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  • 小飼弾の論弾 #107 「秘密を守るコストと、書評『天皇メッセージ』」

    2019-04-18 10:50
    540pt

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2019年2月5日(火)配信の「小飼弾の論弾」の後半をお届けします。

     次回は、2019年5月7日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2019/02/05配信のハイライト(その2)

    • 秘密を守るコスト
    • GAFAと「個人情報の価値」
    • 中国は「Facebookしかない世界」
    • カナダの仮想通貨トラブル
    • 大量虐殺が引き起こした気候変動
    • 『天皇メッセージ』で語られた天皇の真意

    秘密を守るコスト

    【00:00:00】

    山路:ではダークウェブの話なんですけども。22億件のメールアドレスとかそういった情報とかかなり流出して、世の中の人で一つも自分の情報が流出してない人っていないんじゃないかっていう気が。

    小飼:いないんじゃないかという気がしますよね。

    山路:弾さんのデータも絶対入ってますよね。

    小飼:いやもう、それはもうだってWikipediaにだって個人情報ずいぶん書いてありますよ。僕がExplicitに公開していいよっていう情報以外も入っていますからね。たとえば生年月日とか。だから、それを公表していいよなんて誰にも言ってないですけれども、でも公然の秘密なので、そこはWikipediaに書かれちゃったことというのは、もう秘匿しようがないですよね。

    山路:これさっき弾さんがちょっと、どういうふうに情報を出すかとか、そういうことも大学なんかでは基本的なことを学ぶみたいなことを言いましたけど、これからこれだけ情報が当たり前に流出する時代に、皆なにを気をつければいいのかなというのが、どんどん難しくなってないですか。

    小飼:だからその意味で、アメリカ合衆国がやっているポリシー、永遠の秘密というのはない。秘密というのは、いつかバレるものだと。

    山路:もう個人に関してもそうなんだと。

    小飼:そう。たとえば住所がバレても、引っ越した後で、引っ越し先をトレースできないような形であれば、それはもうバレちゃってもいいわけじゃないですか。かつてここに住んでたというのは。

    山路:なるほどね。

    小飼:充分長い間、秘密にできればいいわけです。でもまず始めに問うべきは、それはそもそも秘密にするべきか。秘密にするのであれば、どれくらいの期間、秘密にするべきか。秘密を守る上で1番大事なことって、皆さん何だと思います?

    山路:え? 1番大事なこと?

    小飼:そう、秘密を守る上で、点で1番大事なこと。

    山路:何だと思います? コメントでなんか。1番と言われると何だろう? え? もうそれは何というか、書かないとか、人に言わない。でも人に言わないことだったら、サービスとか使えないこともあるわけだしな。

    「秘密を秘密にする」(コメント)
    「秘密にしないことは公開する」(コメント)
    「嘘をつく」(コメント)
    「本当の秘密は隠さず、嘘で公開する」(コメント)
    「選別する」(コメント)

    小飼:あのですね、存在そのものを悟らせない。そもそもそんな秘密がどこにある? っていう。そんなものがあるか? 世の中にあるのか? と。そもそも、隠すべきものがあるということを悟らせない。
     普通の人がそのレベルの秘密を持たなければいけないっていう状況になるかっていうと、それはちょっとあれなんですけども。その秘密を守ることが、その人にとってどれだけ大事かということなんですよ。だからバレた時に失われるものと、それを隠した、隠すコストっていうのを、ちゃんと天秤にかける。

    「個人だと浮気とか」(コメント)

    小飼:これがたとえば浮気でも、何でしたっけ? はあちゅうさんの旦那。

    山路:はい、しみけんさんでしたっけ?

    小飼:とかっていうのは、初めからするというのはわかっているので、致命傷にはなりにくいですよね。でもアメリカ人の場合というのは、ものすごい浮気に対して厳しかったりもするので、だから同じ浮気というのも、人によって違うわけですよ。そう隠さなければいけないレベルっていうのが。

    山路:浮気、バレちゃう人はそういう、その存在を気取らせないという覚悟が足りないのかもしれないですけどね。

    小飼:これ、またアメリカの事例なんですけども、ローゼンバーグ事件というのがありました。ローゼンバーグ事件というのは、要はアメリカの原爆の秘密をリークしたと。嫌疑がかかって、そうローゼンバーグ夫妻に。両方共、死刑になったんですけども。その時に冤罪じゃないか? と言われてたんですよ。

    山路:その時点で? 何年くらいなんですか?

