「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2025年01月07日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2025年01月21日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2025/01/07配信のハイライト

  • 引っ越しと「どこまで損害補償?」
  • 安定期から混乱期になるというのは一瞬、その逆は時間がかかる
  • USスチール買収問題と「製造業のM&Aは成功例が少ない」
  • マンション代金の振込手数料はいくら?
  • マイナカードの今の評価は何点?
  • AIは一般相対論を導き出せる?

引っ越しと「どこまで損害補償?」

山路:すいません、昨年末、12月24日クリスマスイブの配信、私事で、プライベートな用で急遽中止になりまして申し訳ございませんでした。じつは身内に不幸がありまして、

小飼:忌引ということですよね。それは仕方がない。でも、忌引は本当にワールドワイドに認められている異常事態というのか、日頃の活動を横に置いておいてもそれを最優先にするというイベントですからね。ほぼ例外がないですからね、人類社会で。

山路:アメリカのようなところであっても、

小飼:その通りです。そのコンテクストで言うとあれじゃないですか、ジミー・カーター元大統領が100歳で亡くなったじゃないですか。で、国葬をやってましたね。

山路:あの人はまた辞めてから評価の異常に高い人ではありますけどもね。

小飼:村八分の残り二分の一つじゃないですか。

山路:なるほど。

「お悔やみ申し上げます」(コメント)

山路:どうもありがとうございます。年賀状も自粛というか、じつはその葬式の前に私年賀状終いの案内を全部発送したところでして(笑)、

小飼:いや、だからあれはおかしい、あれはちょっと何と言えばいいのかな、時代にあってないというのか。

山路:そうなんですけど、その葬式が起こる前に私はもう年賀状をやめようと思って年賀状終いのやつを発送したところだったんですよ、その後で葬式ということになったんですね。

小飼:まあでも忌引の場合というのは、今年は止めますというのか、忌中につきっていう風にやりますけれども、でも、それ言ったらじつは年賀状を出すという慣習自体、旧郵政省のプロモーションだったという、

山路:まぁでもプロモーションのすべてが悪いわけでもないから、それはそれで盛り上がってみんなが幸せだったらそれはいいプロモーションだったんでしょうけど、もうそれは時流に合わないということですよね。

小飼:いや、喪中につき遠慮するというやつ、

山路:ああ、クソめんどくさいですよね。

小飼:いや、そんなの、出した時には知らないじゃないですか、1週間前には出せって言ってるのに、その後に喪中になるなんていうのはぜんぜん珍しいことじゃないじゃないですか。

山路:それにしても田舎帰ってちょっとびっくりしたのは年寄り連中に話聞いてみると、もう話し合って年賀状出すのやめたわっていう高齢の人もけっこう多い。じつはもう年賀状出すのみんなきつくなってたっていう(笑)、若い人はネット使うじゃないですか。果たして年賀状出したがってたのは誰なんだっていう(笑)、よくわかんなくなってきて。

小飼:ただ昔は本当にそれしか手段がなかったんですよ。今もなお公式に誰かに、非同期で連絡を取る手段として法的に認められてるのは郵便のみ、なんですよね。
ファックスですらアンオフィシャルなんですよ。
 まぁでも実際の民事の裁判とかっていうのはファックスどころか、EメールとかでももうOKなんですけれども。何でなければいけないというのは法では決まってないんですよね。でもその一方で郵便の場合というのは、これは信書として扱わなければならない、なので、確実に相手にこの信書を届けたというのは今もなお内容証明だけなんですよね、日本の法律では。電子署名したEメールは認めなきゃおかしいんですけどね。

山路:そんなに法律は追いつかないんですよ(笑)。そういうことで言うと、日本のデジタル、日本の行政とか政府とかのデジタルに関する理解っていうのがもうひどいもんだっていうのは、改めて今回ちょっと葬式とかに関わっていろんな手続きやら書類仕事とかやって、もう身に染みたところがあって、それはちょっと限定のほうで話そうかなと思うんですけど。

小飼:山路さんのほうが大変なのは、僕も引っ越したので、ちょっと行政に関するネタというのは溜まってるんですけれども、ちょっとそれは、

山路:金も絡んできますしね。

小飼:そうなんですよ。

山路:弾さんの方は、ゆっくりとかあんまりできなかったんですか。昨年の年末みたいにダラッと『刃牙』を読んで過ごすみたいない(笑)、

小飼:いや、そりゃ忙しいよ、そりゃ忙しいよ、ねえ、本当に(笑)。

山路:荷解きとか片付けとか終わったんですか?

