AIとは、人工知能(Artificial Intelligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)のこと。AI広告という言葉も使われるほど、インターネット広告・Web広告といったデジタル領域の広告やマーケティングとの親和性が高く、取り入れることのメリットも大きいものとなっています。

そんな注目のAIを活用した事例が、2023年はたくさん登場しました。国内、国外ともに、気になる活用事例15選をまとめてお届けします。

1.29ヶ国語のAI音声を作って動画作成を楽しめる!?「AIクロちゃんスピーカー」

株式会社stand.fmは、自社が提供する音声AIサービス「AIVoiceSpeaker」にて、安田大サーカス クロちゃんの声で29ヶ国語のAI音声を作成できる「AIクロちゃんスピーカー」の提供を開始しました。2023年12月11日(月)から2024年1月9日(火)までの30日間限定での提供となっています。

AIクロちゃんスピーカーでは、安田大サーカス クロちゃんの声で喋って欲しい言葉を録音またはテキスト入力することで、AIクロちゃんが自然で流暢な音声でしゃべる動画が生成されます。

テキスト入力は日本語や英語、中国語、韓国語、フランス語など、計29ヶ国語に対応しており、日本語で入力したテキストを流暢な外国語でAIクロちゃんにしゃべらせることもできます。作成したコンテンツをダウンロードしたり、SNSにシェアしたりして、AI音声コンテンツを創る楽しさが体験できる絶好の機会となっています。

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2.最高に不気味 バーガーキングのAI生成を用いたハロウィン施策

毎年多くの企業がマーケティング施策を行うハロウィンの時期。新商品や期間限定のサービスはもちろんのこと、ハロウィン風の表現を詰め込んだ広告も多く公開され、年に一度のイベントを彩ります。そんな中フランスのバーガーキングは、ハロウィンならではの「ホラー」要素を現代風の表現手法で再解釈したSNS施策を公開しました。

企画の中心となったのはAIイラストツール。「ハンバーガーを食べる女性」や「バーガーキングの店内で食事をしている男性」といった指示を出し、出力されたビジュアルをそのまま広告物として掲載するというシンプルな構造のキャンペーンです。

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3.騙された!?目的は“社会への警鐘” 1か月半で1万フォロワー超の美女、実はAIだった

Web広告代理店であるLes株式会社が、1か月半という短期間で1万フォロワーを獲得した「藤原れい」について、独自に開発したAIグラビアアイドルであることを公表。あわせて写真集の発売を発表しました。

「藤原れい」は2023年5月8日にInstagramデビュー。1日数百人のペースでフォロワーが増え続け、6月中旬には1万人を突破。フォロワーや閲覧者のほとんどはAIであることに気がついておらず、応援のコメントやDMが相次ぎ、インスタグラマーとして美容クリニックやパーソナルトレーニングなどのモデル依頼、芸能事務所などからのスカウトなども止まないほど注目を集めています。

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4.パルコ初となる生成AI広告を公開 ナレーションや音楽も全てAIで制作

パルコが最先端の画像生成AIを駆使したファッション広告として、「HAPPY HOLIDAYSキャンペーン」広告を制作・公開しました。

この広告では、LA在住の「木之村美穂(STUDIO DOG代表)」をクリエイティブディレクターに迎え、またデジタルクリエイターには同じくLAで活動する世界トップクラスのAI・デジタルクリエイター「Ai-Editorial – Christian Guernelli」を日本企業で初めて起用。最先端の画像生成AIを駆使したファッション広告として、実際のモデル撮影は行わず、人物から背景に至るまでプロンプト(画像を生成するための言葉)から構成され、グラフィック・ムービーのほか、ナレーション・音楽も全て生成AIにて作られています。

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5.生成AIとファッションの融合?次世代広告映像を大阪メトロ主要14駅でトライアル放映

大阪モード学園は、広告会社である⼤阪メトロアドエラとの産学連携により、⽣成AI と学生のファッションデザインが融合した映像コンテンツを、次世代広告クリエイティブのトライアルとして、大阪メトロデジタルサイネージへの配信を実施しました。

大阪モード学園のファッションデザイン学科高度専門士コース、ファッションデザイン学科、ファッションテクノロジー学科の学生たちが実施した『日本文化』をテーマにしたファッションデザインコンテストから、「Osaka Metro ADERA賞」受賞作品が選出され、そのファッションデザインと生成AIとを組み合わせることで、斬新な縦型デジタルサイネージ用のクリエイティブを創出しています。作成したAI 生成映像コンテンツは、Osaka Metro主要14 駅に設置されたデジタルサイネージにて展開されました。