    小飼:ずいぶん昔です。ちょっと待ってね。死刑判決が出たのが、1951年なので。

    山路:わりと戦後すぐなんですね。でも死刑は執行されちゃった。

    小飼:ってずーっと思われてたんですけども、機密公開されたら、確かにスパイだったんですよ。だから死刑というものが妥当かどうかっていうのはおいといて、冤罪ではなかったと。じゃあ、なんでそのことを秘密にしたのか。
     もしそれを公開すると、その証拠というのは、どうやって得たのか、その情報はどうやって得たのかと、それを隠したかったんですね。だから冤罪だという嫌疑も甘受したわけですよ。
     だから後ろ指を刺されるコスト以上に、その諜報ネットワークを守るっていうことを、当時の米国政府は優先したわけです。

    山路:へえ、もうそれは何というか、善悪の問題というよりは、それを重視したっていう事実っていうことですよね。

    小飼:そういうことです。でもこれもし永遠に秘密にしようとしたらどうなります?

    山路:そうか、結局検証され。

    小飼:そうだから秘密を秘密のまま保っておくというのもコストがかかるんですよ。
     秘密のコストっていう考えはこれ個人レベルでも応用が出来ると思います。たとえば宅ファイル便と他ではパスワードを変えるというのは、宅ファイル便のパスワードというのはバレてもしゃあないなっていう形はとれるわけですよ。

    山路:それを大抵、面倒臭がって皆やんないんですけどね。

    小飼:その面倒というのも、やっぱりコストですよね。だからあまりに回しにくいロックをつけちゃったら、それが億劫になってドアを開けっ放しにしちゃいませんか?(笑)

    山路:私は、有料の1Passwordっていうアプリを使っています。

    小飼:だからそれがバレると、あなたは何を失いますか? っていうのを常に考えていいと思います。というのか、それが根本だと思います。そう永遠の秘密はないというのと、秘密が秘密でなくなった時に、あなたは何を失いますか? という。

    山路:私はビビる性質だから、本当にパスワードマネージャーとか真剣に使いますけどね。

    小飼:秘密を守るというのもコストがかかりますよと。

    山路:はい。なんか有料のアプリ使ってるんですけど、月に300円位かかってますもんね。それですめば安いもんですけど。

    小飼:そういうコストだけではなくって。

    山路:心理的なものだったりとか、日々どれくらい自分の頭使うかっていう手間っていうことも含めたコストっていうことですよね。

    小飼:そうそう。じつは真実を真実のまま保っておくというのだって、コストがかかるわけですよ。たとえば、人間の記憶っていうのは、けっこう簡単に化けちゃいますよね。だから化けないように、保全するためにはどうしたらいいのかっていう。

    山路:すごく記憶力に自信のある人って、自分の頭で抱え込もうとして、でもそれって逆に他のことに使えるメモリが減っちゃうっていうことでもありますもんね。それは結局コストはかかってるんですよね。

    小飼:はい。

    GAFAと「個人情報の価値」

    【00:11:13】

    山路:じゃあちょっと個人情報絡みで、これも弾さんに聞きたいと思ってたんですけども、最近こうApple VS Google&Facebookのガチンコ対決っていうんですかね、けっこうガチな争いが。

    小飼:ガチというのか、ちょっとFacebook、ヤバいね。

    山路:これ、要はですね、AppleはApple Storeでこうアプリを配信するのに審査をやってるわけですけども、その抜け道を突いたっていうことなんですよね。GoogleとFacebookが。

    小飼:そういうことです、はい。

    山路:エンタープライズ契約、エンタープライズの契約で、そのアプリStoreで配信するということも出来るんですけども、その場合っていうのは、あくまでもその企業の社内で使うアプリを使用できるっていうような、そういう特別、特例といえばいいのかな、別のそういうプランがあるんですけど。FacebookとGoogleは、自分の社員じゃない人の情報を収集するために、そういうエンタープライズ特例みたいなことを利用して、アプリを配布してた。

