最近の映画がつまらない、ネタ切れなどと言われてしまう要因のひとつにCGの過剰な使用があるのではないだろうか。

たとえストーリーが非常に見事でも、CGを使った大げさすぎるアクションシーンなどでそれらの印象が掻き消え、最後に残るのは「CGがすごかった」などといった小学生並みの感想になってしまっている気がしてならない。

 

そんな映画界へのアンチテーゼ的な要素も含めて、僕は今回1989年に制作された『THE FLY2』を紹介したい。

この映画を観ていただければ、CGを使わずしもめちゃくちゃ面白い映画は作れるということが、きっと観客、制作陣にもわかっていただけることと思う。

 

 

前作でハエ男とヒロインの間に生まれた天才ハエベイビー

前作『THE FLY』で主人公の研究者とヒロインの間に授かった新しい生命、それが今回の主人公・マーティンだ。

マーティンは自分にハエのDNAが混じっていることを伝えられずに、成長が異常に早い病気なのだと知らされ、ずっと研究所内で生活してきた。

しかし彼が5歳(見た目は20歳の青年)の誕生日を迎えた直後、彼の身体には徐々に変化が訪れる。それは彼が人間でなくなり、1匹のハエ男に変化していく前兆だった…。

 

 

この映画のここがすごい!:特撮の造形が見事すぎて怖い

この映画の最大の見どころは、その深くわかりやすいストーリーだけではない。

彼が変化していくにつれて変わっていく特殊メイク、大きく変化した際の効果的なカメラワーク、恐ろしいハエ男に変わった時のモンスターの造形など、とにかくバイオチックに統一されたその素晴らしいデザインは、モンスターパニック映画のお手本にすべきものである。

 

ネタバレになってしまうので深い言及は避けるが、ラストのカットに登場するモンスターを注意深く観察してみてほしい。前作を観ているのであれば、より一層、その恐ろしさにゾッとできるはずだ。

 

 

この映画のここがうれしい!:動物愛護に満ちあふれた描写

バイオチックなモンスター映画などと聞くと、結構動物に対しての扱いがひどいように感じられるかと思うが、この映画に限って言えば、そのようなことは微塵もない。

確かに悲しいシーンは見受けられるが、大抵動物にひどいことをしようとした人間はひどい目にあうのがこの映画の素晴らしいところだ。動物実験に対して嫌悪感を抱いている僕のような方には、スカッとするシーンが数多く見受けられるので、ぜひこの映画を観て、日ごろのストレスを発散してほしい。

 

 

まとめ:ビビりながらも思わずニヤリ(動物愛護的な意味で)

この映画を観ていると、やっぱり映画の全盛期って90年台なのかなと感じる。レベルの高い技術であるCGは予算的な問題で手が出せなかったというのもあるのだろうが、やはりCGに頼らない生の表現というのは、迫力が決定的に違うものだ。

それに関しては以前『遊星からの物体Xファーストコンタクト』を観た時に感じた。やはりモンスターパニックは、生の表現無しにしては決して恐怖を感じることはできない。

血しぶきすらCGで片付けてしまう映画製作者には今一度、「」についてあらためて考えていただきたい。

 

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