7月31日に発売した『キャストサイズ夏の特別号2015』で村井良大さんに
『RENT』についてインタビューさせていただきましたが、
キャストサイズチャンネルでは、そんなインタビューの続きを掲載。
9月8日から始まる『RENT』に合わせて、ぜひお読みください。
『RENT』についてインタビューさせていただきましたが、
キャストサイズチャンネルでは、そんなインタビューの続きを掲載。
9月8日から始まる『RENT』に合わせて、ぜひお読みください。
■Profile:
村井良大(むらい・りょうた)
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/murai-ryouta/
『RENT』はDVDで見て泣いた
村井 今はボイトレ中です。2週間でリズムや音程をカッチリやってから本稽古に入るというスケジュールですね。
――『RENT』というお芝居、あるいは村井さんが演じるマークの気持ちに徐々に近づいているという実感はありますか?
村井 まだ探り探りです。それこそ、台本をまだもらっていないんです。英語の内容は全部わかっていますが、それが日本語でどう訳されているか。今、稽古している歌にしても、けっこうリズムや音程が変わるんですよ。それを解読中で、「このリズムでこのキーになるなら、こういう感情になるのかな?」なんてことを考えています。
――あらためて、『RENT』というミュージカルを最初に見たときの感想をお聞かせください。どんな印象を持ちましたか?
村井 『RENT』はブロードウェイのミュージカルで、映画にもなっているんですが、僕は最初に映画バージョンを観たんです。舞台版の初演に出ていた人たちが、ほぼ映画版に出演しているんです。舞台版のDVDは、ロングランした『RENT』の大千秋楽を収録したもので、それは後から観ました。映画版を先に観たから、舞台版を観たときに、すごく景色がわかりやすかったです。舞台って、背景が真っ黒でも演者が演じることによって、お客さんに「こういう場所なんだろうな」と想像させるものですよね。映画はそのあたりがすごくわかりやすく、きれいに描かれているんです。
――舞台になっているニューヨークの街角の風景がしっかり描かれていましたね。
村井 それと映画版と舞台版は、けっこう構成も違うんです。映画版はいきなり「SEASONS OF LOVE」で始まるんです。舞台版は、前半は楽しいけど枯渇している話で、後半は潤っていくんだけど、どんどん寂しくなっていく。仲間割れしたり、孤独になったりして、悲しい話になるんです。
――舞台版の『RENT』を観たときの感想はいかがでしたか?
村井 僕は舞台のDVDを見て泣くことってないんです。DVDの良さはあるけど、僕は普段、生で芝居をしている人ですし、舞台は生で観るほうがいいなぁ、と思っているんです。でも、『RENT』はDVDで見て泣いたんですよ! じゃ、生で観たらどうなるんだろうって(笑)。
――ものすごいことになりそうですね(笑)。
村井 『RENT』の舞台版DVD(「ライヴ・オン・ブロードウェイ」)は、劇場でも収録しているんですが、お客さんのいない状態でも別の日にも撮影しているんです。しっかりカット割されていますし、カメラの寄り方とか、フォーカスの合い方とかが、本当に良いんです! 演劇のDVDなんですけど、ライブっぽく撮っているんですよ。歌っている人の表情をすごく寄って撮ったり。カメラマンもすごくよくわかって撮っているんでしょうね。その感じが今まで見たことなくて!
――普通、舞台のDVDはそれほど極端に寄ったりはしませんよね。
村井 『RENT』はズイズイ行きますからね! ライブでギリギリの表情を狙うところが、まさにロックっぽいんですよ。「ライヴ・オン・ブロードウェイ」は心の動きをカメラでちゃんと捉えているんです。それが素晴らしいですね。これを超える舞台のDVDはないかもしれません。
――元の舞台が良いのに、DVDもまた良いんですね(笑)。
村井 本当に最高ですよ。スタッフの愛情も伝わるし、それを見れば感動するし。舞台を残すなら、こういうものを撮りたいですね。
マークは振る舞いは熱くて、内面は静か
――『RENT』は1989年が舞台で、今から25年以上前の話なんですが、コアの部分のメッセージが非常によく伝わってくると思います。
村井 時代を超えたものがありますね。エイズ問題は、今はあまり世界的に騒がれてはいませんが、病気と闘う人たちは世界のどこにでもいるし、どんな時代の話でも胸を打つものがありますよね。『RENT』で切り取られていたのが、ニューヨークのエイズだったということで。
――病気もそうですが、若者たちは世界のあちこちでそれぞれの問題を抱えて悩んでいるわけですからね。
村井 そういう意味では、何年も愛される作品なんだな、って思いますね。メッセージもすばらしいし、音楽もすばらしい。すごいなぁ、とただただ思います。僕たちもスタッフ、キャストと一緒に、僕たちにしかできない『RENT』をやっていけたらいいですね。
――マークという役柄を、村井さんはどのように捉えていますか?
