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小飼弾の論弾 #248 「AIがプログラミング言語を設計!室温超伝導は実現できた?米銀行破綻は連鎖する?」
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小飼弾の論弾 #248 「AIがプログラミング言語を設計!室温超伝導は実現できた?米銀行破綻は連鎖する?」

2023-03-28 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2023年03月21日(火)配信のテキストをお届けします。

     次回は、2023年04月04日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2022/03/21配信のハイライト

    • 「ICCに加盟してない重要な国は?」と「BBCジャニーズ報道」
    • クレディ・スイス危機と「資本家ずるいという意見」
    • YAPC講演とChatGPTとプログラミング
    • 視聴者質問「AIによって教育はどうなる?」「AIの意識」
    • 室温超伝導の可能性と「オスから卵子」&「シン・仮面ライダー」について

    「ICCに加盟してない重要な国は?」と「BBCジャニーズ報道」

    山路:コメントにもあったんですけど、弾さんはYAPC行ってたんかって。

    小飼:行きました。はい。もう3年ぶりにオンサイトでやったんですよね。やっぱり楽しかったな。

    山路:YAPCって、Yet Another Perl Conferenceでしたっけ? Perlだけじゃないんですよね?

    小飼:まぁそうです。僕の話題は厳密にPerlではなくて、Regex、正規表現の話でした。だから、より広範囲なオーディエンスに受けるような話題にしましたね。

    山路:これ、言ってみたらプログラマー、nerdの集まりなわけなんですよね。

    小飼:まあ全くその通りです。ギークの集いです。ギークスの集いです。

    山路:最近話題になっているAIとか、そういうところも話題には当然出てきたりとか。

    小飼:はい、僕自身、ChatGPTはネタとして使わせてもらいました。

    山路:じゃあ、どうします? もう、YAPCのところからチャットGPTの話とかしちゃいます? 後にします?

    小飼:まぁでも、有料で話す話もかなりそこに被っているので。

    山路:じゃあ、もうちょっと後にしますか。

    小飼:そうそう。後の人たちへのお楽しみということで。

    山路:じゃあ、ホヤホヤのニュースというところでいうと、岸田首相がキーウを電撃訪問という話。まだ細かいことは、

    小飼:あれじゃない。WBCで日本がメキシコを逆転したという、

    山路:岸田よりもそっちのほうがデカいだろうっていう(笑)。

    小飼:そっちのほうが大きかったですよね。

    山路:私、リアルタイムで見てましたよ。

    小飼:そうなの? リアルタイムで。

    山路:普段は野球見ないんだけど、つい見てしまいましたよ。なかなか劇的な勝ち方でしたね。大谷が出塁して、次フォアボールでサヨナラで。

    小飼:どうやって逆転したのかというのは、僕は見てないので。

    山路:あ、そうですか(笑)。そんなに興味がないのに、さらにそれよりも岸田のニュースは優先順位が低いという、

    小飼:ニュースがどうやって流れていたかっていう、報道のされ方には興味があります。報道された個々の事象ではなくて、メタな興味があるという。

    山路:ちなみに岸田首相がキーウ、まだゼレンスキーには会っていないみたいですけれども、訪問した意義みたいなことに関してどうですか?

    小飼:いや、だからそれは実際に訪問がなされてみないとわからない。どこまで踏み込むのとかって。だから、今まで武器以外で提供できるものというのは、武器ではないけど、自衛隊の装備というのもちゃんと提供してるわけですよ。

    山路:あと自家発電機みたいなもんとかね。

    小飼:で、けっこう、ウクライナ的においしい兵器というのも日本は持ってたりするわけで。

    山路:何でしたっけ?

