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地方から女性が消える?(疑似科学ニュース)
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地方から女性が消える?(疑似科学ニュース)

2014-04-26 16:30
    地方から女性が消える?(疑似科学ニュース)

    今回はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

    ■地方から女性が消える?(疑似科学ニュース)
    「“女性が消える社会”いま何が」 2014年04月06日 『NHKニュース おはよう日本』
    http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2014/04/0406.html

    「第1回 女性が消える社会」 2014年04月06日 『NHK NEWS WEB』

    http://www3.nhk.or.jp/news/dj/datafile.jpn/20140406/index.html

    ん~なんかデータの切り口が不自然なんだよね。先ず日本の人口が減っていること、出生率も芳しくないことは散々言われていることでなにも目新しいことではない。また相対的に都市部よりも地方の方が出生率が高いことも。

    ここまでは前座で、ここから「女性」にスポットライトを当てたのがこの記事の特徴なのだが、肝心のここからが途端に怪しげになる。

    まず2040年に20歳~39歳の子育て年齢の女性の人口が現在の半数以下になると推測された自治体が373あるという。でもこれってたぶん女性だけでなく男性もこの比率で減るんだよね。要するに日本全体の人口が減っていくという話を言い換えたに過ぎない。女性に限定した話ではないだろう。それを「女性が減っていく」と表現するのはいかがなものか。

       *   *   *

    続いて伊豆市では平成16年から平成25年で20~30代の女性が30%近く減ったという。

    「伊豆市統計書(平成23年度版)」 『伊豆市役所』

    http://www.city.izu.shizuoka.jp/form1.php?pid=3595#3

    の「人口」の項目

    「1)国勢調査 人口及び世帯数(PDFデータ)」 『伊豆市役所』

    http://www.city.izu.shizuoka.jp/pdf/d3595_8.pdf

    によれば若干期間は違うが次のようになる。

      平成12年男性

      20~24  838

      25~29 1072

      30~34 1006

      35~39 1072

      合計  3988

      平成12年女性

      20~24  900

      25~29 1023

      30~34 1114

      35~39 1048

      合計  4085

      平成22年男性

      20~24  596

      25~29  688

      30~34  786

      35~39  992

      合計  3062 -926 -23%

      平成22年女性

      20~24  593

      25~29  645

      30~34  795

      35~39  918

      合計  2951 -1134 -28%

    男性が23%減なのに対して女性が28%減だから、確かに女性のほうが多く減っているが…。どうなんですかね。この差を大きいと見るか小さいと見るか。

       *   *   *

    さらに女性が減少した最大の理由を女性が働く場の減少と考え、調査を行っている。それによると小売業及び製造業の従業員数が20%減ったという。ただこれも男性との比較がない。女性の職場だけが減っているのか、男女とも職場が減っているのか、これでは判断できない。

    女性だけ減るのと男女とも減るのでは、対策とかも違うと思うんだよね。なぜその点をきちんとはっきりさせないのか。はっきりさせると「女性が減少している」というこの調査の主旨に都合が悪いからではないかと勘ぐりたくなる。主旨を支持する結果なら、「確かに女性だけが減っている」と得意気に示すのではなかろうか。

       *   *   *

    東京都の人口の流入の推移のグラフがある。昭和45年(1970年)から平成22年(2010年)の間の25歳~39歳女性の人口移動。むかしは流出が多かったのに、徐々に流出は減少し、2000年頃に逆転し、最近は流入が多くなっているという。

    むかしは進学や就職のために上京した地方の女性が、この年齢(結婚&子育て)になると地方に戻っていったが、最近はそのまま東京にとどまる傾向になっていると分析している。

    ただこの分析もちょっと荒っぽいのではなかろうか。

    「震災後の国内人口移動(1)-大都市圏の人口移動と特徴(PDFデータ)」 2013年11月25日 『ニッセイ基礎研究所』

    http://www.nli-research.co.jp/report/real_estate_report/2013/fudo131125.pdf

    を見ると、例えばp.4「図表-7 東京圏の人口移動」に1965年から2012年までの転入、転出のグラフがあるが、かなり複雑に増減している。

    p.9には「図表-13 大都市圏・地方圏の男女年齢別転入超過数(2012年)」のグラフがある。東京のグラフも載っているが、15歳~29歳は転入超過、他はプラスマイナスゼロかやや転出が多い。25歳~39歳はちょうどプラスとマイナスの分かれ目の微妙な年齢。

    思うに1970年頃はこの分かれ目がもっと下の年齢にあったのではなかろうか。高学歴化や晩婚化でプラスからマイナスに変化する年齢が上の方にずれたのではないか。それなら25歳~39歳の年齢が転出超過だったのが転入超過に変化した理由は高学歴化・晩婚化のためということになる。

       *   *   *

    元記事では最後にシェアハウスが15年前に比べて15社から600社に急増していることをあげている。また非正規女性労働者の中には仕事を掛け持ちするhとが増えているともいう。平成19年から平成24年で30%増。すなわち地方に女性の仕事がないく、東京にとどまらざるをえず、それが地方の女性人口の減少につながっているといいたいらしい。

    しかし地方に転出する人口が減少し東京に転入する人口が増加してきたのは1970年からの40年間の傾向のはず。その間にはバブルの好景気もあった。それでも一貫して転入のほうが増えているというなら、それは不況のせいではなく、高学歴化や晩婚化さらに働く女性の増加が原因と考えたほうが自然ではなかろうか。

    執筆: この記事はメカAGさんのブログ『疑似科学ニュース』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2014年04月25日時点のものです。

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