    小飼:そういうことですね。

    山路:そういう個人のユーザーに対して謝礼を払って、すごい普通のアプリでは得られないような情報を収集してて、それに関してAppleが激おこで。

    小飼:ブロックしちゃったんですよね。

    山路:FacebookとGoogleが社内アプリ用に使っているライセンスも全部遮断して、GoogleとFacebookは社内アプリも使えなくなったという、これ相当すごいことじゃないですか。普段の業務に使っているアプリがもうぜんぜん使えなくなっちゃって、そこまでやるかね? というくらいの手段をとったと思うんですけど、これはAppleをやり過ぎと見る人もいるし。

    小飼:えー? それはないだろう。

    山路:Appleはあまりにも、その正義を振りかざしてないかみたいなふうにいう批判もちょっと出てたりもしたりする。Facebookがもちろんえげつないことをしてるというのは当然にしても。

    小飼:じゃあ中間の手段ってとれるの? この場合。中間の手段ってあるの?警告すればやめるの?
     これは警告じゃなくて、いきなり射殺が正しい。

     
  • 小飼弾の論弾 #106 「統計偽装から企業不正まで、根幹にあるのは「インテリジェンス」の軽視だ」

    2019-04-13 07:00
    540pt

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2019年2月5日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。

     次回は、2019年4月16日(火)20:00の配信です。

     Lifehacking.jpの運営者であり、『ライフハック大全』などの著作でも知られる、堀正岳さん。本業は、北極の研究者である堀さんに、日本の科学研究の現場で起こっていることを語っていただきます。

     お楽しみに!

    2019/02/05配信のハイライト(その1)

    • 教育にかける金をケチってきた日本
    • 「統計の数字を作る」という劣化
    • 一貫したデータがなくなった
    • 「IoT侵入調査」は国の仕事か?
    • 「情報を舐めている」というヤバさ
    • 永遠の秘密はない

    教育にかける金をケチってきた日本

    山路:じゃあ、今日の本題でもある統計不正、もはやこれは統計不正というのか何というのか、いちおう統計不正問題ということで、だいたい言われてるんですけども。

    小飼:大本営だったと。

    山路:というか、関係者みんなアホなんじゃないかと思うようなニュースですけどね。

    小飼:いやちょっと、あまりに多すぎて、どれかわかんなくなってきたよな(笑)。

    山路:いちおう大きなところとしては、その厚生労働省が2006年時点でやっている、その毎月勤労調査の手法というのが間違えてたことに気づいてたっていうのが。

    小飼:間違えてたの? わざとでしょう。

    山路:本当は全数やらなきゃいけないのを、3分の1しか。

    小飼:端折ってたと、だからサボってたわけじゃん。

    山路:さらにこれに関して厚労省は、厚労省の局長級を更迭して、野党がそういう厚労省の責任者を出せよと言ったら、いやいやもう現職じゃないので参考人招致はできませんと言ったという。

    小飼:だからそういうのばっかりやっているのは……。これぜんぜん一見違うニュースですけれども、あるジャーナリストがイエメンをなんとか取材に行こうと出国しようとしたら、パスポートを取り上げられた。
     パスポートを取り上げた理由というのもその途中、オマーンという国を経由するみたいですけど、そこから入国拒否が来たからって、でもその入国拒否というのは日本国政府がオマーン政府にそういうふうにしてくれと頼んだと。

    山路:なんか七面倒臭いことをしとるな。

    小飼:理屈としては、さっきの責任者を出せ、いやでも責任者は更迭されたから出せないというのと同じというのか、通じますよね。

    山路:なんというか誰一人表に立って、私が責任者ですっていう人が、いつまでたっても出てこないというのは。

    小飼:それはだって、出ても何か得することある? そりゃあ有権者は溜飲を下げられるかもしれないけれども、そこまでしなければいけないほど、給料を得てるわけ?

