梅雨は普段本を読まない人にとっても、読書のチャンス。雨の音を聴きながら、コーヒー片手に本を読む。素敵な時間だと思います。
今回は雨の音を聞きながら静かに読みたい小説を10冊紹介します。
日本の小説を5冊、海外の小説を5冊、それぞれ選ばせてもらいました。
どれも名作揃いなので、どれか一冊だけでも読頂けたらうれしいです。
<日本文学>どれも静かに読みたい小説です
地下街の雨 宮部みゆき
宮部みゆきによる短編集。都会の片隅で生きている人たちを描いた作品が中心です。
人の感情をクローズアップする著者の作風は、梅雨によく合うと思います。
神様からひと言 荻原 浩
普段本を読まない人に読んでほしい作品です。主人公のサラリーマンは左遷され、辛い日々を送ります。
でも、決して折れることはありません。明日への勇気をくれる小説です。
雨の日には車をみがいて
車と女性を巡る恋愛短編集。車好きにはたまらない小説かもしれません。
若い人が読んだら純粋に面白い青春小説、もう若くない人が読めば昔を振り返ることができる小説という二面性を持った作品です。
星新一のショートショート
ショートショートの巨匠、星新一の作品はどれもウィットに富んでいて外れがありません。
「この一冊」というものを選ぶのが難しい作家です。
一つの物語を読み終えたら雨を眺めてぼうっとする。そしたらまた頁をめくる。そういう読み方ができるのが、ショートショートの魅力です。
死神の精度 伊坂幸太郎
主人公の死神が織りなす六つの短編集。音楽好きで空気の読めない死神が面白いのですが、
その裏で「死」について考えさせられる小説でもあります。雨の中でじっくり読んでください。
<海外文学>世界の風景を雨の中で感じてください
武器よさらばヘミングウェイ
戦争から逃げ出した男と女の逃避行。非情な現実に晒され、それでももがき続ける主人公たちを描いた著者の代表作の一つです。
雨降りのラストシーンがなんとも印象的。
コレラの時代の愛 ガルシア=マルケス
コレラが蔓延する時代を背景とした、愛する人を待ち続けた老人の物語。
ノーベル賞作家でもあるマルケスの作品は、雨を思わせるような静かで、しかし幻想的なものばかりです。
日本ではあまり知られていないかもしれませんが、是非読んでみてください。
レ・ミゼラブル ユゴー
「ああ無情」というタイトルでも知られる本作。暗く、重厚な小説ですが、普段軽めの作品しか読まないという方には挑戦してほしい一冊。
作品全体の雰囲気が雨とマッチするはずです。
緑の家 リョサ
密林を描くことに長けた作家であるリョサも、雨の中で読んでほしい作家の一人です。
砂漠に建った緑の家を中心に、様々な登場人物の視点・時代を行き来しながら語られていく名作。
静かなペルーの密林を、雨の中で感じてください。
日の名残 カズオ・イシグロ
日系英国人である作者による名作。老執事が過去を振り返りながら旅をする物語。
仕事に誇りを持つこと、仕事に生きることを、見事一冊の中に納めた作者には凄いとしか言いようがありません。
最初から最後まで、静かで、どことなく優しい雰囲気が流れます。
まだまだ紹介したい小説はたくさんあります。全てを紹介していたらきりがないくらいです。
毎回本の記事を書くときは、どれを紹介するか本棚の前で一時間くらい考えてしまいます。
それくらいじっくり考えて選んだ10冊なので、読んで頂けたらとってもうれしいです。
きっといつも憂鬱なだけの梅雨が好きになれますよ。
画像参照元:Amazon