    小飼:いっぱいある。

    山路:HIMARSとかそういう。ただ、それって、提供とかのことなんかの、

    小飼:いや、だけれども、今のところは無理だろうね。

    山路:無理でしょう。

    小飼:だから、殺傷兵器というのは、もう、たとえ小銃や機関銃のレベルであっても、

    山路:弾薬レベルでも難しいんですよね、

    小飼:政治的には無理なんだけど、そこまで踏み込んだら、まぁ面白いといえば面白い感がある。

    山路:面白いか(笑)。まぁ面白いけどもな。

    小飼:面白いって言ってるけれども、それ1発撃たれるたびに、ロシア人が何にも死ぬわけだよ。

    山路:それでウクライナ戦争に絡んで言うと、プーチンに逮捕状が出ましたね。

    小飼:おお。いや、でも、子供の誘拐に対してっていうのは、その点があったかっていうのも。

    山路:なんかもう、kidnappingとして訴えられてるっていうのが、

    小飼:子供を引っさらうっていうのは、確かにどの蛮族もやってることで。一番、歴史上で有名な例といえばオスマン帝国のイェニチェリ軍団というのがありまして。キリスト教徒の子供をさらってきて、親衛隊にするというのがあったんですよね。そういうふうに持ってくのかもしれないね。ワグナーの人たちが里親になっているのかもしれない。だけれども、万人オーダーで人さらいしてるんですよね。確かにそれはICCがチャージするというのが、でもそれで国際手配した団体の名前は略語でICCって言うんですけども、実はロシアだけではなくて、かなり重要な国が加盟してないというところがあります。

    山路:中国もってこと?

    小飼:中国も加盟してないけど、もっと重要な。

    山路:もっと重要な国?

    小飼:これコメントを待ったほうがいいかな。ICCに加盟してない重要な国。

    山路:重要って言うのは、大国というか、力の影響がある国って言う意味ですよね?

    小飼:その通りです。

    山路:え、わかんない。アメリカ? ってこと?

    小飼:(コメントを見ながら)そうです。USAです。

    山路:そうなの?

    小飼:正解きました、20番正解です。はい。有名な話です。で、なんでICCの条約に批准してないかっていうと、自国のG.I.がチャージされるんじゃないかと。要は提訴されるんじゃないかと。

    山路:いろんなところに兵隊を送っているからってこと?

    小飼:そうそうそう。そういう意味で、実効性というのはかなり弱いんですけれども、それでも、セルビアの大統領を逮捕して、チャージして、prosecuteして、という実績もあるので、実績は全然ないわけではない。常任理事国でICCに加盟しているのはUKとフランスだけ。イギリスとフランスだけ。マイノリティなんですね、常任理事国で見ると。

    山路:少なくとも実効性はないにしても、象徴的な意味としてICCがプーチンを犯罪者として逮捕状を出したっていうのは、小さくはないという。

    小飼:全然小さくはない。しかも、罪状が未成年を略取したというのは。で、未成年略取といえば、日本にも実績があるな、これ(笑)。

    山路:え? なんの? こっちの? あ、そこに飛ぶか(笑)。これ、この話?

    小飼:そうよ、未成年略取。だから、これ山路さんが上げたのも、この番組で珍しく。

    山路:これ、本当にびっくりするほど沈黙してますよね。文春とか。

    小飼:そう、だから、ニュースではなくて、ニュースになってないというのがイシューだというね。

    「母親の子供連れ去りのほうかと思った」(コメント)

    山路:これ、BBCがこう言ったからといって、でも状況が変わるわけでもないというのが、より怖いところではある。

    小飼:いや、でも本人が鬼籍に入ったわけじゃん。だから少なくとも、北川さんに掘られる心配はもうしなくてもいいわけだよね。

    山路:表現が露骨ですね(笑)。

    小飼:え? 露骨なの?

    山路:これさ、本当に、なんていうか、どうなんでしょう、日本文化、日本社会的なものが現れた事件っていう感じなんですかね?

    小飼:いや、まあ、だけれども、北川先生は軍属というのか、

    山路:従軍してるってこと?

    小飼:もう、名前からもわかる通り。だから、それは日本固有というのか、だから戦後のドタバタというのも。

    山路:そういうものが今まで日本社会で生き残っていたんじゃないかって、弾さん的には見ているってこと?