    山路:給料安いっていうのは、この不正統計問題の根幹にあるんじゃないかという指摘をしている人もいましたね。つまり、そういう国なんかで統計に関わっている部署って、その統計局みたいなのがそんなにあるわけじゃなくって、個々の省庁で統計に携わっている人っていうのは、けっこうノンキャリで、そんなに給料も高くない、そんなに仕事としても認められてなかったりする。だからこういう問題が発生してるんじゃないかみたいな言い方をする人もいた。

    小飼:実際に資源をきちっと割り当ててるかって言ったら、割り当ててないですよね。日本はこういうのも何ですけれども、公務員の人件費を明らかにケチり過ぎている国なんですよね。

    山路:これちょっと前の論弾でも取り上げたかもしれないんですけど、日本ってよく公務員多すぎみたいなことを言う人もけっこういるじゃないですか。公務員少ない?

    小飼:少ないです。それはもうはっきりしてますね。

    山路:なんかいっぱい雇っているイメージがあるんだけど。これって公務員を単純にもっと増やせば、こういうのって少なくなったりするんですかね? 要は人手不足、こんなに人手不足とかっていってるんだったら、職にありついていない人ってもっと公的に引き取ったら良くないんですかっていう。

    小飼:単に人を持って来ただけでは駄目ですよね。だから、その担当する仕事が出来なければ、あるいは出来るようにならなければ。それも源流を辿れば、義務教育でしょう? でも日本は折角人口が減るのに、それ以上の勢いで、そう、教育行政を削っちゃったんですよね。

    山路:その辺の人材の雇用のバランスが良くなかった。

    小飼:雇用のバランスとか云々ではなくって、ありとあらゆる部分で教育にかける金っていうのをケチってきた国なのね。まだ子供が大きくないうちというのは、親が学費出したりして補われている部分ってあるんですけれども、でも実際そこが始まりですよね。

    山路:しかし不思議なのは、それこそ明治維新とか起こって、これから教育を充実させて諸外国、西洋に追いつけ追い越せみたいな国だったはずじゃないですか、その時点というのは。つまり、かなり教育には金をつぎ込んでいた国だったわけですよね?

    小飼:実際のところどうなんでしょうね? でも少なくとも、そこでケチっちゃ駄目よという意識はあったと思います。だから当時、外国人教員というのは、日本の水準からいえばべらぼうに高かったわけですけど、10倍とかそれくらいするんですけども、それでもちゃんとそのお金を出して呼んでましたからね。

    山路:ラフカディオ・ハーンとかもそうなんですよね。

    小飼:そういうことです。あくまでもトップの話ではありますよね。

    山路:それこそ江戸時代くらいまでは、寺小屋とかがあって、なんかよく世界的にみても、比較的そういう読み書きとか教えるリテラシーとか、高かったという話は時々出てくるじゃないですか。

    小飼:いや、だからそれは政府がやってたわけじゃないでしょう。

    山路:民間があんまりよく出来てたから、あんまり政府がそれに気を配らなかったかもしれないみたいな、それに頼っちゃったみたいな。

    小飼:うん。
     じつは、そういうエデュケーションやトレーニングっていうのは、日本だともう大学出ちゃったら、ほとんどきちっと学ぶ機会はなくなっちゃうんですけど、じつはそこからがスタートのはずでしょう。

    山路:しかも今の仕事って何というか、昔みたいに同じ、1回覚えた仕事をずっとやってればいいというんじゃなくて、もう毎年のように変わるようなことに対応していかなきゃいけないことだったりするのに、この統計なんかもいまだにかなり紙で処理してたりするそうですもんね。そういうデジタルの時代にも対応出来てなかったりもする。

    小飼:だって、そもそも国勢調査とかも紙でやるでしょう(笑)。

    山路:うん、その辺のところっていうのもぜんぜん改善されてなくて、現場のほうも昔ながらの紙のスキルのままだったりとか、統計のこともきちんと学んでない人がやってたりとか、なんかえらいことになってるみたいですけどね。

    小飼:逆に、よく今まで回ってたなっていうのが。

    「統計の数字を作る」という劣化

    山路:これ統計絡みでちょっとおかしかったのが、このニュース。厚労省のコンドームの統計資料にミスがあったという。

    小飼:え? そうなんですか。

    山路:ブログを書いている人がですね、この方がライフワークとしてコンドームの出荷量について調べている人だそうで、趣味で、その人がコンドームの出荷量に間違いがあることに、集計してることに気づいて、ある月、ある年のある月だけ、その出荷量が10倍位になっていたという。

