料理マンガと主人公の成長

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

■料理マンガと主人公の成長
「少年誌・青年誌の料理漫画には「最初から強い主人公」が多いような気がした」 2013年08月22日 『不倒城』
http://mubou.seesaa.net/article/372661443.html

なかなか面白いテーマだ。実は俺も似たようなテーマを温めていた。きっかけは(上記の記事でも触れられているが)「中華一番」。

中華一番は「中華一番」と「真・中華一番」がある。中華一番の方は主人公マオの成長物語という要素が比較的強いように思う。で中華一番はマオが特級厨師の試験に合格するところで終わっている。

真・中華一番の方はその後の話で、中国を裏から支配しようとする裏料理会との対決が物語の主軸。対決を通してマオの精神面での弱さをつきつけられる等、成長的な要素もないではないが、基本的に料理の腕はずっとほぼ最強。

これを読んでた時、「ああ、マオは成長しきちゃったんだな」と、複雑な心境だった。

「鉄鍋のジャン」も、初期に若干成長の要素があるものの(大量に作った時の水分を計算に入れてなくて、水っぽい料理を作ってしまうとか)、基本的にはずっと無敵状態。で、まさに俺も「料理って成長を描きにくいジャンルなのかな」と思った。

   *   *   *

ただ、じゃあ他のジャンルは成長を描けているかというと、スポーツなら、県大会→全国大会→世界大会みたいに、ステージが上がっていくことで描いている事が多いように思う。バトルマンガなら、対決相手が村の乱暴者→武道大会→宇宙からの敵みたいな。

料理の場合、そういった公式の大会のような客観的な指標が乏しく、偶発的に起きる個人同士のバトルなので、成長が描きにくいのではなかろうか。同じように探偵マンガとかも、コンテストがあるわけではなく、偶発的な個々の犯罪者とのバトルなので、成長が描けない。なかなか勝てない悪の親玉に、最後に勝つというパターンぐらいか。料理マンガでいえば海原雄山ですな。

まあ気がついてみれば当然だけど、成長を描くには何らかの基準が物語に必要で、美味しんぼなら海原雄山、ラーメン発見伝なら芹沢なのだろう。なかなか倒せない宿敵が必要。

また料理は中途半端にリアリティが必要で、敵をインフレできない辛さがある。まったく架空の対決なら上述のように次々に強い敵を登場させ、最後には宇宙の根源悪と対決させればいいのだが…。

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で、これらの要素というのは、プログラマを題材としたマンガが出にくい理由にもなっている気がする。最近少しずつプログラマを題材としたマンガも出てきたが、バトルマンガのようなパターンが確立されていないのだよね。まあこれは利点でもあり欠点でもある。

毎回類例のないあらたなマンガが読めて嬉しい一方で、安定したジャンルにならない。やっぱ「このパターンにそって作れば、新人でもある程度の作品が作れる」みたいな安定パターンはあった方がいい気がする。それが今のところ確立されていない。

なんかパターン化できないものかね。毎回、まったく架空のプログラムを作る課題が与えられる。主人公がそのバトルに勝たないと、庄屋様に娘が売り飛ばされてしまう。そこで主人公が毎回悩むのだが、ふと気晴らしに散歩に出かけた時、鷹が獲物をとる様子をヒントに画期的なアルゴリズムを考え付き、見事勝利する。

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アルゴリズムは荒唐無稽なそれっぽいものでいい。ようは読者をそれぽく騙せればいいのだ。おいおい、俺のプログラムがまだだぜ?ハッなにをいうか、そんなチンケなバブルソートで勝てるわけないだろう。お子様はすっこんでろ。

そうかな?おまえは大事なことを忘れているぞ。この環境ではスタックが潤沢には使えない。それに気づかず安易にクイックソートを使ったおまえの負けだ!みたいな。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年08月24日時点のものです。

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