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「お金」と「幸せ」の関係って複雑です。仕事に家庭にと、毎日のように我を忘れるほど忙しくしていると、それはなおさらわかりにくいものになっていってしまうものかもしれません。そこで今回は、「お金」と「幸せ」をめぐるちょっとステキな実話をお伝えします。
カードも何も無くても、ただ「お金をあげます」とお札が出てくるATMがあったらどうします?
ある日、スペインの街角に突然あらわれたのは、まさしくそんな不思議なATMでした。すごくラッキー? それとも不気味? 遭遇した人々の表情は様々です。
このATM、近づくと「100ユーロ(1万2000円)引き出してください。カード不要」というメッセージが画面に表示されます。「はい」を押すと今度はこんな文面が。
「ただし、引き出せるのは誰かに分けると約束した人だけですよ?」
出てきたお金は誰かと分けあえ、というのです。さらに「はい」と押すと、「分け方のヒント要りますか?」といって「近所の子供たちのために昔語りの人を呼ぶ」「妊婦さんにおむつを買ってあげる」などのアイデアが提示されました。これにも「はい」を押すと、なんと本当に100ユーロがATMから出てきてしまいます。
これはコカ・コーラのキャンペーンの一環で作られた3分間の映像で、後半はこのドッキリでお金を受け取った人々が100ユーロという「小さな幸せ」をどうやってシェアしたかがそれぞれの投稿映像によって描かれます。
プレゼントの三輪車を玄関ドアの前に置いてピンポンダッシュして逃げる青年、寒い夜に山のような焼きたてトルティーヤを道行く人に配る陽気なおじさん、ぴかぴかのバスケットボールをサンタクロースのようにたくさん背負って空き地で遊ぶ子どもたちに次々と投げ与えるお兄さん。
どの人もみんな、ものすごくイイ笑顔で最高に楽しそうなのが印象的です。「誰かと幸せを分けあう」ということが、人間にとっていかに喜びをともなう行為なのかがありありとわかります。
スペインは今、過酷な経済不況に陥っていて、深刻化する失業問題にも解決の糸口が見えません。そんな状況の中でも実に律儀に「このお金を誰かと分ける」という約束を守り、それぞれにお金の使い道を考えた彼ら。
自分1人のために使ってしまえばあっという間の100ユーロですが、こうして小さな幸せをシェアしたことで、一生忘れない最高に豊かな100ユーロになったんだと思います。
(文/編集部・吉川)