    小飼:でもなんでそうなったんだ? 単に、単に打ち間違いか? それ。打ち間違いっぽいな。

    山路:それをこの人が厚労省のほうに問い合わせて、1ヶ月位応答なかったらしいんですけれども、ちょっとこれがネットで話題になって、そうしたらその厚労省の調査、修正されたそうですね。どうも元のデータが間違えていたそうで。そういう業界が送ってくるデータが。
     ただこれ、その間違いを内部でそのいきなり10倍とかに跳ね上がるみたいなことをチェックする仕組みもないのかっていうのは、びっくりしたんですけどもね。

    小飼:いや、でもそれは業界から、要するに業界から厚労省に来た時点で、厚労省のほうからこれおかしいんじゃないの? っていう仕組みがあるかっていうこと? これは誰を責めるっていうものではないじゃん。これは単純にミスじゃん。だからこれは単純にミスだから、各チェックポイントで気をつけて下さいねで。
     これについてはだからいいと思う。ミスはゼロに出来ないので、だから、もう単純に過失に関しては、過失が生じにくい仕組みにしましょうねでいい訳です。今の統計不正問題っていうのは、違うんですよ。そもそも出荷されていたコンドームにみんな穴が開けてあったというそういうレベルですから。もうぜんぜん違うんですよ。だからそう、コンドームの統計に関しては、本当にちょっとした笑い話で済むかもしれないけれども。

    山路:もう出荷している商品自体が、使い物にならないものを本当に日本国民に撒いているっていうことですもんね。その結果、賃金もじつは。

    小飼:下がってましたと。

    山路:私もこんな政治っぽい話とかもしたいわけじゃない、もっと軽い、それこそ『騎士団長島耕作』くらい軽い話とかも延々としたいところなんですけど。何ですか、何でこんなにバカみたいな話が一杯出てくるのかなっていう。

    小飼:いやでも確かにね、今までもそう政治家が嘘をついていた、役人が嘘をついていたっていう話はいっぱいあるんですけども、少なくとも素材を偽造するっていうのはなかったと思います。出てきた素材を都合のいいように解釈させたり、そもそもあるものを隠してないと言い張ったり、そういったものというのはあるんですけれども。だからこういうふうに数字を作るっていうのはなかったんですよね。だから、これは本当に明らかな劣化で。

    山路:意図的なものなんでしょうか、そこに悪意があるのかどうなんだろうなという。

    小飼:でもこれは担当者が自分の賃金を下げないためにやったというのは、明らかですよね。

    山路:自分の賃金というよりは自分の地位的な問題。

    小飼:それで遠因をたどると、要は首相官邸の力が強くなったと。人事権が強化されたと。

    山路:官僚のほうがへつらうような行動を取るようになってきた。

    小飼:そう、よりへつらう必要があったわけね。だから気に食わないことをすると飛ばされちゃうので。今のアメリカがそうでしょう? アメリカ型に近づけようとして、そうしたんですよ。

    山路:内閣人事局でしたっけ?

    小飼:だから今までは、大臣が変わっても、官僚は変わらない。次官以下というのは、別の人事ルールで動いていたんだけど。だから、もっと下のほうまで口出せるようにしたのね。

    山路:ある意味、それなりに真面目だった人たちが、そこんところが選挙で選ばれてない人がこんなに権力を持っていていいのかみたいな批判はあったけれども、それなりにガーッと自動で動いていたところに、それをコントロールしようとして、ハチャメチャになってきているっていうことなんですかね?

    小飼:ほんとに何と言えばいいのかな、このレベルで数字を作られるようになったというのは、確かにすごい劣化具合なんだよね。

    山路:中国の統計って一昔、一昔というか今もちょっと言われてますけど、数値作ってるんじゃねえか、作ってるんじゃねえかみたいな(笑)。

    小飼:そう、全く笑えない。だから真面目に中国の経済を吟味したい人たちというのは、もっともっと生のデータまで遡って見てるわけですよね。曰く鉄道の稼働率ですとか、曰く電力統計ですとか。

    山路:中国の公式の発表だと、そういうGDPの成長率6.4くらいでしたっけ? 言われていたのが、じつはそういう人らの発表だと1点何パーセント台とか、下手するとマイナスかもしれないと言ってる人もいる、みたいな話が最近出てますね。

