ただ、高画質であるだけに、残念に感じてしまうのが音質です。まあ、これはビデオカメラ専用機でも同様なのですが、搭載されているマイクが安物なので、どうしても“チャチ”な音になってしまうのです。「だったら、ビデオ撮影用にマイクだけ高品位なものに交換してしまおう」という発想の製品が、今回紹介する『iTrack Pocket』です。
一見、iPhone用のスピーカーのようにも見えるiTrack Pocketですが、正面にあるメッシュ状のパーツの内側にあるのはスピーカーではなく、高性能なマイクです。
↑本体前面はスピーカーではなくステレオマイク。同梱のLightningケーブルでiPhoneと接続して使用。電源はiPhoneから供給される。iTrack PocketをROLLYさんに見せたところ、「え? これは、あのFocusriteの製品なの?」との反応。そうなんです。Focusriteとはイギリスのメーカーで、プロ向けのレコーディングスタジオにある大型のミキサーコンソールを作る老舗企業。そのプロ用機材メーカーのFocusriteが「誰でも手軽にレコーディングできる機材を!」ということで発売したのが、iTrack Pocketなのです。プロ用機材メーカーの製品とはいっても、実売価格は1万2000円前後とお手頃です。ROLLYさんも興味津々。さっそく使って撮影してみたビデオが、以下になります。
どうですか? かなりいい感じに撮影でき、いい音で録れていると思いませんか? 使い方はいたってシンプル。テーブルの上にiTrack Pocketを置き、iPhoneをセット。無料の専用録画アプリ『Impact by Focusrite』(以下、Impact)で録画ボタンを押しただけです。iPhone標準のカメラ機能でもビデオ撮影はできるものの、その場合は内蔵マイクが基本で、モノラル録音になってしまいますが、これなら外部マイクを使ってステレオ録音できるわけなんですね。
iPhoneとの接続は、Lightning端子に付属ケーブルでつなぐので、もちろんデジタル接続。だからこそ、ノイズのない高品位なサウンドになるんですね。ROLLYさんもますます気に入ってきたようですが、じつはiTrack Pocketの機能はそれだけにとどまりません。本体側面にはギター入力の端子が搭載されており、ここにエレキギターを直接接続することができるのです。
↑本体側面にギター入力端子を搭載。エレキギターを直接接続することができる。しかも、Impactにはギターアンプのモデリング機能が搭載されており、アンプ機能をオンにするとFenderの“TwinReverb”やMarshallの“JCM-800”、VOXの“AC-30”風のサウンドを出すことができるのですから、かなり便利ですよ。
ただし、パラメータはちょっと少な目で、TwinReverbのモデリング“Twin”の場合は“Drive”と“Reverb”、JCM-800のモデリング“Brit”なら“Drive”と“Delay”、AC-30のモデリング“V-AC”では“Drive”と“Reverb”といった具合に、それぞれ2つずつのみ。「もう少しパラメータが充実していると、申し分ないんだけどな……」とROLLYさんも残念がっていましたが、「サウンド的には、なかなかいい音を出していますね」と話していました。このアンプモデリング機能を使ってギターの音だけをレコーディングしてみたのが、以下のビデオです。これを聴くと、かなり本格的なサウンドでレコーディングできることが納得できると思います。
Impactは録画終了後も、かなり便利に使うことができます。レコーディング結果を波形表示した上で、それを確認しながら映像のトリミングを行なえるほか、ここでエフェクトの設定をすることもできるのです。具体的にはホールで演奏しているような響きを持たせるリバーブをかけたり、広がりやウネりをつけるためのコーラスを設定することができるのです。こうした処理をすることで、また曲のニュアンスは大きく変わりますよ。
このようにしてビデオが完成したら、iPhoneにビデオデータとして保存。また、その場で録画して編集作業をしたのち、すぐにアプリから作ったビデオをメールで送ったり、Facebookへアップロードすることもできます。さらに、YouTubeへ直接アップロードできるというのも大きなポイントですね。
まさに「歌ってみた」や「演奏してみた」をiPhoneだけで可能にしてしまう機材というわけですね。ただし、イギリスのメーカー製品だけに、ニコニコ動画には対応していません。ニコニコ動画へアップロードしたい場合は、いったんファイルとして保存したのち、そのデータを手動でアップします。それほど手間はかかりませんよ。PCを使わず、iPhoneだけで完結できるというのはやっぱり便利ですよね。
「じつは、手軽にいいビデオが撮れる機材はないものか……と探していたんですよ。ある人のためだけに歌った姿をビデオに撮って、すぐにメールで送れたら最高のプレゼントになるじゃないですか。これはそんな使い方ができますよ!」と、ROLLYさんもやや興奮気味。価格を確認してその場で注文しちゃったくらいですからね。今後、もしかしたらROLLYさんの未発表曲がYouTubeに自らの手によってアップされる日も近いかもしれませんよ!