    小飼:だけども、要はメディアに飯ネタを供給していたということで、メディアからも突っ込みがなかったということですよね。だから、それを政府のほうがやろうとして、今、突っ込まれてますよね。
     ここにはちょっと出てないけれども。大臣。虚偽なのか、なんなのか、

    山路:高市早苗の。早苗議員の、大臣のやつですよね。

    小飼:でも、あっちは北風でやろうとしてたけど、こっちは太陽でやったわけだよね。本当に「タレント」を供給してたわけですよね。まさに太陽ですよね。

    山路:この番組にジャニーズのタレントが来ることはないと思うので(笑)、好き勝手に言っても大丈夫だと思いますけれどもね。

    「やたらと中曽根元総理の名前も聞く」(コメント)

    小飼:ちょっとどういうふうに繋がっているのかというのが、僕もわからないですけど、やっぱり芸能ネタはどうもわからんなという。

    山路:昔の芸能界って相当反社との付き合いがあるっていうのは、よく聞いた話ではあるじゃないですか。そういうのが残ってたものだったりとかするんですかねっていう。

    小飼:というよりも、北川さん自体が今の定義に照らし合わせれば、立派な反社だよね。

    山路:それを言うんだったら、欧米のほうでもエプスタインとか。

    小飼:そうそう。いや、だから、これ見て誰を思い出したかって言ったら、エプスタインですね。

    山路:これは、洋の東西を問わず、関係者が口をつぐんであの人も悪い人じゃなかったというのは意外ではある、

    小飼:「股間を掴め」ってやつですかね。

    小飼:そこでなんで笑いを入れようとするんですか(笑)。それは洋の東西問わずに、そういうことをやるやつはやるし。

    小飼:Grab the nutsっていうやつですかねー。

    山路:被害者は被害者じゃないというふうにもなっちゃうっていうのはあるのかもしれないですけどね。ちょっと国際ニュースのほうに戻ると、ウクラナ戦争の影で、サウジとイランの外交が修復されるって(笑)、

    山路:しかも中国が仲を取り持ったというね。

    山路:びっくりしませんでした?

    小飼:いや、びっくりでもないな。

    山路:あ、そう?

    小飼:中国の目の付けどころが偉いというか、上手いというのか。

    山路:イランとサウジって絶対仲良くならなさそうな国だと思ったんですけど、そんなもんではなかったんですか?

    小飼:いや、イランとサウジというよりも、実はイエメンでサウジを叩いてたほうというのを引導してたのがイランの、政府というよりも、イラン革命何軍だったっけ?

    山路:イラン革命、防衛みたいな、

    小飼:そうそう、国の中に、

    山路:私兵がいるみたいな感じ、

    小飼:そうそう。暴力組織が2種類あって。それが強かったんです。サウジ軍ってすごい金満軍で、予算だけ見れば自衛隊をも凌駕する、少なけれどもドルベースでは。なんだけども、いいようにイエメンというのがフーシのほうにやられててっていう。

    山路:それは単純にサウジアラビアの訓練がなっちょらんからってことなの?

    小飼:どうなんでしょうね。だから、あれほど金満なのに、あれほど冴えない軍隊というのもあんまないというね。装備は素晴らしいですよ、本当に最新のものを一通り取り揃えておりますという。

    山路:『エリア88』の傭兵が活躍しそうな軍隊ではありますね。

    小飼:はははは。砂漠戦車とかいるのかしら。

    山路:砂漠戦車(笑)。これってアメリカなしで和解みたいなことが、和平とかが成り立っちゃったら、中東のパワーバランスは、

    小飼:アメリカなしでっていうのか、アメリカは仲介できるわけではないじゃん。イランとはもう犬猿の仲なので。

    山路:そうですけども、そこのところで中国の影響力がものすごく増えるのですかという、

    小飼:サウジに対してだろうね。イランとアメリカは仲良くできないので。でも、サウジとは少なくとも、いろんな意味で仲がいいわけですよね。

    山路:そこのとこで中国がサウジと仲良くなっちゃって、アメリカからサウジを引き離す的な?

    小飼:うん。

    山路:どんどんまた、中東もわけわからない方向に行くんですかね。

    小飼:意外とわけはわかりやすい。わけはわかりやすいけれども、今さらイランとは和解しにくいはしにくいよね。

    山路:これもう、外交修復で良くなっていくんでしょうかっていう、これから中東の情勢。

    小飼:良くなるとは?