小飼:まだTodoが残ってて、何がTodoかって言ったら、本棚に相当する棚をどうしようかというのがあって、そこに突っ込むべきものというのがまだ箱に入ったままで。

山路:どこまで本棚再現するかみたいな。

小飼:すごい、これはしょぼいことなんですけれども、でもしょぼい割にえっ? っていうのが引っ越しで一個あって。これは業者に公開してもいいという許可を、許可というのかもう言質を得たのでもう言っておきますけれども、ハードディスクを複数本刺すハードディスクケースというのがあるじゃないですか。裸族のマンションとか呼ばれてるやつなんですよね。

山路:NASというところまでではなくて、

小飼:ではなくて、ただもうハードディスクを複数本入れて、それをUSB1本にしたり、あるいはeSATA1本にしたりという箱があったじゃないですか。あったというのか、あるわけですよ。ディスクアレイとかを自作する時というのはすごい手頃なんですよね。それ、僕いっぱい使ってたんですけれども。引っ越したら、3つダメになりました。

山路:え? どういうこと?

小飼:通電しなくなった。引っ越しで、引っ越しの前に電源を切ってケーブルを引っこ抜くじゃないですか。で、引っ越し先に持ってったら、通電してなくなった。

山路:ダメになる要素がよくわかんないですね。

小飼:わかんないけども、引っ越しの時に乱暴に扱うと電源がいかれるとか、イモハンダの部分というのがダメになってしまうとか、そういう可能性は考えられるんですけども。3つ。

山路:え? 放り投げたんですかね?

小飼:わかんない。

山路:そういうのってでも、どこまで補償要求できるものなんですか?

小飼:それで要求したんですけれども、外傷がない場合というのは、電気製品で外傷がない場合というのは免責であるという。

山路:うーん、まぁそれは難しいとこだな。

小飼:それはどの業者もそうなのか、あるいはうちで頼んだ、アート引っ越しセンター! の固有の事例なのかというのはわかんないんですけれども、現役で稼働してたのが4台だったんですよ。スペアが1台あって、計5台持ってたんですけれども、要するにハードディスクが複数本、具体的には5本なんですけれども。

山路:それ大丈夫だったんですか、データ的には。つまりクラウドに取ってたみたいな、

小飼:ハードディスク自体は大丈夫だったんで、スペアのケースに入れて中身を見たら、普通に使えたので。それ事なきを得たんですけど。

山路:それはまあまあ、だいぶ軽微で済んでよかったですね、被害自体は。

小飼:まぁ軽微で済んでよかったんだけれども、でも一つショックだったのはその時にやっぱり詳しく聞いたんですよ、だから、どういう場合に免責になるかという。たとえばここで100インチのテレビを引っ越して、

山路:つかなかったらどうなのか、みたいな、

小飼:免責。外傷がない場合というのは。外傷があるかどうかというのをちゃんと専門のテクニシャンが来て確認していきました。僕はその場でちゃんと通電しなくなってますと、でも外傷はありませんよねと。少なくとも引っ越しの時に凹んだところとかっていうのはないですよね。

山路:なるほどねー。それはなかなか難しいところですな。

小飼:まぁでも決済したのはAMEXなんで、そこの動産保険とかっていうのを使えるかもしれない。それはもう全部さておき、まぁでも通電しなくなったというのはかなりクリティカルでしょ。ものとして。なんですけれども、引っ越し業者として責任の範囲というのは外傷なんですよ。どこかにコツンとぶつけてここが凹んでる、とかなんですよ。通電しなくなったというのは僕はけっこうショックでしたね、それは。

山路:ただ、それって壊れたっていうクレームとかを捏造するやつもいっぱいあるだろうし。

「RAIDだったからセーフ」(コメント)