記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載しています。
『iTrack Pocket』
●実売価格 1万2000円前後(記事作成時の価格です)
●ハイ・リゾリューション
関連記事
- 『MIKU STOMP』で初音ミクにオリジナル歌詞を歌わせよう!ROLLY×週アスVol.34
- プロのギタリストは『MIKU STOMP』を弾きこなせる?ROLLY×週アス Vol.33
- ぬくもりサウンドが魅力のオーディオ『Vesta Audio VMA-10A』ROLLY×週アス Vol.32
- カンタン自動作曲サービス『ボカロネット』がおもしろい!ROLLY×週アス Vol.31
- USB端子搭載のフェンダー“ストラト”の実力は?ROLLY×週アス Vol.30
- 新感覚デバイス『iRing』をDTMで使いこなす秘訣とは? ROLLY×週アス Vol.29
- 話題のジェスチャー操作デバイス『iRing』を試してみた! ROLLY×週アス Vol.28
- プロ御用達ブランドによるiPad用マイクの実力は?ROLLY×週アス Vol.27
- カエルのパペット型電子楽器『ケロミン』で大合奏! ROLLY×週アス Vol.26
- ヤマハのシーケンサーアプリとGarageBandで多重録音 ROLLY×週アス Vol.25
- ヤマハのシーケンサーアプリで簡単作曲に挑戦!ROLLY×週アス Vol.24
- GarageBandでミックス&リミックス!ROLLY×週アス Vol.23
- GarageBandの新機能で外部アプリと連携しよう! ROLLY×週アス Vol.22
- 大きく機能強化されたGarageBandが無料で登場! ROLLY×週アス Vol.21
- iPadで数百万円分のギターアンプを手に入れよう!ROLLY×週アス Vol.20
- SONIC PORTでギターをiPhone/iPadにつなごう!ROLLY×週アス Vol.19
- DSP内蔵のギターVariaxは魔法のギターだ ROLLY×週アス Vol.18
- ROLLY愛用のiPhone写真加工アプリ(後編)~ロックの殿堂特別企画
- ROLLY愛用のiPhone写真加工アプリ(前編)~ロックの殿堂特別企画
- iPadでアジアの癒し系楽器を楽しんでみよう ROLLY's ロックの殿堂Vol.16
- 全部入りギターアンプiPadアプリに興奮 ROLLY's ロックの殿堂Vol.15
- iPadをギターに内蔵! ROLLY×週アス ロックの殿堂Vol.14
- 憂鬱な? メロトロンの音をアプリで再現 ROLLY's ロックの殿堂Vol.13
- 光☆DUETTOで遠距離BANDやろうぜ ROLLY's ロックの殿堂Vol.12
- ROLLYお次はiPadでDJプレイに挑戦の巻 ロックの殿堂Vol.11
- iPhoneをエフェクターにROLLY大喜利に挑戦!? ロックの殿堂Vol.10
- iPadがエフェクターに大変身! ROLLY’s ロックの殿堂Vol.9
- iPadで昔懐かしカセット式4トラックMTR録音 ROLLY’s ロックの殿堂Vol.8
- ROLLYがダンスミュージック!? ロックの殿堂Vol.7
- iPadがあれば鼻歌もピアノに!? ROLLY’s ロックの殿堂Vol.6
- iPadがあれば誰でもリッチー・ブラックモアと思うな! ロックの殿堂Vol.5
- iPad用楽器アプリTanpuraでROLLYがインド音楽に挑戦 ロックの殿堂Vol.4
- ROLLYがiPadでボカロPデビュー!? ロックの殿堂Vol.3
- iPad版GarageBandでROLLYがつくった即興曲を公開! ロックの殿堂Vol.2
- ロックのDNAをデジガジェに組み替え! 週アス×ROLLYのラジオ番組始動