村井 彼は映画オタクで、恋人にふられて、その恋人が実はバイセクシャルだったりと、ちょっと面白おかしく描かれているんでしょね。ストレート(異性が好き)で、エイズにもかかっていなくて、とても普通なんです。でも、オタクといっても物静かというわけではなく、非常にパッションの強い男なんですよ。
――メガネ姿で見た目は大人しそうですけど、実はそうではないと。
村井 むしろ、(ルームメイトでロックミュージシャンの)ロジャーよりロックな精神を持っていると思います。ロジャーのほうは、見た目は熱そうだけど、振る舞いは静かで、でも内面は熱い。マークは、見た目は大人しそうだけど、振る舞いは熱くて、内面は静か。非常に面白い精神の持ち主だな、と思います。
――なるほど。
村井 マーク役については、最初にオフブロードウェイで『RENT』が上演されたとき、最初に演じたアンソニー・ラップが、演出家のジョナサン・ラーソンとすごく話し合ったはずなんですね。だから、マーク役は、アンソニー・ラップさんの性格がかなり入り込んでいると思います。その人が作ったマークが伝説になった。だから、その人を超えるマーク役はもう存在しないと思うんです。それが原型なんですから。アンソニー・ラップさんの目つきって、本当にすごいと思うんです。見た目も変わってるし、(挿入歌の)「タンゴ・モーリーン」を歌うときも、ダンスの仕方も音の取り方もすごく変なんですよ(笑)。それが面白くって。いろいろなマーク役の人はいるけど、アンソニー・ラップさんのマークは彼だけのものだし、彼こそがマークなんだから。でも彼以外の歴代マークを演じてきた役者さんたちはみんな、自分たちの感性でマークを作ってきたと思います。歴史のある作品になると、見た目の感じや雰囲気で「マークっぽいね」と判断されることが出てくると思うんですが、さらにマークに近づくにはどうすればいいんだろうと考えています。演出家さんや台本も含めて、突き詰めていかないといけないですね。
――時間も役もずっと連なっていて、その一端に村井さん演じるマークがいるわけですね。
村井 だから、『RENT』のことを知れば知るほど面白いんですよ。
『RENT』はDVDで見て泣いた
――今年の夏は『RENT』の稽古で非常に忙しいと思いますが、現在はどの段階なんでしょう?
(取材は6月30日)
(取材は6月30日)
村井 今はボイトレ中です。2週間でリズムや音程をカッチリやってから本稽古に入るというスケジュールですね。
――『RENT』というお芝居、あるいは村井さんが演じるマークの気持ちに徐々に近づいているという実感はありますか?
村井 まだ探り探りです。それこそ、台本をまだもらっていないんです。英語の内容は全部わかっていますが、それが日本語でどう訳されているか。今、稽古している歌にしても、けっこうリズムや音程が変わるんですよ。それを解読中で、「このリズムでこのキーになるなら、こういう感情になるのかな?」なんてことを考えています。
――あらためて、『RENT』というミュージカルを最初に見たときの感想をお聞かせください。どんな印象を持ちましたか?
村井 『RENT』はブロードウェイのミュージカルで、映画にもなっているんですが、僕は最初に映画バージョンを観たんです。舞台版の初演に出ていた人たちが、ほぼ映画版に出演しているんです。舞台版のDVDは、ロングランした『RENT』の大千秋楽を収録したもので、それは後から観ました。映画版を先に観たから、舞台版を観たときに、すごく景色がわかりやすかったです。舞台って、背景が真っ黒でも演者が演じることによって、お客さんに「こういう場所なんだろうな」と想像させるものですよね。映画はそのあたりがすごくわかりやすく、きれいに描かれているんです。
――舞台になっているニューヨークの街角の風景がしっかり描かれていましたね。
村井 それと映画版と舞台版は、けっこう構成も違うんです。映画版はいきなり「SEASONS OF LOVE」で始まるんです。舞台版は、前半は楽しいけど枯渇している話で、後半は潤っていくんだけど、どんどん寂しくなっていく。仲間割れしたり、孤独になったりして、悲しい話になるんです。
――舞台版の『RENT』を観たときの感想はいかがでしたか?
