米国では、オリバーストーン監督をはじめノーム・チョムスキーMIT名誉教授、著述家のナオミ・クライン、元国防総省の軍事アナリストであるダニエル・エルズバーグの各氏を含む29人の各国著名人が沖縄県内での新基地建設に反対する声明を発表しました。私は政権交代を果たし、首相として普天間基地問題について「最低でも県外」と言いながら、様々な事情があったにせよ最終的に辺野古に決めざるを得なかったことについて、沖縄県民に大きな失望を与えた申し訳なさとともに忸怩たる思いをもっています。しかしながら沖縄の人々は、2012年9月にはオスプレイ整備反対の10万人県民大会を開き、さらにその延長で2013年1月には、県議会議長と県議会会派代表、市長会・町村会長会・商工連合会・連合・婦人連合会・市議会議長会・町村議長会の長、それに県41市町村の首長と議会議長の署名・捺印を付したオスプレイ配備撤回と普天間基地閉鎖・県内移転断念を求める「建白書」を携え大挙上京して安倍首相に手渡すなど、民主主義的手続きの限りを尽くしてきたものの、一顧だにされることはありませんでした。このままでは、周辺住民と県民は物理的抵抗によって自らの意思を示すしかなくなっていくでしょう。それどころか日本政府はすでに、米軍基地・区域への侵入を禁じた「日米地位協定の実施に伴う刑事特別法」を適用し、沖縄県警および海上保安庁巡視船を動員して「厳正に取り締まる」方針を固めています。そこまで人間的尊厳を踏みにじられれば、沖縄の人々は、日米両政府に対して心底絶望し、心情においてますます「独立」の方向に傾かざるを得なくなるかも知れません。そのような、日米地位協定が剥き出しで沖縄県民に襲いかかるような最悪の事態は何としても避けなければなりません。
私は本土においてオリバーストーン監督等のような行動をいち早く起こし得なかったことを恥じらいつつも、それに積極的に呼応して、民主主義と自然保護の名において辺野古基地建設に反対する運動を、日本ばかりでなく世界中から創りだしていかなければならないと思います。
(鳩山友紀夫)