鳩山理事長は9.13-15ベトナムを訪問しました。今回の訪問目的の一つは、ベトナムにおける初めての日本資本によるクリニック、東京インターナショナルクリニックの開院式への出席。もう一つは、昨年10月に訪れた、ベトナム戦争時の米軍による枯葉剤の影響で今もなおその後遺症に苦しんでいる特に子供達に対し、無料の整形治療プログラムを行っているプックラム国際総合病院に車椅子を寄付するためです。
日本のクリニックの開設は、現地で働いてい...る邦人にとって朗報です。何故なら、鳩山理事長も米国留学時代に同じ思いを経験したようですが、日本人が異国の地でドクターに診てもらう時に、自分の体調や意思を言葉の問題等により正確に伝えることができず、苦労をすることが多いからです。開院までには法律を含め考え方の違いなどから許可申請するのに大変なご苦労があったと伺っていますが、友愛溢れるクリニックに発展されることを祈っています。
また、理事長は昨年、永年の友人であり越日協会会長であるヴー・カイ先生のご紹介により、ハノイ郊外のプックラム国際総合病院を訪れ大変ショックを受けました。それは、ベトナム戦争終結からほぼ40年も経つのに、未だに米軍によって撒かれた枯葉剤の影響で、四肢や脳、五感などに障がいを持つ子供たちが何万人とおり、さらにダイオキシンにより遺伝子に異常をきたし三代にわたって苦しんでいたり、土地や水が汚染され、体が冒されてしまっている人々もおられることを、同病院のロン院長から伺ったからです。
もちろんベトナム政府も対策は取っており、米国もそれなりの対応は当然ながらしているようですが、それとは別に、何かお手伝いができないかと考え、院内や通院するための車椅子が圧倒的に不足しているということから、今回、アビリティーズ・ケアネット社の全面的な協力と、日本友愛協会と東アジア共同体研究所の支援により、車いすを50台贈呈することになったのです。
贈呈式ではベトナム流の踊りや歌で熱烈な歓迎を受けるとともに、ベトナム共産党のダオ・ヴァン・ズン中央宣伝局社会問題部長、前国家副主席チュン・ミン・ホア氏から感謝の挨拶があり、最後は障がいを持つ子供達が車いすに座って記念の写真撮影が行われ、感動の渦が巻き起こりました。私たちの出来ることは小さな事かも知れませんが、少しでも子供達の笑顔が見られれば、これに勝る喜びはありません。また、「ベトナム国民の謝辞」という詩が朗読され、民間同士のウィンウィンの関係を強く感じた感激のひと時でした。
その後、日曜日にもかかわらず、グエン・タン・ズン首相との会談が首相府においてセットされました。
ズン首相からは、越日の友好関係に対する尽力、そして鳩山首相時代に越日関係の発展に努めてもらったことへの感謝の言葉がありました。そして、クリニックの開院と、プックラム国際総合病院への車椅子贈呈に、首相も大変感動し、越日の戦略的パートナシップをさらに強めることになったとのお話がありました。
鳩山理事長から、車椅子の贈呈とは別に、枯葉剤で汚染された土地からダイオキシン等を除去することを、ODAと日本の技術協力で行えないか、という提案をしました。また、日越両国における中国との領土問題について、対話による解決が大事であるということを申し上げ、ズン首相からは、枯葉剤の影響がある患者が、国内に200万人いる。ベトナムは元々、農業や水産業の国であり、今後、日本の技術協力が必要である。是非、次回はベトナムの南部の稲作現場を日本の農業関係者とともに視察してほしい。また、領土問題については、国際法に基づいて解決することを望んでいるとの話があり、今後とも意見交換を重ねていきたいという事で合意しました。(了)