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杉並区での異議申し立てを受けて待機児童問題を考える(下)
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杉並区での異議申し立てを受けて待機児童問題を考える(下)

2013-03-06 06:04
    杉並区での異議申し立てを受けて待機児童問題を考える(下)

    この記事は【杉並区での異議申し立てを受けて待機児童問題を考える(上)】の続きです

    http://getnews.jp/archives/295909

    今回は目黒区議会議員 秋元かおるさんのブログ『kaologue』からご寄稿頂きました。

    ■杉並区での異議申し立てを受けて待機児童問題を考える(下)

    前回は、杉並区の様な行政不服審査法に基づく異議申し立てが目黒区で行われる可能性を指摘し、それでは待機児童の問題に関して目黒区はどうすべきかという問題提起までを行いました。

    待機児童の問題を解決する為には、「保育サービス」を増やす事が最も効果的な策である事に異議を唱える人は少ないと思います。(子育ては家庭で行うべきであるという意見がある事は承知しています。)

    では、どうしたら「保育サービス」を拡充する事が出来るでしょうか?

    認可保育園をバシバシ増やす事は理想ではあると思います。

    しかし現実に目を向けると財源的な問題がありますし、公立で認可保育園にする際には加えて時間的、そして人材的な制約も生じてきます。

    現実的な解と考えるのは、東京都の基準である認証保育園を始め、マンションの一室を利用しているグループ型小規模保育等の様々な手法を行政側で助成制度や品質の管理体制を整えて、民間事業者からの参入を促す事です。

    グループ型小規模保育事業は目黒区でも昨年度より実施しておりますし、今回の件をうけて杉並区で初めて適用される小規模保育整備促進支援事業(東京スマート保育)など保育サービスのメニューを準備しておくことが行政の役割ではないでしょうか?

    私は、代表質問でも質疑しましたが目黒区で未だ導入していない「保育所分園」が重要になってくると思います。

    保育所分園とは、本体となる保育所とは離れてはいるものの一体的に運営される小規模の保育施設の事を言います。保育所分園のメリットは、公有地や民間マンションの有効活用、教育機関との連携により学校敷地内に設置することが可能な事や、保育需要が減った場合に本園に吸収するなど、柔軟に対応しやすい事が上げられます。

    つまり、保育需要の変動に弾力的に対応する事が出来る制度なのです。

    今回のことから行政が保育需要を適切に読んで認証保育園を整備する事が如何に難しいかが判ります。

    待機児童対策として、目黒区議会にも「目黒区立保育園の民営化に反対し、区立の認可保育園を増やす様にして欲しい」という趣旨の陳情が提出されました。

    認可保育園が増えていく事は望ましいですが、必ずしも区立の認可園でなくてはいけないという主張には賛同する事は出来ません。

    確かに、区立の認可園を私立に運営形態を変えるだけでは保育の定員は増える事はありません。しかし、区立と私立の保育園ではコスト面で雲泥の差があるのです。

    質疑で明らかにしたことですが、定員100人程度の区立認可保育園を廃止する事で約1億1千万円の財源を生む事ができます。

    そして、同程度の私立の認可保育園を整備する為には、各種補助金を含めると区の負担は約9,000万円の財源で足ります。

    今回4園を廃止する事で約4億4千万円の財源が生み出されるのですから、私立の認可保育園は5園整備する事が出来るのです。

    つまり、区立の認可保育園を4園廃止したその財源で5園の私立認可保育園を生み出す事ができるのですから100名もの定員拡大を図る事が出来るのです。

    保育の質と言う面を主張される方々もいます。確かに認可外の保育所では必ずしも良いとは言えない環境で保育を受けている子どももいます。

    しかし、同じ「認可保育園」という施設面などで同じレベルであるにも関わらず、保育の質が私立では担保されないという主張には首肯する事は出来ませんし、まず優先的に考えなくては行けないのは、保育所に預けられない保護者の不安を解消する事では無いでしょうか?

    これは一例に過ぎませんが、公立のサービスは人件費が高いので非常にコストが高くなっています。

    だからこそ同じ程度のサービスを受ける事が出来るのであれば、民間業者に任せれば良いのでは無いでしょうか?

    そして、行政は不正が行われていない事、品質面が担保されている事をチェックするという役割に移らなければならないと考えています。

    執筆:この記事は目黒区議会議員 秋元かおるさんのブログ『kaologue』からご寄稿いただきました。
    寄稿いただいた記事は2013年03月05日時点のものです。

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