第5回目のゲストはこの人、アカツキ『サウザンドメモリーズ』の共同創業者 代表取締役CEO、塩田元規さんです。
なお、第6回のゲストはコロプラ『白猫プロジェクト』の浅井大樹さんと角田亮二さん。このインタビューを読んで気になっていただけた方は、10月28日発売の週刊アスキーをチェックしてみてくださいね。
■ 気になる千メモの
【今後の展開は!?
安藤:アカツキさんにはガッツと戦略があるし、運営のスピード感もある。千メモ自体もどんどん進化していくと思うんですが、これからどんなことをやっていきたいですか?
塩田:もうすぐ1周年を迎えるので、アップデートを含めて今準備をしています。以前プレイヤーどうしの対戦機能を入れたんですが、結構好評だったんですよ。千メモはちょっと違うタイプのキャラクターを入れると遊び方が全然変わったりするので、PvPのような今までとは違う体験ができる機会を、新しいイベントや機能拡張で増やしていきたいと思っています。
安藤:物語も2部が終わり、サブストーリーや期間限定のストーリーもあったりして、クリエイターが楽しそうにつくっているなとすごく思います。
塩田:そうですね、絶好調ですね。
安藤:元々の設定からちょっとはずしてみたり、かわいいキャラクターをシリアスに見せてみたり、完全にキャラクターがドライブし始めていると思うんですけど、ストーリーに関するこれからのイメージは何かありますか?
塩田:物語は今2部が終わったところですが、実は4部までてきているんです。最初から4部構成でつくっていて、完全に完結するまであとまる1年ぐらいはかかると思うんですけど、楽しみにしていただきたいですね。
安藤:なるほど。1部と2部を遊んだプレイヤーは当然わかっていると思いますよ。盛り込まれている伏線でまだ回収されていないものがあるので、きっとまだ続きがあるんだなと。
塩田:もともとそういう形でつくって、1年くらいで4部まで行きたいと思っていたですけど、行けたのは半分だったわけです(笑)。ストーリーの量が多いので、あまり早く上げてもユーザーさんがついて来られませんし、開発の進行具合もありますしね。でも一応、細かいスクリプトなども最後までできています。
安藤:これからゲーム動画のシェアとその仕組みも一般的になってきますが、千メモはプレイ動画映えがすると思うんです。このキャラを入れてこうやってつなげるとラスボスが一撃で倒せるとか、これだけダメージを与えられるからオーバーキルの限界値はこれぐらいいくんじゃないか、そんな動画をユーザーがアップするようになるんじゃないかと思います。昔のゲームの、そういうプレイ動画は結構ありますし、この方向もいいですよね。
塩田:それも面白いですね。
安藤:ただ倒すということだけではなくて、どうやって倒すか、どこまで行けるのか、自分で工夫したり縛りをつくって遊ぶのも面白い。それってシステムが優れていないとできないし、そういった意味でまだまだ工夫ができそうですよね。
塩田:ありがとうございます。そういう動画がたくさん投稿されると盛り上がりますよね。
安藤:向いていると思いますよ。ライトな人からすると複雑な仕様もありますが、やり込んでいるユーザーがやるとこうなる、という動画がバーッとシェアされていくと、新規ユーザーの獲得にも繋がるかもしれません。千メモはライトな印象がありますけど、それだけ深く遊ぶこともできる。最新型のスマートフォンのゲームになっているし、今時のRPGになっているし、こなれていくと面白いことになるだろうなと思います。
■ 追い越せAppleとGoogle!
安藤:千メモ以外で、新しくつくりたいもののイメージはありますか?
塩田:二番煎じは好きではないので、誰よりも先んじた新しいものか、ちょっと変だよねって言われるぐらいのものがいいなと思っています。次は千メモとは違う領域を攻めたいですね。
安藤:それはどんな?
