おあつらえの歌を歌うのは得意だぜ。ぶうぜ。

明日歌う曲は全部雨の歌だぜ。
それを聴きながら雨の中スタジオに向かうぜ。
すごくいいぜ。
聴くべき時に聴くと曲の良さがマシマシだぜ。
イヤホンして音楽の世界に隔離されるぜ。
乗りなれない山手線も少しだけ楽になるんだぜ。
人が多い駅は嫌なんだぜ。

早めに着いたスタジオのロビー、割と人が多いぜ。
デブは座りたいぜ。

お、ソファーの両端に何人かづつ集まって談笑しているぜ。
緩衝帯か?真ん中がひと席空いてるぜ。
俺は別に知らない人の隣でもいいぜ、気にせず座るぜ。

お、しばらくしたら両隣の集団がほぼ同時に出ていくぜ。
ソファー一人占め、真ん中にどがんと座ってる俺だぜ。

あれ?
両隣のグループがお喋りしながら融合したぜ?

俺イヤホン外したぜ。
両隣の別々たと思ってたグループは1つのグループだったぜ。

なんだよ早く言えよぜ。
俺ってばいきなりグループの真ん中に割って入って座ってきたやべぇ奴だったんだぜ。
終わったこととはいえちょっと気まずいぜ。

そしたらそのグループに後から一人やってきたんたぜ。

「あれ?けいさん何で戻ってきたの?」
「いや、これからKayaさんのでピアノ弾くやつのスタジオだから。」

あれ?じゃあこの人今から俺とスタジオ入るピアニストだぜ?
ん?じゃあこのグループはアーバンギャルドだぜ。

さっきまで俺の右隣に座ってた女の人も左隣に座っていた男の人もアーバンギャルドのボーカルだったぜ。
確かによく見たら男のほうは見たことあるぜ。
事務所にマイナスとのツーマンのポスター貼ってあるぜ。
ボーカリスト三人並んでアー写でも撮るみたいですねぇ!なんつって!だぜ。

ピアニストのけいさんに挨拶したぜ、
俺の存在バレたぜ。
恥ずかしいぜ。
俺ハムみたいな薄ピンクの髪で貧乏くさいぜ。
その上、沖縄ではしゃいで買ったオリオンビールのTシャツ着てるぜ。
ビールなんて飲まないのにだぜ!?
あたりを見渡せば中野では見ないようなお洒落なバンドマンばかりだぜ。
芋いのは俺だけだぜ。
気のせいか店員も嘲笑ってるぜ。
(あ、鬱だから鬱フェスにも出れるぜ?どうですかぜ?)

やべぇぜ。

考えてみたら明日ピアノ伴奏で歌を歌うのに相応しい服なんて持ってないぜ。
お洒落なものって言ったら指が出てるグローブしか持ってない俺なんだぜ!?
これは一晩考えものだぜ。

まぁそれはともかく明日も楽しみなんだぜ。
雨が降るといいんだぜ。