大きな盃(さかずき)を“武蔵野”と呼ぶことがある。平らな盃を広大な関東平野(武蔵野)に例えた表現とも、“呑み尽くせない”と“(広すぎて)野、見尽くせない”にかけた洒落とも言われている。
しかし杯の端が徐々に上がっていくように、関東平野も北や西に向かうと山裾へ到達する。新宿や渋谷などに“○○坂”と付く地名や道路が多いのもそれが原因だ。
『東京凸凹地形-地形から見た東京の今昔-』では、『第1部 東京の地形』と『第2部 東京の凸凹を体感する』に分けて、大都市東京がいかに起伏に富んだ地形をしているかを分かりやすく展示している。
『第1部 東京の地形』で面白かったのは、東京の東と西とで全く地形が異なること。山裾の西から東に向かって、どんどん埋め立てられていったことが分かる。
同時に東京にたくさんあった小川が消えていったことも分かり、都市開発でやむを得ない部分があったのだろうが、どこかやるせない気分にもなった。
『第2部 東京の凸凹を体感する』は、麻布、渋谷、日比谷、上野、国分寺の移り変わりを資料や書籍、図版などで解説している。
国分寺の展示に『武蔵野夫人』(大岡正平著)があったのは、なかなかのチョイス。
展示の最後に、東京の地形にかけたクイズも用意されていた。都内の地理に詳しい人でも全問正解は難しいのではないだろうか。見学した人は、ぜひ挑戦してみて欲しい。
その後にドーンと置かれているのが、『東京の微地形模型』だ。
南洋堂書店が、2012年に開催した『東京の微地形模型展』で展示し好評を博したもので、東京中心部を再現した模型にプロジェクションマッピングで様々な情報を投影する。
江戸城を中心とした水路や道路や線路の展開も興味深かった。
その中で最も注目してしまったのが、海面上昇を仮定しての東京の水没状況だ。
海面を1mごとに上昇させていき、水没した部分が茶色になる。
4m上昇しただけで、東京都の東側だけでなく、日本橋や銀座近辺まで水没する。
8mで都心は完全に水没。
20mで内陸部も相当水没し
30mを超えるとほぼ海の中となる。
こうしたビジュアルを、ひと回り約15分で眺めることができる。まだ見たことの無い人は、ぜひ見て欲しい。
『東京凸凹地形-地形から見た東京の今昔-』概要
場所:東京都立中央図書館(東京メトロ日比谷線の広尾駅から徒歩5分)
期間:2017年2月12日まで
時間:午前10時から午後5時30分(金曜日は午前10時から午後8時)
料金:無料
休館日:12月29日から1月3日の他、主に平日に休みあり
※写真は全て著者撮影
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(執筆者: keisen) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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