塩田:たとえばアクションRPGって言葉としてはスマホにもありますけど、テクニック的な部分が強くなりすぎるとフリーミアム(基本無料)では成立しにくくなるじゃないですか。なのでスマホに本当のアクションRPGってあるのかなと考えると、そういう領域をやりたくなるんです。
安藤:僕が考えていることとよく似ています。RPGのお話の最後まで楽しんでキャラを成長させていくこととフリーミアムって、あまり相性がよくない。僕が10月に出した『ケイオスリングスIII』をパッケージにしたのは、買い切りの方が育成も面白いしあとに残るものがあると思ったからなんです。でも、いつかそれを運営の形にして何かできないかとも思っています。
塩田:そうなんですよ。アクションRPGって、超テクニカルなユーザーだと1円もかけずに遊べてしまう可能性がある。1回もダメージを喰らわなければいいわけですから。そこをどういうふうにやっていくのがいいのかなと。すごく難しいんですけど、考え尽くすと新しい何かがありそうな気がするんです。たとえば任天堂さんはスマホはやりませんが、彼らが全力でスマホのゲームをつくるとしたらどういうものになるのかも考えたり。
安藤:それは興味がありますね。
塩田:もしかしたら今、そのポジションがまるっと空いているかもしれませんし。
安藤:任天堂さんは、新しいものをつくってユーザーをワクワクさせることがどれだけエンターテインメントとして爆発するかを良くわかっている会社です。本気で任天堂さんがスマホに来たら、今ストアに並んでいるようなものではなく、絶対に新しい遊びを提示してきますよね。
塩田:そういうのもありつつ、常にフルスイングでいきたいですね。次のタイトルもそうです。ハズれたらゼロかもしれませんが、笑われてもフルスイングしたなと思っていただければ。
安藤:すごくわかります。当たれば大ホームランですが、三振してもヘルメットがポーンと上に跳ぶような魅せる三振だと、ファンや監督は次の打席も見たくなる。そういう気持ちが多くのユーザーに伝わると、スマートフォンの世界にアカツキブランドが構築できますよね。今までアカツキさんはSAPに近いイメージでしたが、そうなるともはやームメーカーですね。
塩田:そうですね。少なくとも僕たちは、自分たちがSAPだとは思っていないですね。
安藤:塩田さんがイメージするアカツキという会社は、どういう形容をするといちばんしっくりきますか?
塩田:ワクワクを届ける会社、という感じでしょうか。ゲームの力を活かすことはブラしませんが、ゲーム以外の活動も今年度中にスタートさせて、世界の価値観を変化させていきたいと思っています。今の時代、人は心や精神的価値を求めるようになると思っていますし、心を動かす力がゲームにはあると信じています。価値観をシフトさせたり、何かを壊して何かをつくる、そういう会社でありたいと思っています。
安藤:フルスイングをして、いい意味でこちらの想像をはるかに超えてくる会社ですから、今後が楽しみです。会社を大きくしたいとおっしゃっていましたが、具体的にどのぐらいの規模を目指していますか?
塩田:企業の価値としては、AppleやGoogleを超えたい。真面目にそう思っています。
安藤:それはやばいですね、もう世界規模のブランドですね。
塩田:そうです、はい。最近はパワーブランドの本質とか、どうやってブランドと資産を貯めるのかとか、そういう本をよく読んでいます。どんなに売れても1発屋ではそこまではいけない。グローバルじゃないとダメだし、継続性がないと絶対にいけない。僕らは感情とか心とか愛とか、くさいことを言い続ける会社なんですけど、そういうくさいことを言い続けている会社が結果としてそれだけの評価をされるようになったとしたら、それは世の中の価値観が変わったということじゃないですか。それなんです。それを僕らがやってやりたいという感じです。
安藤:いいですね! 話が壮大で面白いですし、そこもまたギャップですよね。塩田さんとアカツキさんがこれからどうなっていくのか、僕もワクワクしながら注目していきたいと思います。
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