<ディスクロージャー&ディスカバリー>自民党大敗の原因となった政治と金に対する有権者の不信感が一向に収まらないこれだけの理由
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国会審議を十分に行ってから国民に信を問うべきという石破首相に持論を曲げさせてまで自民党が早期実施にこだわった衆院選は、自公連立政権の過半数割れという無残な大敗に終わった。 その最大の原因が政治とカネ、とりわけ裏金問題とその後処理がきちんとできない自民党に対して有権者が愛想を尽かした結果だったことが、出口調査の結果などで明らかになっている。 結果的に自民党は2009年に180議席余りを失い政権から滑り落ちた際の歴史的大敗に次ぐ56議席減の惨敗となった。そのうち、裏金問題に関与した46人の候補者のうち28人が落選したほか、現職閣僚も2人落選している。 自民党の石破茂総裁は選挙の翌日の記者会見で、身内の論理を排除し、厳しい党内改革を進めるとした上で、政策活動費の廃止、調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開と残金返納、改正政治資金規正法に基づく第三者機関の設置などを早期に実現することを約束している。 しかし、情報公開クリアリングハウスの理事長で情報公開法や政治資金規正法に詳しい三木由希子氏は、政策活動費の廃止1つをとっても、実際に何が廃止され、何が残るのかが明確でないために、有権者の不信感はまったく拭えていないと指摘する。 そもそも政策活動費なるものには法的な定義がない。政治資金規正法は政治家個人への寄付を原則として禁止しているが、政党または政党支部から議員への寄付は、例外的に認められている。それを便宜的に政策活動費と呼んでいるだけだ。先の国会で行われた政治資金規正法の改正で政党、政党支部から政治家個人への寄付は禁止されることになったが、政党は依然として経費という形で議員に資金を回すことが許されている。寄付が経費という名目に変わるだけでは、実質的に何も変わらないばかりか、政党以外の政治団体も経費として資金を支出できることになるため、資金の流れが以前よりもさらに不透明化する可能性さえあるのだ。 三木氏は、そもそも多額のお金を渡して、その使途は議員個人の裁量に任せるというどんぶり勘定の慣習をやめなければ、有権者の不信感は払拭できないと指摘する。何にする対価であるかはっきりしない資金を議員に渡せば、その議員の歪んだ影響力の行使につながることは避けられないからだ。 また、度々ビデオニュースでも取り上げてきた政治資金収支報告書のデータ化の問題も非常に深刻だが、今回の法改正ではそこも手つかずになっている。現行の公開制度ではどんなに法令を厳しくしても、それが順守されているかどうかを確認することが事実上不可能になっている。そんな法律は有り得ないではないか。それをザル法と呼んでしまっては、ザルに失礼だ。 与党が衆議院で過半数割れし、今後は野党との協力が不可欠になった。先の国会で野党はいずれも自民党よりも遥かに厳しい政治資金規正法の改正を提案している。政治と金、とりわけ金によって法律や政府の意思決定過程が歪められてきたことに対する有権者の怒りと嫌悪感がここまで明確になった今、政治と金の問題を抜本的に正常化できるかどうかが、日本の国会全体に問われている。 第25回のディスクロージャーでは、政治と金、とりわけ現行の政治資金規正法のどこに問題があるのか、なぜ有権者の不信感を払拭することができないのか、そもそも日本の政治は政治と金の問題に限らず、政治の意思決定過程などでもまったく情報公開が遅れていることなどについて、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が総括した。(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)