村井 僕は舞台のDVDを見て泣くことってないんです。DVDの良さはあるけど、僕は普段、生で芝居をしている人ですし、舞台は生で観るほうがいいなぁ、と思っているんです。でも、『RENT』はDVDで見て泣いたんですよ! じゃ、生で観たらどうなるんだろうって(笑)。
――ものすごいことになりそうですね(笑)。
村井 『RENT』の舞台版DVD(「ライヴ・オン・ブロードウェイ」)は、劇場でも収録しているんですが、お客さんのいない状態でも別の日にも撮影しているんです。しっかりカット割されていますし、カメラの寄り方とか、フォーカスの合い方とかが、本当に良いんです! 演劇のDVDなんですけど、ライブっぽく撮っているんですよ。歌っている人の表情をすごく寄って撮ったり。カメラマンもすごくよくわかって撮っているんでしょうね。その感じが今まで見たことなくて!
――普通、舞台のDVDはそれほど極端に寄ったりはしませんよね。
村井 『RENT』はズイズイ行きますからね! ライブでギリギリの表情を狙うところが、まさにロックっぽいんですよ。「ライヴ・オン・ブロードウェイ」は心の動きをカメラでちゃんと捉えているんです。それが素晴らしいですね。これを超える舞台のDVDはないかもしれません。
――元の舞台が良いのに、DVDもまた良いんですね(笑)。
村井 本当に最高ですよ。スタッフの愛情も伝わるし、それを見れば感動するし。舞台を残すなら、こういうものを撮りたいですね。
マークは振る舞いは熱くて、内面は静か
――『RENT』は1989年が舞台で、今から25年以上前の話なんですが、コアの部分のメッセージが非常によく伝わってくると思います。
村井 時代を超えたものがありますね。エイズ問題は、今はあまり世界的に騒がれてはいませんが、病気と闘う人たちは世界のどこにでもいるし、どんな時代の話でも胸を打つものがありますよね。『RENT』で切り取られていたのが、ニューヨークのエイズだったということで。
――病気もそうですが、若者たちは世界のあちこちでそれぞれの問題を抱えて悩んでいるわけですからね。
村井 そういう意味では、何年も愛される作品なんだな、って思いますね。メッセージもすばらしいし、音楽もすばらしい。すごいなぁ、とただただ思います。僕たちもスタッフ、キャストと一緒に、僕たちにしかできない『RENT』をやっていけたらいいですね。
――マークという役柄を、村井さんはどのように捉えていますか?
村井 彼は映画オタクで、恋人にふられて、その恋人が実はバイセクシャルだったりと、ちょっと面白おかしく描かれているんでしょね。ストレート(異性が好き)で、エイズにもかかっていなくて、とても普通なんです。でも、オタクといっても物静かというわけではなく、非常にパッションの強い男なんですよ。
――メガネ姿で見た目は大人しそうですけど、実はそうではないと。
村井 むしろ、(ルームメイトでロックミュージシャンの)ロジャーよりロックな精神を持っていると思います。ロジャーのほうは、見た目は熱そうだけど、振る舞いは静かで、でも内面は熱い。マークは、見た目は大人しそうだけど、振る舞いは熱くて、内面は静か。非常に面白い精神の持ち主だな、と思います。
――なるほど。
村井 マーク役については、最初にオフブロードウェイで『RENT』が上演されたとき、最初に演じたアンソニー・ラップが、演出家のジョナサン・ラーソンとすごく話し合ったはずなんですね。だから、マーク役は、アンソニー・ラップさんの性格がかなり入り込んでいると思います。その人が作ったマークが伝説になった。だから、その人を超えるマーク役はもう存在しないと思うんです。それが原型なんですから。アンソニー・ラップさんの目つきって、本当にすごいと思うんです。見た目も変わってるし、(挿入歌の)「タンゴ・モーリーン」を歌うときも、ダンスの仕方も音の取り方もすごく変なんですよ(笑)。それが面白くって。いろいろなマーク役の人はいるけど、アンソニー・ラップさんのマークは彼だけのものだし、彼こそがマークなんだから。でも彼以外の歴代マークを演じてきた役者さんたちはみんな、自分たちの感性でマークを作ってきたと思います。歴史のある作品になると、見た目の感じや雰囲気で「マークっぽいね」と判断されることが出てくると思うんですが、さらにマークに近づくにはどうすればいいんだろうと考えています。演出家さんや台本も含めて、突き詰めていかないといけないですね。
――時間も役もずっと連なっていて、その一端に村井さん演じるマークがいるわけですね。
村井 だから、『RENT』のことを知れば知るほど面白いんですよ。
■『RENT』オフィシャルサイト
テキスト:大山くまお