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鳩山元首相の引退に辺野古基地の近くに住んでいた沖縄出身政治家志望の僕が思うこと
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鳩山元首相の引退に辺野古基地の近くに住んでいた沖縄出身政治家志望の僕が思うこと

2013-01-09 16:32
    鳩山元首相の引退に辺野古基地の近くに住んでいた沖縄出身政治家志望の僕が思うこと

    今回は嶺井 祐輝さんのブログ『MINERA』からご寄稿いただきました。

    ■鳩山元首相の引退に辺野古基地の近くに住んでいた沖縄出身政治家志望の僕が思うこと
    ルーピー鳩山でお馴染みの鳩山元首相は、今回の選挙出馬を断念したそうです。僕は彼を例年稀に見るビジョナリーなリーダーだったと思います。

    珍答と言われメディアではやし立てられた彼の当時の発言ですが、僕はその一つ一つに揺るぎない哲学を感じます。例えば「日本は日本人のものじゃない」という言葉を切り取ればクレイジーですが、「大地は自然のものだ」と言っていればまともに取れるでしょう。

    長い時間をかけて培われただろうその友愛哲学に、成否は置いておいても敬意を払わざるを得ません。

    ただ、皮肉なことに、その揺るがないビジョンを実行に移す段階で、現実の壁は大きかったのでしょうね。「やるといったことはやる」と決意していたとしても、実際には何もやれなかった。

    マニフェストに書き、街頭演説で訴え、多くの市民に応援を受け、総理大臣になってもなお何もやれなかった

    ●基地問題のことを振り返る。
    彼の唱えた「最低でも県外」は沖縄県民の悲願です。沖縄の住宅街上空、学校の授業中ですら、飛行機はビュンビュン飛んでいます。オスプレイ配備で騒いでいますが、昔から授業中、学校の近くでは窓がガタガタ鳴ってうるさいときが何度もありました

    普天間基地の辺野古への移設は、その県民負担を普天間基地周辺から辺野古キャンプ・シュワブへ移し替えるだけの施策でした。

    辺野古区民が納得したかといえば、僕は納得していましたが、全員は納得していなかったでしょう。美しい海のある場所です。天然記念物ジュゴンのいる海です。そこに軍艦が浮かんでいる様を、高校の食堂から眺めたのは良い思い出です。校舎のウラには米軍基地があり、グラウンドのフェンスの向こうは訓練地でした。

    マシンガンの音、大砲の音、山火事の煙はそんな僕達の日常風景の一つでした。もちろん、反対意見の座り込みが学校近辺で行われたりもしています。

    そんな辺野古区民の声を聞き、自民党が過去その声を無視していたことを思えば、鳩山元首相があんな無理な発言をしたくなった気持ちは分からなくもありません。なんせ、政権交代を達した直後の首相なんですから。

    ●しかしそれでも僕なら自民党政権の方針を踏襲するだろう
    しかし自民党政権時代、その負担が人口密集地帯普天間から辺野古に移るということは、現状よりはるかにマシであるという判断だったのだと思います。自民党が10年以上かけて調整していたことです。そうホイホイ思いつきで変えられるものではありません。僕が首相だったら、誰になんと言われても自民党を踏襲したでしょう。

    また、人口密集地帯に広い空き地ができることは、那覇おもろまち地区新都心の経済発展に関する野村総研のレポートを見れば、沖縄の経済に大きな果実をもたらすこともあります。

    リスクを小さくしながら、果実を得る。その判断は悪くありません。それがあの発言で後退してしまったのですから、「余計なことしてくれやがって」というのが諦観と納得をしていた僕の正直な感想です。

    さて、政治と人間の汚さと、対比される鳩山元首相のキレイな愚かさが笑えますが、負担を押し付けられる形になっていた辺野古区には自民党政権時代から補助金がジャブジャブ与えられ、その規模に似合わぬ美しいハコモノ施設がたくさん建設されました。

    何を隠そう、僕の通っていた高校は沖縄工業高等専門学校で、2008年に1期生が卒業した新設校です。なぜ辺野古にできたかといえば、辺野古区の発展を補助する意図があったという話はよく聞きます。

    ちなみに、今年になって2000億円の一括交付金が民主党からも沖縄に与えられましたが、僕が住んでいた自治体は使い切れずに困っている始末です。

    彼から僕らは学ぶべきである

    結局、彼の友愛哲学はお花畑の世界を飛び出すことはなく、せめて弱い人を助けたいと思ったその切ない気持ちですら国民には冷ややかに見られています。善良なる気持ちで物事にあたった結果が、国民を騙す形になったのは皮肉なことです。イイトコのボンボンで余裕があった彼は素直で慈しみのある育ち方をしたのでしょう。

    彼の存在は「総理大臣になれれば何か残せる」と考えている現実を知らない熱き若者に、「1人の考えでできることなんて大してねぇよ」という冷たいナイフを突きつけているのだと思います。

    僕らは彼から学ぶことが多く有るように思います。

    政治人生をかけてつくったその哲学が受け入れられることなく、国民はついてこず、実現への一歩は非常に小さく、自分自身は使い捨てられたかのようになってしまった。彼が出馬を断念した際に、自身のホームページに残された言葉は、悲哀があるように感じます。

    彼の政治の力量不足・器量不足で物事を片付けるのは簡単です。同じ過ちを僕らが踏まないためには、失敗した人の思いを引き継がなければいけないのだと思います。一般的な「官僚を使いこなせなかった、使いこなすやり方も現実も知らなかった」という言葉だけじゃ、リアルな事物が浮かんでこない。

    彼が何を感じ、何を反省しているのか。一度話を聞いてみたいですね。

    執筆: この記事は嶺井 祐輝さんのブログ『MINERA』からご寄稿いただきました。

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