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<ディスクロージャー&ディスカバリー>政府活動の適正化のために予算執行の監視という奥の手がある会員無料110:07
<ディスクロージャー&ディスカバリー>政府活動の適正化のために予算執行の監視という奥の手がある
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 第23回のディスクロージャーは、政府活動の適正化をウォッチするための「奥の手」として、予算執行記録の監視という手段について議論した。 政府機関が何らかの活動をすれば、必ず費用が発生する。移動すれば交通費がかかるし、外部事業者から役務の提供を受ければ費用が発生し、予算が執行される。予算が執行されれば必ず記録が残る。 しかも、予算執行の記録はその事業を担当した部署ではなく、通常は会計担当や経理担当の部署の管理下に置かれる。特定の事業の担当部署は様々な理由から、自分たちの活動内容を外部に開示したがらない場合が多いが、不正でもない限り、会計の担当部署は彼らが持つ予算や支出関連の情報を隠したい動機は働きにくい。予算執行情報からは具体的な活動の内容まではわからないが、どういう役職の人間が誰とどこに行ったのかなどがわかるだけでも、活動の外形は推察できる。いわば行政活動の尻尾を掴むことができるので、そこから手繰っていけば、本丸の情報に辿り着ける可能性も出てくる。つまり、正面から担当部署に情報公開請求をしてもなかなか出てこない行政情報が、予算から辿っていくことによって、出てくる場合がままあるということだ。実は日本よりも情報公開が進んでいるアメリカでも、NGOやジャーナリストによってこの手法はよく使われている。 日本では、例えば2001年の情報公開法施行前に、大量の行政情報が廃棄されていた疑惑というものがある。1999年に情報公開法が成立した直後から、法律が施行される2001年までの間に、行政文書が大量に廃棄されているという証言が霞が関の内部であった。しかしその真偽は正面から問い質してもなかなかわからない。廃棄されてしまった文書を開示させることは不可能だからだ。そこで三木氏は、文書の廃棄にかかった予算の開示を求め、その金額から実際の廃棄量を算出したところ、多くの省庁で1999年度から2000年度にかけて、その前後の年度の何倍もの文書廃棄予算が執行されていることがわかった。情報公開法施行直前の行政文書の大量廃棄は本当だったのだ。その中には外務省の沖縄密約に関する文書など、政府にとっては突っ込まれたくない不都合な文書が大量に含まれていた可能性がある。 他にも、旅行命令簿や復命書(報告書)、公用車の運転日誌などからもいろいろな情報を汲み取ることができる。また、警察庁が調達した物品の記録を予算面から精査すると、どのような顔認識ソフトが開発されているかなどがわかったりして、プライバシーや人権侵害が起きていないかなどを確認するための一助となる。これらはいずれも、表から請求してもなかなか出てこない情報だが、予算という入口を使えば貴重な情報を得ることができる場合がある事例だ。 予算執行情報というのは国民の税金が何に使われたかを示す情報のことだ。そのため官房機密費など一部の例外を除き、すべてが開示されて当然だ。予算の執行に関する情報を通じて行政をしっかりと監視することで、行政活動が適正に行われているか、不正や腐敗、濫用が起きていないか、人権やプライバシーが侵害されていないかなどを確認することは、重要な意味を持つ。 行政予算執行の記録とはどのようなもので、われわれはそれをどのように活用することができるのか、また後半では政治資金についてどのような制度設計が望ましいかについて、三木由希子氏とジャーナリストの神保哲生が議論した。(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

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