<永田町ポリティコ>何が「石破らしさ」を阻んでいるのか
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石破政権が発足した。 ところが発足直後から、いや正確には政権発足の前から、石破政権は波乱の船出となった。 先週の金曜日に総裁選を接戦で制し、月曜に晴れて自民党総裁室に入った石破氏を待ち受けていたのは、党官僚による洗礼だった。党では小泉進次郎氏が新総裁になる可能性が高いと見て、小泉氏が繰り返し主張してきた早期解散を前提に準備を進めていた。選対委員長に就いた小泉氏はもとより、森山幹事長も早期解散で既に動いていた。友党の公明党まで早期選挙を求めていた。 しかし、総裁選で石破氏は早期解散を主張する小泉氏に対して、解散総選挙に踏み切る以上、有権者に選択の材料を与える必要があると主張し、最低でも予算委員会を開いて、能登支援のための補正予算の編成を行ってから選挙を行うべきだと主張していた。能登を訪問してその惨状を自身が目の当たりにしたことも、石破氏が補正予算にこだわる理由だった。 党の主流が27日解散を主張する中、石破氏は11月10日の投票で予算委員会の開催を主張した。しかし、多勢に無勢、党にも執行部にも石破氏の肩を持つ人はほとんどいなかった。 確かに党利党略としては早期解散が望まれることは間違いない。新政権の新鮮さが失われる前に選挙に打って出た方が得という考え方も、野党側が候補者一本化のための調整を行う猶予を与えないためにも、早い解散には理があった。予算委員会などを開いて野党の攻勢に晒されるリスクを冒したくないという気持ちもあるだろう。しかし、それでは石破氏が嘘つきになってしまう。それに、そもそも石破氏自身は過去に、党利党略のための7条解散には否定的な発言を繰り返してきた。その立場からも、また自身の前言とも食い違う日程を選ぶことも、石破氏にとっては苦しい判断となった。 結果的に石破氏は憔悴しきった顔で党の記者会見の冒頭で登壇し、普段の石破氏の作法とは明らかに異なる、目の前の原稿を棒読みするというスタイルで27日の選挙を決めたことだけを発表した。1回戦は石破氏の完敗だった。 首班指名を受け首相となった石破氏を次に待ち受けるのは、裏金議員の公認問題だ。裏金議員の公認には否定的な姿勢を見せてきた石破氏にとっては、これが次なる大きな鬼門となる。党内には党内融和のためにも、また自民党の議席の最大化のためにも、裏金議員、特に当選の可能性の高い議員は公認すべきとの意見が根強い。しかし、その一方で、裏金議員の扱い次第では、有権者が石破政権に抱いている、「もしかすると自民党を変えてくれるかもしれない」との淡い期待を完全に打ち砕くことになりかねない。 石破政権の背後で何が起きているのか。なぜ石破首相はここまで「石破らしさ」を発揮できずにいるのか。石破氏の行く手は阻むものとは何なのか。そして、石破氏は最後には有権者の期待に応えられるのか。総裁選と石破政権成立の舞台裏をつぶさに取材してきた政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生に、今回はポリティコ特別版として社会学者の宮台真司を加えて議論した。(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)