まず、ブランディングとは「柱」と捉えることを提案しています。決して特別なものである必要はないものの、なくてはならないものと定義されています。企業という建物は、「プロダクト」やその背景にある「経営者や企業の強い思い」といった柱があってこそ、安定して自立できるものです。その企業の中にある「柱にしたいもの」「柱になるべきもの」を、誰もが納得するブランドとして確立させるための施策を「ブランディング」と呼んでいます。では、実際にブランディングのために知っておくべきポイントは何か、というところで「真のデザインを生む3つのポイント」そして「ブランディングを成功させる3つのポイント」を挙げています。
「真のデザインを生む3つのポイント」・ポイント① 戦略を理解してデザインを行う
戦略をきちんと理解することで、デザインとのバランス(理性と感性のバランス)が良くなります。もちろん、戦略に寄りすぎると「おもしろみ」のないデザインになってしまうため、あくまでバランスが重要です。
・ポイント② 「体験をつくる」という発想
ユーザーの視点に立ち、「コト=体験」をつくる視点・手法が重要な時代になっています。
・ポイント③ ブランドコンセプトを全タッチポイントに落とし込む
ブランドとは五感で受け取るイメージや知識の集合体であるため、「統一感」や「ストーリー」が重要になります。
「ブランディングを成功させる3つのポイント」・ポイント① クリエイティブ/テクノロジー/ソーシャルグッドの視点
特定の視点のみではなくさまざまな視点を持つことが重要です。ブランド戦略の最初からクリエイティブ担当者がコミットすることがまず大切。そして、いまの時代にデジタル技術の知識がない人が経営者でいるのは問題です。またSNSなどでいい情報も悪い情報も伝わりやすい現代では「自社も社会の一員であり、社会によいことをすべき」という意識は欠かせません。
・ポイント② CCOを設置する
CCOは「Chief Creative Officer(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)」の略称で、ブランド戦略に関するすべてのデザイン管理をする役職です。統括できる存在がいることで、経営戦略としてのブランディングの質と実行力が飛躍的に高まります。
・ポイント③ ブランディングは、継続してこそ
「担当が代わったから方針を変える」とか「思うような結果が出ないからブランド戦略を変える」というのは非常にもったいない話です。ブランドを確立させるためにはブレないことが大切です。
そして、最後にブランディングには時間が必要と説いています。時間をかけて積み上げていく必要があるからこそ、ブランディングの考え方と本質をしっかり学んだうえで実践することが肝要なのでしょう。
コロナ禍によって「お客さんが激減した」「これまでのような営業ができない」と多くの企業が苦しむなかで、ブランディングによって「本当のファン」を増やしていく考え方を取り入れて状況打開しようというニーズがあったのだと思われます。
2022年には続編となる『ブランディング・ファースト〈メソッド編〉 ブランディングに失敗する会社は、どこでつまずいているのか?』が発売されています。こちらは本書の考え方を発展させつつ、「実践における具体的な手法・考え方」を解説した1冊となっています。
あわせて、一度学びなおしすることで、新たな気づきがあるかもしれません。