米軍普天間飛行場の辺野古移設は必要か。その疑問は、実は防衛省内にもあった。地方協力局長の井上源三は2009年10月12日、米国務次官補キャンベルらに尋ねた。
「グアムの海兵隊だけで(東アジア)地域の十分な抑止力を持つのではないか。不測の事態には伊江島(補助飛行場)と下地島(空港)が補完すれば良いのではないか」
在沖海兵隊がいなくても有事の際はグアムから対応可能なのではないかとの疑問だ。米側はこれに反論する。
「グアムだけに依存すると時間、距離、その他運用上の課題が出てくる」。中国の軍拡も背景に「緊急時は(沖縄の)最低3本の滑走路が必要だ」と強調した。嘉手納基地に2本、普天間に1本滑走路がある現状の維持が必要との見解だった。ただ裏を返せば有事に嘉手納基地以外の滑走路が使えれば、平時は戦略上問題はないとの認識でもあった。
井上はこうも尋ねる。
「グアムのアンダーセン空軍基地にヘリパッドを建設中だ。最大60機を再配備できる。さらに緊急事態には高速鑑定を使用することで米軍は有効に対応できるのでは」
在日米軍副司令官のジョン・トゥーランは