    小飼:いや、ただこう言うのもなんですけど、少なくとも中国トータルでやっている時には、もちろん下からデータを集めてくるんですけども、ちゃんと下がデータを作っているというのもある程度加味して算定しているというのは、確かなんですよね。なんですけれども、本当に中国のことを笑えなくなってきましたよね。

    山路:これって単純に、そういうデータを扱う人の地位を上げるとか、その人材教育をするとかっていう対策でどうにか、あんまりなる感じじゃないですよね。そこを弾さんがいうように、人事とかが絡んでくるんだったら、そういうバランスとか人事権の話までやんないとこういう不正というか、不具合が起こるのは止められなくなっちゃう。

    小飼:もうそろそろ人間をこの任務から外していいんじゃないかと。

     
  • 小飼弾の論弾 #105 「ドワンゴの経営は何がまずかった?復活の方策は?」

    2019-04-06 07:00
    540pt

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2019年2月19日(火)配信の「小飼弾の論弾」の後半をお届けします。

     次回は、2019年4月16日(火)20:00の配信です。

    お楽しみに!

    2019/02/19配信のハイライト(その2)

    • カドカワについてのドワンゴの「最悪の決断」
    • カクヨムと「必要なものが多すぎる動画配信」の難しさ
    • 技術の「慣性」と基礎
    • 動画配信でのゲームチェンジは?
    • タイの選挙とラーマ10世
    • Coinhiveと「わかっているトップ」がいない日本
    • Amazon本社計画と「どう見ても中国です」な日本のネット

    カドカワについてのドワンゴの「最悪の決断」

    山路:じゃあ引き続き、ドワンゴは問題だったのか。

    小飼:こういうのもなんだけども、あれこれやり過ぎた。まずニコニコ動画がぜんぜん良くならなかった。画質もぜんぜんあがらない。回線もぜんぜん良くならないので。

    山路:あのniconico(く)でしたっけ? カッコ平仮名のくというバージョンを発表した時の、発表会のあの凄い冷たい感じになったという記事が載ってて。

    「コメント特許をYouTubeに売って、手仕舞いすればいいなじゃねえの」(コメント)

    小飼:もともとYouTubeに字幕載せてただけのところが、ニコ動は出発点ですからね。

    山路:うんうん。そこからそれをバンされて、自前サーバ立てて配信始めたっていうところですもんね。

    小飼:あのコメントって特許は成立してるの?

    山路:それはちょっとわかんないですね。

    小飼:でも今のところ、まだYouTubeが自ら、コメントを画面に流すというのをやってないですよね。だからやろうと思えば本当にいつでも出来ると思うんですけども、技術的にそんなに凄いことではないんで。

    山路:じゃあドワンゴがYouTubeなんかに対抗するには何が必要なのか。

    小飼:そもそも対抗するんじゃなくて、別のサービスだったはずだよね。

    山路:もうちょっとニッチな層とかを狙ったサービスみたいなところはありましたけどね。そこんとこで、変に対抗しようとしちゃったところなんですかね。

    小飼:いや変に対抗しようと、うーん、したというよりも、本当にどうしてこうなったかね? という。ドワンゴというのか、ニコ動が劣化し始めたというのは、明らかにカドカワとマリアージュしてからですよ。

    山路:ほう。

    小飼:だから、それまでは遊んでいる余裕とかはなかったわけですよね。たとえば違法動画が来たら、それをどうやって取り締まろうかとかっていうのは、本当に「今そこにある危機」に対抗していくしかなかったんですよね。余計なことを考える暇がなかったとでもいおうか。

    山路:じゃあ資本力がある会社とくっついて、慢心しちゃったみたいなことだったり。

    小飼:カドカワ程度で充分な資本力だったのか? というのはあるよね。

    山路:動画配信サービスっていうことを本気でやっていくためには、

    小飼:そうそう、金ありゃいいっていうもんじゃないじゃないですか。

    山路:たとえば最近だと、中国系のサービスで、TikTok(ティックトック)なんか、あれスタートアップだったりしますもんね。すごい世界的人気の配信サービスになりましたけど、あれもべつに大資本のところがガリガリやってたというのとはちょっと違う。

    小飼:なんですけれども、単なるオペレーションにけっこう金がかかるんですよね。動画配信サービスというのは。

    山路:特にライブとかだとということですかね?

