料) オンラインでも自分の足形に合った靴を買うことができる
とてもシンプルですね。実際に行ってきました。
まず来店予約。 「三越伊勢丹」 というド直球な顧客向けアプリで予約をします。(店頭での予約もできます)
足の形は季節や年齢によって微妙に変わるそうで、伊勢丹のスタイリストさん曰く「半年に一度くらいは測りなおすと良いです」とのことでした。
靴選びで困っていること、そして予算のことを入力します。「今日は見るだけ」などの話は、正直にサクッと伝えてしまう方がラクです。冷やかしでも私は伊勢丹で嫌な思いをしたことは一度もないです。みんな優しくて真摯。
日程を選びます。8月28日にサービスインしたばかりなので、9月の時点では週末が埋まりがち。計測と靴選びの所要時間は大体1時間くらいです。
約束の日。いざ店頭へ。
靴が足幅順に並んでいました。ぱっと見ベーシックなデザインが多いです。 ▲こちらが足計測器です
足の左端と右端にシールを貼って、計測器のフタを閉じて、計測を始めます。コピー機のような音がしますが、何も感じません。
横のPCにみるみる映し出される3Dの足形......! 計測そのものは数分で終了します。
計測したデータはiPadで確認します。今まで「左足が小さい」と感じていました。確かに1.7mm小さかったです。3D画像の印象は、まあ当たり前なんですけど「めっちゃ自分」と思いました。
次に、計測したデータを見ながらスタイリストさんからの解説を受けます。足の左右差は平均的なものだそうです。足幅も平均的で土踏まずもしっかり。多少アブノーマルなのかもなあと思っていたら、実はごくごく一般的な足でした。 この靴は自分では見つけられない
最後に計測した足形とマッチする靴が提案されます。
約1000種類の候補の中から現れたのかと思うとしみじみ。
こちらのデータは自分のスマホ上のウェブアプリ「YourFIT365」でもみることができます。マッチングレベルは5段階中4!
そんなにマッチしているなら、いっちょ試してみるかと実際に持ってきてもらうことに。実際に履いてみると「足が無理をしている」感じが皆無でした。試しにマッチングレベル3のバレエシューズも履いてみましたが、これはキツかったです。今後はマッチングレベル4以上をマークします。
しかも雨の日に履けるタイプ。ありがてえ。雨用の可愛い靴、欲しかったんです!
でも、この靴は普段の買い物では探せなかったと思います。なぜなら「キンキンに尖った8.5cmのピンヒール」もしくは「ローファー」が大好物なので「先が尖っていないヒール5cmの靴」は視界に入らないんです。でも履いてみるとモードっぽくて可愛いし、足もラク。ということで大変良い出合いでした。 ▲(買っちゃったよ!)
ちなみに、一部の靴はウェブアプリ「YourFIT365」のバーコード読み取り機能を使って、「どのくらい自分の足形と合っているか」を調べることができます。これは、今はまだ対応している靴はごく一部でした。
他にも「綿密に足形データと足の動きを調べて、3Dプリンタでミッドソールを作る」というゴリゴリなサービスも常設で展開されています。 ▲もはやデパートっていうかラボやんけ。こちらは有料です。 伊勢丹はなんでこんなこと始めたんだろう?
2年がかりで準備されたという「YourFIT365」。実際に試してみると「これ実現するの大変だったろうな」「これから良くしていくんだろうな」と思う点がいくつかありました。 1:他社から木型データを提供されている
まず、木型。足の計測を念密に行うお店は昔からありますが、オーダーメイド専門店でよくあるサービスでした。伊勢丹の場合、オーダーメイドのサービスももちろん提供していて、そこに加えて「プライベートブランドの木型データ」と「他のブランドの木型データ」のマッチングを行うんです。この「他のブランドの木型データ」がミソです。
木型は、靴を作るうえで料理のレシピと同じです。これを外部のメーカーが伊勢丹に提供することはそう簡単ではなかったはずです。サービス開始まで2年かかったのは、そういった事情もありそうです。ということで、木型マッチングの対象商品は伊勢丹の取扱商品の一部です。一部と言ったって1000種類ですが。 2:オンラインショップ(EC)
そして、EC。伊勢丹は今ECにも気合いを入れていて、コスメ専門のECはAmazonも楽天もマネできないだろうなと思うくらい楽しくて配達も迅速です。「YourFIT365」で提案される靴はECでも買うことができます。ただ、今はECの在庫よりも店頭の在庫の方が豊富なので、この辺りはこれから充実されていくハズです。 3:データ利用
最後に、データ。計測の前に「年齢、性別、計測した足形」のデータ利用に関する同意書にサインをしました。伊勢丹は「平均的でないサイズ」の靴や洋服も取り扱っています。ただ、足のサイズが約20cmの友人たちが口を揃えて言う不満は「小さくて可愛い靴は、種類も少ないし、すぐ売り切れる」です。少しはあるけど数が用意されていない。だから、年代や足形のデータが蓄積されて「30代以下、足小さい人多い」などの確証が得られたら、今後の商品展開にフィードバックされていくはず。期待してます! アグレッシブすぎる伊勢丹 新宿店
なんでこんなにも取り憑かれたかの如く伊勢丹 新宿店にのめり込んでしまうのか。私の答えはハッキリしていて、接客のよさや品揃えの豊富さっていう「百貨店の基本」が120点なところはもちろん、なんかもう「大丈夫か?」と思うくらいアグレッシブだからです。
「風来のシレン」のように行くたびに店内の構成が変わっているし。ド派手な限定ショップを作って壊してを繰り返しているし。(めちゃくちゃ施工費かけていそうで)正気か? と心配になります。アグレッシブすぎる。
そんなアグレッシブな胆力と静かな野心を「YourFIT365」でも感じました。しっかり育って、いろんな靴メーカーに信頼されて、ユーザーから長く愛されるサービスになってほしいです。そして私に靴をたくさん売ってほしい。 この記事は Engadget 日本版 からの転載です。
Post