    山路:まあ戦乱とか、そういうドンパチ、あるいはこういがみ合いみたいなことが減るか、増えるか、

    小飼:うーん、さらに少し時を遡ると、似たような理由のおかげでサウジとカタールも仲が悪かったんだよね。
     カタールに対して破門状を出したんだよね。サウジアラビアの強さというのは石油が出ることもさることながら、メッカの守護者という。

    山路:なるほど。宗教総主的な立場でも、

    小飼:そういう強みもあったわりに、なんで軍隊はあんなボロクソにやられてたのかなというのは(笑)。

    山路:これで中東が落ち着くってわけでもなさそうって感じなんですかね。

    小飼:というのか、中東が落ち着くというのは人類史的にもはやあり得るのだろうかというところはある、

    山路:石油をみんなが使わなくなったら、あり得るんですかね?

    小飼:まあでもそれにいちおう備えようとはしてるよ、中東産油国各国は。

    山路:まぁ再生エネルギーの投資とか半端ないですもんね。

    小飼:ニオムとかっていうのがいっぱいTwitterの広告で出てきたりするというのも、

    山路:ニオムって?

    小飼:要は未来都市を、

    山路:細長いやつでしたっけ?

    山路:細長いやつも。六角形のやつも。

    山路:なんか、『進撃の巨人』の城壁みたいな、

    山路:そうそう、

    小飼:要は石油でしのげなくなったら、こっちでしのごうという。

    山路:いや、まあ本当、いろいろ頑張ってはいるんだろうけど、そこも中国も入ってきて、先行きがますますよくわからないような、どんなふうになっていくのかは予想しづらくなってきたような気がしますけど。

    小飼:そうね。

    クレディ・スイス危機と「資本家ずるいという意見」

    山路:じゃあもう一つ、国際関係でこれ、弾さんに解説してもらいたいなと思ったのが、この金融危機の話。

    小飼:あー、なんで取り付け騒ぎで銀行の経営が傾いちゃうのかっていうのの説明からしたほうがいいかな。

    山路:はい。まずはアメリカのシリコンバレーっていう、

    小飼:いや、その前に、それはもう全部忘れて。単に本当に一般論としての銀行というのがどういう存在かと。我々はそれを預金って呼んでますよね。我々のお金であると。でも銀行から見た場合というのは、それ我々から借りてるんですよ。

    山路:借金ですよね。

    小飼:だから銀行にとってはバランスシートの右側に来てるわけですよね。我々の決算とかっていうのは、現金とかっていうのはもう左の一番上にあるでしょ。金庫は逆なんです。右側なんですよ。

    山路:バランスシートを、見る方向が逆になってる。

    小飼:そう。取り付け騒ぎが起こると何が起こるかっていうと、借金ではあるんだけども、いつ返せって言われるかわからないタイプの借金なんですよ、預金というのは。

    山路:一番やべえやつだ。

    小飼:なんだけれども、利息はあるので、要は借りてる以上は利子つけて返さなければいけないので。っていうことはそれを上回る金利で運用しなければいけないわけですよね。それでシリコンバレーバンクの場合というのは何をしてたかっていうと、債券買ってたわけですよね。だから、利回りはそんなにいいわけではないけれども、だけれども、例えば株式とかよりは手堅いもので。ところが、債券の金利が上がっちゃったわけですよね。っていうことは元々持ってた債券の金利というのは、そんなにないわけですから、逆ざやになっちゃうわけですよね。でも、逆ざやにも関わらず、そう、預金を引き出すということは現金化しなければいけないわけですよ。だから、もう泣く泣く売らざるを得ないわけですよ。

    山路:買い叩かれるの承知で売らざるを得ないということなわけですね。もと買った値段よりも。

    小飼:取り付け騒ぎの何が怖いかって言ったら、そこなんですよ。金庫から見たら、お金借りてるわけですよ、預金者の皆さんから。でも、預金者の皆さんはいつ返せって言うかわからないわけですよ。わからないけれども、普段の取引の様子っていうのはわかるわけじゃないですか。だから、それをもとになるべくすぐに返せって言われないような運用を心がけるわけですけれども、こうなっちゃうとしょうがないというのか。
     だからどんな銀行でも取り付け騒ぎが本当に起こっちゃったら、もうアウトになりうるわけですよね。それこそ運用してないのであれば、とにかく。だけど、もう金利を乗せないとわざわざ預金してはくれないですから。そうですよ、僕がアメリカの大学生だった頃というのは普通預金でも年利5%ぐらい出たんですよ。そういった時代が復活しつつあります、少なくともアメリカでは。だとしたら昔の金利1%とかの債券というのは当然逆ざやになっちゃいますよね。

    山路:普通の銀行の定期預金が5%とかになりそうな感じになってきてるんですか、今?