小飼:というよりも、ケースもいい年ではあったんですよね。もちろんいずれもメーカー保証の1年というのはもうだいぶ過ぎていて。

山路:なんかもうハードディスクとかその辺やつって、自分で移動させんといかんって感じですよね。

小飼:いや、まあ本当にそういうことになっちゃいますよね。

山路:弾さんが持ってるハードディスクの量、すごそうだけど(笑)。

小飼:まぁでもそうは言っても現役で使ってるのは高々1ダースちょっと、

山路:なんとか個人でも持っていけるぐらいか。

小飼:それくらいのディスクアレイを持ってる人というのは珍しくもなんともないと思うけどね。

「引っ越しする時に気をつけます」(コメント)

小飼:まぁでも彼らの名誉のために言っておきますと、ハードディスクはぶっ壊れませんでした。中身は。中身はぶっ壊れなかった。

山路:不幸中の幸いで。

小飼:でも外傷がなければ免責になるというのは、確かに契約書とかっていうのを見るとそこにチェック、

山路:それをもしもビジネスとして本当に保証するみたいなことをやろうとしたら、持っていく前と後でデータとかをそれこそきちんと整合性あるように、みたいなとこまでやらないと本当に壊れているかどうか、

小飼:いちおうちゃんとメタデータのバックアップは取りましたし、そもそもなんでディスクアレイになってるかって言ったら、ちゃんとリダンダンシーがあるからです。ちなみにZFSなので。raidz2、RAID6相当なので、ディスクアレイの中で2本死んでもまだデータは生き残るというコンフィギュレーションにしてたので。それを除いても、RAIDのリビルドとかは発生しませんでした。だから、ディスクはもう全部無事でした。

山路:気をつけよう(笑)。

小飼:ケースがぶっ壊れるというのはねえ。

山路:投げたんかよ、みたいな匂いはしますよね(笑)。

小飼:ねえ。

「ケースメーカーはバラバラ?」(コメント)

「大型TVは怖いね」(コメント)

小飼:でもTVはTVでちゃんと梱包して、再組み立てするというのはすごいよくあることじゃないですか、ちゃんと専門のスタッフがいたんですよ。専門のスタッフがTVは台から外して、引っ越し先で、

山路:弾さんはTVをキャスター付きの台に載せてましたけど、あれ外すのもやってくれるんですか?

小飼:全部外して、引っ越し先で元に戻すというのも、

山路:そうか、そこまでやってくれるのか。

小飼:あんま壊れるように思わなかった。

山路:逆にああいう大物のテレビみたいなもののほうが注意しちゃうけど、小さいものはうっかりみたいなのがあるのかもしれないですけどね。

小飼:ちなみに外傷としてぶっ壊れた場合の保証金額の上限が30万ということなので、ほとんどのテレビはそれで済みますよね。確かにほとんどの家電はそれで済みます。うちも引っ越した時に冷蔵庫と洗濯機は新調したんですけれども、30万ちょっと超えてました。なんだけどもポイントがどっさりついたので、そういうのも含めると1個あたり30万弱ぐらいにはなるのか、けっこう30万というのはうまい設定ではあるとは思った。

「凹んだのは心か」(コメント)

小飼:いやまぁ確かにちょっと、ちょっとけっこう血の気が引きましたね、通電しなかったっていう時には。

山路:それにしても年末から、クリスマスイブとかでも取り上げようと思ってたネタとかいろいろ集めたんですけど、この年末から年始にかけて、すごいいろいろありすぎじゃないですか、事件っていう。

小飼:まぁでも去年は能登地震と羽田空港の。それに比べれば、割と平和な、

山路:昨年は、羽田で私、黒焦げの機体見ましたよ、年初に。

小飼:僕も残骸、まだ見れましたね。

山路:国際関係とかの動きがもう半端ないじゃないですか。

小飼:なんかすごい、全球的にはなかなか忙しい年末でしたね。過去形ではないか。

山路:なんかカメラのサムネがオフになってるみたいな、

小飼:あれ、本当だ、ラジオ放送になっちゃってる。

山路:その国際関係、じゃあちょっと、

小飼:ラジオ放送、あー戻った、テレビになった。

山路:まずいろいろ国際関係が動いてるんですけど、特にびっくりしたのが韓国の戒厳令じゃないですか。

小飼:うん、いやでもあれは本当に韓国は本当に民主化したんだなと。

山路:戒厳令を止めたという。

小飼:うん、いや、もちろん民主化するといいことばっかりじゃないわけじゃないですか、そういうところまで含めてきちっと民主化したのだなと。

山路:ちゃんとストップのスイッチを法律として入れといたっていう、

小飼:そう、

山路:憲法なのか、憲法レベルで、韓国だと。

小飼:日本でも改憲して非常事態宣言を出すと、この場合は法律を一時的に止めて、もう内閣が自由に裁量を振れるようにしたいっていうふうに言ってたけど、じゃあ具体的にどういうふうに発令して、どういうふうに止めるっていうのの議論っていうのがあんまなかったんじゃないですか。