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6.日本初 AIモデルを起用した「お〜いお茶」TV-CMが公開

伊藤園が「お〜いお茶 カテキン緑茶」のリニューアル発売にあわせて、新TV-CMを公開しました。画面に向かってスキップし、商品を手にほほえむ女性の動きや表情はとても滑らかで自然。「実在している人物ではない」と言われなければ気づかないほどのクオリティーではないでしょうか。

TV-CMをはじめとした動画・静止画などの広告展開において、出演者や演出などのクオリティが消費者の購買意思決定やブランドの独自性や世界観を打ち出す上で大きな影響を与えると言われています。そんな中、AI技術で生成したAIタレントの活用はクリエイティブの幅を広げ、新たな価値提供への期待が高まっています。

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7.その再現度にも一見の価値あり、AIがつくった“あの頃”の完成度

花王のトータルメンズケアブランドであるサクセスは、原田泰造さんと中村蒼さんを起用したサクセスブランドムービー「あのころの自分に会って…」篇を花王サクセス公式HPと花王公式YouTubeチャンネルにて公開しました。公開されたブランドムービーはAI技術を用いて、20歳若返った原田泰造さんと現在の原田泰造さんがサウナ室で共演します。

今回使用された20代に若返った“AI原田泰造”をつくり出したAI技術。20代の原田さんが番組やドラマ出演していた時の動画や画像をディープラーニングし、“AI原田泰造”を制作しています。ディープラーニングに使用された素材の数は30,000点以上と、膨大な数。これらのデータをもとにAIが学習、さまざまな角度からの表情や肌の質感を算出し、VFX技術で仕上げられています。

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8.AIでフワちゃんが10,000変化!? 企業の想いを効果的に伝えるSNS企画

事業を通して社会課題解決に取り組むLIFULL(ライフル)が、タレント・フワちゃんを起用したSNS企画「LIFULL『しなきゃ、なんてない。』AI 10,000変化」を発表しました。

「LIFULL HOME’S」「LIFULL 介護」をはじめとした事業を運営する同社では、2018年より、既成概念にとらわれない生き方「しなきゃ、なんてない。」というメッセージを掲げています。この企画ではメッセージを体現するため、生成AIを使ってフワちゃんの画像を10,000種類制作。LIFULL公式X(旧Twitter)アカウントをフォロー&リポスト(リツイート)するとランダムで1枚、多様なフワちゃんとさまざまな「しなきゃ、なんてない。」のメッセージが組み合わさった画像が受け取れる仕立てになっています。

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9.ついに生成AIの技術で、あのC.C.レモンが人間に!?

サントリーは、「C.C.レモン」を対象として、生成系AI(画像、音楽、動画など、新たなコンテンツを生成することができるAI)を用いた新たなプロジェクトを期間限定で始動することを発表。このプロジェクトでは、生成系AIを用いて「C.C.レモン」を擬人化させたキャラクターを生み出し、そのキャラクターを起用したさまざまなコンテンツを制作しています。

擬人化キャラクターの“顔、衣装、声、動き”は生成系AIを、“セリフ”は文章生成AIが用いられています。顔は、「C.C.レモン」を担当するスタッフの顔写真をもとに、まず生成系AIでベースとなる顔を作成したのち、さらに生成系AIを用いて髪型などの微修正を行い「C.C.レモン」の顔としています。

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10.専属AIモデルが、さりげなく新作を着こなす時代になりました

オンライン・セレクトショップ『ELLE SHOP(エル・ショップ)』に導入されたリクエスト型受注生産システム「TSUKUTTE(ツクッテ)」の第一弾リクエスト商品として、アパレルブランド「TEECHI(ティーチ)」の「グルービーパンツ コーデュロイワイドロング」が登場。2023年秋冬モデル ELLE SHOP限定色であるピンクの限定生産受付が開始され、その専属モデルとしてAIモデルが採用されました。

TEECHIのようにECサイトでの販売を主とするブランドが増える中、ブランドの世界観に欠かせない商品やコーディネートのスタジオ撮影や、オンライン上のクリエイティブ制作の可能性と効率化に関しては、物理的な制約やコストに関する課題が存在しており、急速に進化する生成系AIの活用については、アパレル業界でも注目が集まっています。

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11.AI技術で幼少期の写真を”自認している性”に変換!?独・NPOの啓蒙施策

生まれた際の生物学的な性別と性自認に差異があるトランスジェンダーやクィアの人々は、その自認に至るまでの間、すなわち幼少期の思い出を心の奥底に仕舞い込んでしまうことがあります。同時に幼少期に撮られた写真を、友人やパートナーに対して見せたくても見せることができない問題も抱えています。