    小飼:そうですよ。はい。

    山路:へえ、すごいな。

    小飼:日本だとちょっと信じられない話かもしれないですけど。
     FRBの金利にさらに上乗せした金利でないと預金してくれないので、FRPの値上げ、値上げじゃなかった、失礼しました、利上げっていうのはものすごいデカいんですよ。それがどんな金利よりも低い金利になるので。住宅ローンとかっていうのはもっとさらに高い金利になりますし。

    山路:これシリコンバレーバンクの経営者とかがアホやったん違うかみたいな、そういう、経営がまずかったんじゃないかっていう意見もいっぱい出てるんですけど。

    小飼:まあでも、政策金利のレートが上がってたのに、今まで通りの運用から抜け出せなかったっていうのは大きいよね。だから、お前ら、もしかして逆ざやじゃない? って誰かが気が付いたら、いや、これはもう預金引き上げなきゃっていうことになるわけですよ。

    山路:その利上げの観測を甘く見てたから、その判断が甘かった、

    小飼:その判断が遅いというのはある。だからまだ国債を、T-Bill買い直したほうが良かったっていう感じだね。

    山路:しかも経営者とかヤバくなる前に自分の銀行の株を売ろうとしてた。

    小飼:まぁいつもの話だね(笑)。

    山路:そういうのをとりあえずとっつかまえる法律は、あらかじめ決めておかないといけない気がするんですけど(笑)。

    小飼:それは実は、民事でやろうと思えばできるんだよね。でも、それをやるのは破綻した後の管財人の仕事になるので。

    山路:さらによくわからないのは、このシリコンバレー銀行が破綻して、それが他の銀行にも影響するというのはわかるんですけど、

    小飼:いや、クレディ・スイスの話のほうがでかい。

    山路:そうそうクレディ・スイス、なんでクレディ・スイスに飛び火したのかがよくわからない。

    小飼:飛び火というよりも、もともとよろしくなかったんですよ。もともと左前だったんですよね。クレディ・スイスというのは。

    山路:でも、なんか私も名前くらい知ってるでかいとこですよね。めちゃ、スイスで1番とかそんな規模の。1番じゃないのかな、

    小飼:はい、だから日本でも富裕層向けのビジネスはしてて。

    山路:そんなところが調子悪かったんだ。

    小飼:で、今回いよいよ調子が悪いということになって、同じくスイスの銀行であるUBSというところが救済合併っぽいことをしたんですけど。その時の特徴が、要は株を二束三文で買い叩いたっていうのは良いんですけど、二束三文でも0円ではないです。なんですけども、それと同時にクレディ・スイスの発行してた債券を0円にしたんです。要するに踏み倒したわけです。クレディ・スイスの債券は踏み倒されて、普通、逆なわけですよね。株が紙くずになっても、債券はそうならないというのが債券が低金利な理由の一つなのに、そこで逆転しちゃったという。だからこれ、けっこうデカいんですよね。

    山路:これ、後々に禍根を残しそうな条件ってこと?

    小飼:他の銀行に飛び火するんじゃないかという。

    山路:そのクレディ・スイスの債務者が割り食うことになるという。

    小飼:債権者が、

    山路:債権者が割を食うことになるという。

    小飼:割を食うだけではなくて、なんで株が0円にならなくて、債券が0円になるのだという。

    山路:これはスイス政府の意向なんですか、

    小飼:なんか急にいろんな法律を作って、一部は泥縄というのか、遡及適用してっていうので、それも含めて。ゴルゴ13がスイス銀行に振り込めって言ってた頃っていうのは、なんでそんなにスイスの銀行に信用があったかって言ったら、もう秘密主義だったんですけれども、アメリカにはかなわなかったよと。アメリカというよりも、アメリカのユダヤ人、それもホロコーストで生き残って、アメリカで、

    山路:大成功した金持ちな人たち、

    小飼:そう、が不当にユダヤ人から取り上げた財産を返せっていうふうに言ったことで、アメリカはものすごい圧力をかけたというのか、今もかけてるんです。その意味でスイス銀行のレピュテーションというのはグダグダになってるわけですよね。

    山路:きれいな言い方をすれば、透明化されたと(笑)。

    小飼:裏を返すとそういうことですよね。

    山路:大多数の人にとっては良いことなんじゃねえのって話ではありますけど。

    小飼:そうなると、わざわざ預金するほうというのを、スイスの銀行でなくても良くね? というふうにはなるわけですよね(笑)。

    山路:このシリコンバレーとクレディ・スイスの関係っていうのは、あるんですか?

