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神社の鳥居といえば2本の柱の上に笠木と島木を渡して、その下に貫(ぬき)を入れたものが一般的ですが、福井県庁にほど近い閑静なビル街の中にある福井神社の鳥居は、コンクリート製で貫がないという独特のシンプルかつモダンなデザインとなっています。

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第16代越前福井藩主で幕府の政事総裁職を務め、島津斉彬・山内豊信・伊達宗城と並び幕末四賢侯と称された松平春嶽公(1828-1890)。福井神社は春嶽公を祀るために1943年に別格官幣社として創建されました。しかし、1945年7月の戦災のためわずか2年で焼失してしまいました。

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その後、1957年に再建。その際に福井大学工学部の設計が再建したのですが、コンクリート打ち放しで、伊勢神社に代表されるような神明造をアレンジした傾斜の無いフラットな屋根という神社としては独特の建造物となっています。鳥居も同じく福井大学工学部の設計で、おそらく日本で1、2位を争うくらいモダンな社(やしろ)といえるのではないでしょうか。

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拝殿からはガラス張りの先の本殿が垣間見えることができるというのも、なんとも開放的。そこに賽銭箱と鈴が置かれているのは何となくシュールですが、重々しい扉が神社の威厳を保っています。

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拝殿の脇には、2009年に天皇皇后両陛下が第60回全国植樹祭ご臨場された際に幣饌料を賜ったことを示す碑銘が立っていました。神社の格式を感じさせてくれますね。

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また、拝殿の向かって左側には、幕末の福井藩士、中根靱負・鈴木主税・橋本左内を祀る恒道神社が摂社として建てられています。こちらも本殿・拝殿と同様にシンプルかつモダンなデザイン。とりわけ左内は時の大老・井伊直弼による安政の大獄で斬首になったことで知られているだけに、幕末維新頃の歴史ファンにとっては訪れる価値があるのではないでしょうか。

福井県では、明治維新から150年を迎える2018年に向けてNHKの大河ドラマを誘致する運動を行っていました。それによると、福井藩士で五箇条の御誓文の起草に参画し、維新後も岩倉使節団に随行するなど活躍した由利公正(1829-1909)が主人公候補で、誘致が実現した暁には春嶽公や左内も重要人物として登場することは間違いないところだったのですが、残念ながら薩摩藩と西郷隆盛にクローズアップされた『西郷どん』に決定してしまいました。
このように、ちょっとマニアックですが、福井に訪れた際は幕末期に活躍した春嶽公や左内を偲ぶために神社にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

福井が舞台の「大河ドラマ」(福井県ホームページ)
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/brandeigyou/brand/taiga.html [リンク]

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