そうした課題と正面から向き合い根本的な解決の糸口を見つけるべく、ドイツの大手広告代理店Serviceplanとヨーロッパ圏で啓蒙活動を行う複数のNPOは、AIツールの力を通じて彼・彼女らの幼少期の写真を、実際に自認している性に変換する施策を行いました。

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12.コンデンスミルクと画像生成AI「Midjourney」で振り返るコロンビアの100年

南米大陸の北端に位置するコロンビアにおいては、デザートをはじめとした多くのメニューにコンデンスミルクが使われており、牛乳と砂糖が歴史的に重宝されてきた歴史があることが伺えます。そんなコンデンスミルクの老舗ブランドLa Lecheraは、100年もの間コロンビア国民に愛されてきたことを記念するために、最新技術と歴史的な出来事、そして菓子職人が誇る伝統的な技能を組み合わせることで未だかつてない“歴史的なコンセプト”のデザートを開発しました。

施策は、1920年代から2010年代までの100年間を10年ごとに区切り、各年代においてその時代を象徴するような歴史的な出来事の単語と、アートをはじめとした文化の変遷を表現する単語、そしてコンデンスミルクという単語を組み合わせて画像生成AIのMidjourneyで架空のデザートの画像を生成。その画像をベースにプロのパティシエに再現してもらい、これを10回繰り返すことでコロンビアの歴史と発展そのものをコンデンスミルクで表現したデザートを10種類開発しました。

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13.社員の個性を”AIラップ”で言語化!MCネームつき自己紹介動画がおもしろい

中途採用サービス「ミイダス」は、博報堂の研究機関「UNIVERSITY of CREATIVITY(ユニバーシティ・オブ・クリエイティビティ)」(以下 UoC)が開発したAIラッパーシステムを導入し、自分ではなかなか紹介しづらい自己のパーソナリティやストレス耐性といったコンピテンシーを代弁してくれる「ミイダスラップ」の提供を開始しました。

パーソナリティを体現したMCネームは合計19名で、動画の本数は約5,670本あり、診断結果に合った1本が表示されます。動画はDL保存することができるので、ちょっとした自己紹介の場で披露することも可能。また、TwitterやLINEなどSNSを通じて簡単にシェアすることができます。この機会にフォロワーや友だちに「ミイダスラップ」で自己紹介してみるというのもいいかもしれません。

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14.“小麦粉を投げる新婦の絵”? AIイラストツールで正しい綴りを知ることの大事さを描いた仏・出版会社

フランスで高い認知度を誇る辞書や文法参考書を出版するBescherelleが、単語の正しい綴りを把握することの大切さを描いたプリント広告を公開し、AIイラストツールの発達によって言葉だけで絵が描けるようになった現代において、綴りの間違いによって予想とは異なる作品が誕生する可能性をユーモアあふれるビジュアルで表現しました。

ビジュアルは5種類で、いずれのバージョンにおいても右下に「AIのおかげで言葉だけで絵が出力できるようになりました。正しい言葉が使えるといいですね」と皮肉たっぷりのフレーズが書かれており、中央には出力された絵と、その上には出力するにあたり元となった指示フレーズが記されています。

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15.あの味ぽん®がフォトグラファーに? しあわせ顔を自動認識するAIカメラで撮影した「リュックと添い寝ごはん」のMV

「半径1メートルのしあわせ」を提案するさまざまなコンテンツを通じて、家族や気の合う友人たちと過ごす身近なしあわせを提案する「しあわせ、ぽん!」プロジェクトを2022年5月から始動しているMizkan。

そのプロジェクトの一環として、若年層を中心に人気の4人組バンド「リュックと添い寝ごはん」とタイアップを実施し、味ぽんが開発したAIカメラ「しあわせ、ぽん!カメラ」で撮影した写真を使った楽曲「Familia」のMVを公開しました。

MVには、「しあわせ、ぽん!カメラ」の特徴である、カメラが「しあわせ顔」を認識することでシャッターを自動で切る機能により、各メンバーの何気ない「しあわせ顔」がたくさん詰め込まれています。

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AI活用事例まとめ

いかがでしたか? 一口にAIと言っても、その活用方法は多種多様です。広告のビジュアルに使用するだけでなく、一歩踏み込んだ合わせ技でのブランディングやマーケティング活用など限られた業種ということでなく、活用が進んでいる印象があります。

ただ、たくさんの事例が出揃うとともにAIを使用したというだけでは、新鮮味がなくなってきた部分もあります。今後は、AIをより上手に使いこなし、企画力で訴求することが求められそうです。

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