山路:なんかそういうところで韓国、すごいところに追い込まれた時の条項っていうのをきちんとプロセスとして作ってたっていうのはすごいことだなあと思いました。

小飼:うん、いや本当、でも、もう一つの悲しい事例というのは、本当に現職の大統領が戒厳令というのを、要するに非常事態宣言というのを、要は立法府と司法府というのを一時的に統べることができるという宣言というのも軽々しくやってしまったと。本当に軽々しくやってしまったと。

山路:それこそ閣僚とかのチームにもそんなに合意形成をしてたわけでもないというところもぞっとするところだなと思って。本当になんか先輩、高校の先輩だっけ、大学の先輩だっけみたいなのとちょいちょいと話して決めたみたいな感じでしたよね(笑)。

小飼:そうそうそう。

山路:あれってどう見ました? もう、これは個人の問題みたいな、個人のレベルでおかしくなっちゃったっていうことなんですかね、なんか。

小飼:いや、まぁできることをしちゃったと。法で許されることをしてしまったと。でも、それに対して立法府も法で対抗したでしょう。

山路:うんうんうん。それにしてもまだ大統領側と睨み合いが続いてるって、もうすごい話だなと。

小飼:なんと言えばいいのかな、4年前のアメリカの1月6日みたいな感じですよね。

山路:韓国の場合は、逆ですけどね、

小飼:まあそうですね。

山路:ちょっと今回の場合は。で、他にも、他の国でも、たとえばシリアのアサド政権が崩壊、

小飼:あれはでかい、けっこう、そうそうそう、これも番組の前半まるまる1本使っていいぐらいの話題ですけどね、シリアの話題というのは。

山路:いやーもう本当にこういう話題には、去年末から今年の頭とかにこと欠かなくて、ルーマニアの大統領選が向こうでやり直しになったとか、さらには今日、今日ですよね、カナダのトルドー首相が辞任の意向表明とか、

小飼:トルドーは、まぁちょっと長すぎたところはあるといえばある。

安定期から混乱期になるというのは一瞬、その逆は時間がかかる

山路:一体なんというか、何が起こってるんだみたいな、2024年から2025年という、また世界史の教科書が分厚くなっちゃうんじゃないのっていう感じですけども。よく言われているのが、要は普通の人の生活が苦しくなってるっていうのが大前提として、

小飼:それがね。パイ全体はでかくなってるんだけれども、もうその切り分け方がおかしいと。パイが大きくなった部分というのはもう全部、もうもともとステークがある人、持てる者が持ってって、そう、特にチーズとかペペローニとかがいっぱい乗ってる部分っていうのを持ってって、持たざるものというのは本当に耳をポイってやられてるという。

山路:しかも巧妙なのが、それが合法の仕組みによってなってるってことですね。

小飼:そうなんです、

山路:結局のところ。悪い盗人がそれを盗んでいくんじゃなくて、全部合法の仕組みの上にそういうふうにいく、そういうポンプのように吸い上げられていくという、

小飼:今、悪い人じゃないっていうふうに言ったでしょ? 悪い人なんです!