    小飼:飛び火といっても、要はシリコンバレーバンクが飛んだら、今度は東海岸のほうにも行ったでしょ。だから、全世界的に波及しちゃうんですよ。

    山路:一行一行同士の繋がりというよりは、もう、債券のババ抜き状態になっているみたいな話ってことか。

    小飼:そうそうそう、だから銀行の財務を確保するために、AT1債っていうのがあるんですけども。AT1ね。それを破綻させちゃったのね。だから、クレディ・スイス自体は破綻せずに吸収合併されたけれども、クレディ・スイスが発行してた債券はデフォっちゃったのね。

    山路:へぇー。

    小飼:で、AT1というのはいろんな銀行が発行してたんですよ。それなぜかというと、自己資本参入ができたんですよね。

    山路:AT1債というのはいろんな銀行が発行している?

    小飼:そう。だからべつにクレディ・スイスだけが発行してたわけじゃないんです。

    山路:AT1債っていうのは、つまりいろんな銀行が細かく借金をしていることになるみたいなイメージ、

    小飼:本来、破綻しないはずの債券だったのが破綻したと、僕が見るに過去に、MMFって覚えてます? 山一証券だったっけな、が破綻した時に元本が戻らなかったと。元本保証されてるも同様な債券だと思ってたのが破綻したというのが、かなりデカかった。だからそれに匹敵するんじゃないかな、AT1債を破綻させられたというのは。

    山路:前に、安心っていうことだったらMMFとりあえずやっときゃ、それは大丈夫みたいな話もちょっとしてましたもんね。

    小飼:なんだけれども、

    山路:それぐらい固いやつが、

    小飼:でも、スッ飛んじゃ、あっ、エンロンの時だ、MMFがスッ飛んだのは。債券といえども、完全に安全資産ではないというのが一つと、しかも株が保全されて債券が保全されなかったということもあるんだというのが、逆転現象が起きちゃったんですよね。

    山路:その債券を持っていた人たちは、

    小飼:あるいは持っている人たちがね。

    山路:次は、これが紙くずになるかもしれないって疑心暗鬼になっている?

    小飼:そうそうそう、

    「債権にいいことなくなった」(コメント)

    山路:これがリーマンショックみたいなことに繋がってたりはするんでしょうか?

    小飼:繋がり得るは繋がり得りますね。ただ、この場合、いちおうまだリーマンショックのことは覚えているので、そうならないような手というのは先に打ってありますね。例えば、シリコンバレーバンクの場合は、預金は補償しますと。

    山路:すごいですよね。普通だったら2500万円くらいまでだったのが、特例というかで全額保護になったんですよね、確か今回。

    小飼:それはだからFRBが判断できることになってるから。他の銀行が、シリコンバレーバンクをまるっと買えば、それは済むことで、けっこう有力顧客もいるので。だからそれはわりと売れるんじゃないかと。

    山路:なるほど。

    小飼:だから売る前に死なないようにするというのが肝要で。ただこれやっぱり傍から見てると、そういう大きなお金とは無縁の人から見てると、なんで僕の2万ドルぐらいの奨学金というのはチャラにならないで、

    山路:ははは、そこだ(笑)、

    小飼:20億ドルは補償してもらえるのかという。だから救済ってあんまりやるとモラルハザードになるんですよね。だから、それで逃げ切ろうとしたお金持ちというのをとっちめようというのをバイデン政権は言ってます、できるかどうかというのは置いといて。
     クレディ・スイスが4200億円で合意ってさ、これ、三木谷さんとかでも買える金額ではあるわな。売ってくれるかどうかは、

    山路:三木谷さんとかって言うのが(笑)褒めてるんだか、けなしてるんだか、よくわからない表現だが(笑)。

    小飼:楽天モバイルを担保に、みたいな(笑)。

    山路:弾さんは、クレディ・スイス危うくなって、なんか影響ありました?

     
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