    小飼:はい。だからYouTubeだって、Googleに買われる前というのは、もう赤字垂れ流し状態でしたよ。

    山路:Googleが買った時も、一部には頭おかしいんじゃねえかと言っている人も(笑)。

    小飼:でもあれはGoogleがやった会社買収の中では、圧倒的に一番優れた買収でしたね。あれはまさにシナジーが生じたわけですよ。Googleの資本と技術力。
     同系列でしょう。だからテックがテックを買ったわけですよね。どっちのほうがハイテックかっていったら、Googleのほうだったわけですよね。テクノロジー以外のものが抜けていたので、パッとしなかった。GoogleもGoogleビデオというのをやってました。

    山路:あったあった(笑)。本当にパッとしなかったんですよね。

    小飼:Googleビデオのほうに寄せなかったですよね。だから上手くいってるんですよね。

    山路:YouTubeがGoogleだって知らない人も、今でもけっこういると思いますもんね。

    小飼:あれほど金と技術を持ってても、なんでもかんでも上手くいくとは限らないというのは、もうあちこちで目にしてますからね。Google+とかね、吹かないで。

    山路:Google+(笑)、一度も上手くいってないというか。ソーシャルはなんか上手くいかないですよね、Google、本当に。

    小飼:はい、本当に技術だけでは上手くいかない。何かがあるんだけれども、でもそれだけで足りないといっても、じゃあ技術がなくてもというわけには、全くいきませんよね。だから技術も資本もいるわけですよね。動画サイトを続けていくためには。立ち上げはそんなに難しくないんです、続けることなんですよ。難しいのは。

    山路:なるほどな。本当、話聞いてても、常にこう動画配信ってユーザーが増えたら増えたで、対応できるだけのサーバには投資しなきゃいけないし。高解像度化というのも低遅延とかも要求されたりするし、常に金を注ぎ込み続けて。

    小飼:そう、その割にお金が入ってくるポイントというのが、いまいちはっきりしない。YouTubeくらい大きくなると、テレビと同じ様にちゃんと広告取ってというのが出来るようになるんだけども。

    山路:だけどあれって、凄いユーチューバーとかで金持ちになってる人もいますけど、広告収入で得られる金ってGoogleにしてみたら、ある意味はした金というか、還元しているのっていうのは、けっこう微々たるものいえば微々たるもの。

    小飼:いや、今やGoogleはちゃんとYouTubeの部門でも儲けてますよ。

    山路:単独でも。

    小飼:2つ理由があって、まず圧倒的にマーケットしてシェアがあるので、広告もとてもいい単価が取れるというのがまず一つありますね。あともう一つはGoogleはサーバとかも自前でやってるんです。これってどういうことかっていうと、トラフィック自体を持っているんですよね。
     ISP同士を繋げる時には、当然繋げますという契約をします。Peering Agreementというんですけども。これというのはトラフィックの流れによって、どっちがどっちに金を払うかっていうのが決まるんですよね。

    山路:Googleはその契約主体になっている。一番経営、収益を最大化するようにそこを調整できる。

    小飼:そう、だから他はチャンネルを借りているのに対して、Googleというのも、もう少し正確に言うと、Alphabetがチャンネルを持っているんですよ。物理回線まで持っているんですよね。サーバを。

    山路:話聞くと、絶対に敵わないような気がしてきました(笑)

    小飼:だから動画配信サービスというのは、どこかのタイミングで、旦那を見つけなければいけないというのは、今でも言われてますよね。カドカワでも、旦那としては充分大きかったのか。

    山路:最初の想定というのは、カドカワってもともとメディアミックスっていうのをかなり昔からやってきた会社じゃないですか。小説出しては、それを映画化したりとか、アニメ化したりとか。たぶん自前のコンテンツとかをネットで流すっていうことを絶対考えてた筈ですよね。
     それ、ニコニコ動画なんかでもアニメ流したりとか、そういうことをしてたけど、そんなにそれがパッと、収益に貢献するほど大きな利益を生むというほどには至らなかった。そんなにカドカワの持っていたコンテンツと、そういうniconicoみたいなものというのが、あんまり親和性がよくなかったんですかね?