山路:そうですね(笑)、そういう仕組みを作るのは悪い人、

小飼:より悪い人なんですよ。

山路:おっしゃる通りで。

小飼:はい、いいですか。法に反することをする程度の悪人というのは、レベル1なんです。一つ上に行くためには悪い法を作れるぐらいでないといけない。

山路:いやー、なんかでも勉強になるっていうか、それを聞いて、じゃあ法を作る側に回ろうと思うインセンティブを与えてしまうことにもなるというかね(笑)。

小飼:そうね。

山路:基本的に、たとえば利息がたまっていくとかそういうお金の性質みたいなものとかでどんどん有利になっていくところをさらに法律を使ってより有利になるようにして、本当にそうでないようにしようと思ったら、再分配の仕組みっていうのを積極的に作らないとどうしようもないっていうことですよね。

小飼:そっちなのよ。だけど、法でそれを制御しようとするときに、細かくやってしまうんですよ。

山路:細かくやることでなんていうのかな、ポンプの効率も悪くなっちゃうっていうところがあって、

小飼:そうなんです、

山路:結局、再分配が機能しないみたいなことになっちゃう。

小飼:というのか、(実際に行われるのは)再分配というのも建前としてはないと。で、やるときは特別で、その特別な場合というのはちゃんと申請を出さなければいけないと。ダメなんですよ。そちらこそ自動にしなければいけない、本当に。

山路:なんだかんだ言って平和な世界にはなってったじゃないですか、戦争っていうのは昔に比べたら、少なくとも戦乱の世っていうんではなくて戦乱が減って、あるいは疾病とかで人が大勢死ぬってことも、まあ昔に比べて、コロナとかありましたけどもだいぶ減って。そういう状態だと持てる者が自然と得するっていうふうな方向に行くから、

小飼:そうなんですよ、

山路:ぐちゃぐちゃにならないでちゃんとリセットというか、還元しようとすると積極的に格差を是正するような仕組みっていうのは作っていかないといかんということなのかなと思いましたけどね。

小飼:まぁでもじつはそれを是正するのに、民主主義というのは非常に不向きな仕組みだと。これもちょっと後で説明しますけれども。再分配のルールを決めるのに民主主義というのは非常に悪い仕組みだと。

山路:まさにこうそこにも関わってくるというか、一番でかいところというのがこれ、なんか今、トランプの、もう再来週就任ですよね、

小飼:もう逆なんですよね。民主主義だと貧すれば鈍になりがちなんですよね。なりがちというのか、たいていの民主政権が崩壊する時というのはそれなんですよね。何か、天然災害でもいいですし、市場の混乱でもいいですし、それで貧になると、鈍な為政者というのを選挙で選びがちなんですよね。

「格差を是正する仕組みを作るインセンティブは」(コメント)

山路:金持ちは殺されたくなかったら格差を是正する仕組みを作ったほうがいい。

小飼:そう、じつはですね、それでうまくというのか、格差が是正される機会として大きかったのが戦争ですね。いや、その辺がピケティの研究でよくわかったところで。

山路:戦争が起こることである意味シャッフルされて、格差がちょっと是正されてたってところがあったんだけど。

小飼:持てる者から強制的に取り上げるっていうのが通りやすいというのはやっぱり国家の緊急事態なわけですよね。

「ヒャッハー」(コメント)

山路:ってあるけど(笑)、まあそうですよね。ヒャッハーの時は。

小飼:そうなんですよ、アメリカでも所得税の最高税率が94パーセントだっけな、

山路:昔に比べて、つまりこのヒャッハーというか金持ちが貧乏人に襲われて革命で殺されるみたいなが起こりにくいと思ってるから、今の金持ちはいい気になってるんでしょうかと。

小飼:その通りです。それはありますね。本当にあのゲーテッドコミュニティのゲートの中にいたり、タワマンのてっぺんにいたりしているじゃないですか。

山路:弾さんも、いるじゃないですか(笑)、タワマンのてっぺんに(笑)。タワマンのてっぺんからてっぺんへと引っ越して。

小飼:まさに、まさに。

山路:それでこのアメリカでその格差みたいな話で言うと、この殺人事件もまさに金持ちが、金持ちというかこの不公平を代表すると思われる人間、医療保険のCEOが銃撃されて殺されて。なおかつまるで映画の『タクシードライバー』みたいに、殺した犯人が英雄視されてるという話があって。いや、だからあんまりやりすぎると持てる者と思われた人間、殺されちゃうよみたいなところも。

小飼:まぁそうですね。でも、この程度で済んでるのかという感じは。

山路:一人死んだぐらいかい、で、

小飼:ほんとにそうなんですよ。

スタッフ:すいません、ちょっと質問なんですけれども、そのルールメーカーに対してのいわゆる、まぁなんていうか、これ以上やっちゃいけないよみたいなやつ、暴力ぐらいしかないんですかね。

山路:ねぇ、なんかそこのところに絶望があるだろうなぁ。

小飼:暴力ぐらいってどういうこと?

スタッフ:つまり戦争もいわゆる武力っていうか暴力の一部と仮定してっていう話なんですけど、

山路:つまり格差の是正みたいなものっていうのが民衆がいくら文句を言って、たとえば選挙でやったとしても、結局ルールを作る人たちっていうのは金持ち有利のほうにやってくんじゃねーのみたいな話?

スタッフ:そうですね、

山路:結局それをどうにか本当の意味で言うことを聞かせようと思ったら、暴力的な手段に訴えるしか方法がないっていうことを言いたい?

スタッフ:はい、で、あと論弾のほうでもちょっと取り扱ったニュースいくつか、ロシアとウクライナが戦争をはじめて、ロシアかウクライナのお金持ちの方たちが何か暗殺されたみたいなニュースとかが、

山路:ロシアの金持ちが殺されたというのは、

小飼:どっちだったか、ちょっとはっきりわからない、

山路:ロシアのオリガルヒとかが殺されてるっていうのはプーチンの支配の文脈だから、つまり一般大衆がロシアにおいて、疑わしい金持ちの死に方っていうのは一般庶民というよりは、なんか諜報機関とかそういうところによるもんじゃないかといわれてるから、ちょっと民衆の怒りが金持ちに向いた文脈でロシアを例に出すのはちょっと話がややこしくなる、

小飼:ただロシアはけっこういい例だと思うんですけども、累進課税がないんです。今のロシアは。

山路:金持ちはより金持ちに。

小飼:そうそう。15パー固定だというふうに。

山路:お得! 金持ちはお得(笑)!

スタッフ:じゃあやっぱりシュプレヒコールを上げるしか、

「マスクとかだと再配分よりも私兵を持つとかの方向に行きそう」(コメント)

小飼:まさにそうなんですよ。じつは私権の行き着く先というのは警察力まで要するに私的に確保する、それぞれが確保しなければいけないという世界なんですよね。そうなると本当にビリオネアぐらいでないと、損益分岐点を超えられないんですよ。ミリオネア程度ではセキュリティを確保できないんですよ。ミリオネア程度だともうメキシコみたいになっちゃう。

山路:なんか、しかし高コストな国ですな。

小飼:本当に。(コメントを見ながら)はい、僕だとダメです。僕だともうハイエースでさらわれちゃいますよ。

山路:SP、常時5、6人ぐらいは雇ってないといけないみたいな感じになってるわけですよね。

小飼:本当に。

スタッフ:そういった意味だとアメリカとか弾さん、寄付がけっこう盛んだっていう話があったりするけど、

小飼:それはもう立派な節税というのか、脱税の手段なわけですよね。

スタッフ:なんですけど、自衛の一環もある感じになるんですかね? 要は寄付しているっていう、

山路:いい人であると思われるっていう、

小飼:もちろん。

スタッフ:つまり火星へ行くか、私兵を持つか、寄付するかみたいな感じで自衛をするわけですね、持つ者は。

山路:まぁ火星に行くっていうのがどの程度フィランソロピーとして認識されてるのか、分かんないけれど(笑)。
 毎年ユーラシアグループが発表してる「世界のリスク」ってあるじゃないですか、「世界の重大リスク」。今年、2025年発表されてるリスクナンバーワンは要は深まるG0世界、G7のところじゃなくてG0、もうリーダーシップ取る国がねーよっていうことがリスクナンバーワンに来て、2番目がトランプの支配、3番目がアメリカと中国の決裂、4番目がトランプノミクスで経済が混乱するんじゃねーかで、5番目がロシア、6番目がイラン、7番目が世界経済のところに負の押し付けみたいな、8番目にAIが来て、9番目がこれも統治なき領域の世界の不安定で、10番目がアメリカとメキシコの対立みたいな話。そうやろな、みたいな。

小飼:ほんとに集中してんなぁ。

山路:どうです? 弾さん的には2025年、そうですね、世界的な視点もいいですし、個人的なところでなんかたとえば投資のことで、この世界のやつが自分のとこにこういうの影響してくるかもって思うことってあったりします?

小飼:あー、まぁでも確かに閾値を超えた感じはありますね。