    小飼:親和性がよくなかったというのか、コンテンツを持っている人たちと、回線を持っている人たちというのはけっこう二律背反的なところがあるわけですよね。

    山路:え? それはどういう?

    小飼:たとえば、集英社のコンテンツをガンガン普通に流せるかという。

    山路:あぁつまり、自分がコンテンツホルダーだと、別のコンテンツホルダーのものを使いづらくなっちゃうという。

    小飼:そうそう。

    山路:それこそディズニーみたいに、ディズニー・チャンネルとか作れるんだったらともかく、みたいなことですか。カドカワのやつだけでやるのは難しいと。
     あと、弾さんいろいろ手を出しすぎたって言ったじゃないですか、さっき。どのあたりに手を出したのが、マズかったと思います?

    小飼:どのあたりというのかという、手を出したというよりも、一番舵取りが難しい時に、もう運転手がビデオゲームをやってたというのが(笑)。

    山路:外見ずに、運転せずに。

    小飼:うん。だから振り返ってみると、最悪の決断だったのかもしれないね。カドカワと結びついちゃうというのは。

    山路:それは主にドワンゴにとって。

    小飼:ドワンゴにとってというよりも、niconicoにとってかな。独立したネット企業というのか、もうはっきり言ってしまうと、動画配信でキチッと儲けを出しているのは、YouTubeだけなんですよ。
     あとはユーザーとかがいっぱいいるとかいうのはあるんですけど、ビリビリの場合はわからない。そもそも会計基準が変わっちゃうからな、でもいちおうADR(米国預託証券)上場しているから、基本的に中国はおいといても、普通に真っ当に儲かっているのは、本当にYouTubeくらいですよね。

    山路:ゲーム実況で伸びてるサービスはありますけど、それなんかっていうのはけっこう大手が買い取ったりとか(笑)、Amazonなり、Alphabetなりが買収したりとか。

    小飼:そうそう。

    山路:そういうふうな話はありますもんね。

    小飼:Abemaも出血してるでしょう。でもあれはだからちゃんと出血しててもやるっていう、トップの意思とそれを埋め合わせるだけの他の売上というのがあるから出来ているんですよね。技術的にはAbemaというのはすごいつまらないけれども、こういうふうにいけば、続けていけられるんだっていうのは、キチッと踏まえた、その辺の堅実性というのはとてもありますよね。

    山路:経営をどうやって努力したらいいのかっていう、少なくとも方向が見えている。それがまあ上手くいくかどうかまではわからないにしても。

    小飼:もうはっきり言って地上波テレビの劣化コピーなんで、僕はあんまり惹かれはしないんだけど、でもこれだったら100万人視聴者が集まるようなコンテンツも出来るよなっていうのが。

    山路:努力の方向もわかりやすいというか、要は地上波型のモデルを再現するということがあるから、ここに金を投じて、ここに人員を配置してっていうのが見えやすいという。

    小飼:そうそう。赤字も想定の範囲内でっていう。

    山路:うーん、これじゃあドワンゴに関していうと、動画以外でゲームだったり。

    小飼:逆にいってしまうとカドカワの儲けというのをガンガン突っ込んで下さいと、それで収支トントンだったら、いいじゃありませんかという鉄の意思を見せなければいけないの。

    山路:もうそれこそカドカワのマンガとラノベの売上全部突っ込むくらいの。

    小飼:そうそう。

    山路:俺にかけて下さいと(笑)。そこまでは歴彦さんに、信用されなかったんですかね?

    小飼:いやもう本当に、マッチ売りの少女ならぬ、ラノベ売りの少年くらいな感じで。

    山路:ラノベ買って下さいって。

    小飼:いや、だからサーバを維持するために、ピシッて火をつけて。

    山路:燃やさなくてもいいんじゃないですか(笑)。

    小飼:燃やさないと維持できないの。

    山路:なるほどね。というかラノベを売った札束ですよね、火をつけるのはなんか。

    小飼:そうそう。本当に今のところ配信ビジネスというのは、札束を燃やす商売なので。だから、そういう腹のくくり方が足りなかったよね。だから、こう言うのも何だけれども、別のキャッシュを持ってこれるようになったことで、いろいろと遊べるんじゃなかと、実際に遊んでたわけですよね。