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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2016/04/29
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おはようございます。

今日は『解決!ズバッと』はお休み。
岡田斗司夫が、1995年から2001年に「テレビブロス」誌で連載していた『オタクの迷い道』から、セレクトしてお届けします。

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連載第15回「最近、オタクが不機嫌な顔をしてるワケ」 


 オタクたちは今、揉めている。
 「新世紀エヴァンゲリオン」という先日、終了したTVアニメの評価が原因だ。
 せっかく予約した全話セットLDを解約する者も続出した。

 数々のSF的な謎や設定でエヴァはオタクには大人気だった。
 ところが大期待の最終回、謎解きやストーリーは放ったらかしで、いきなり主人公が一人で自問自答しはじめた。

 で、一人で悩んでいた主人公が「そうだ、判った!」とか言うと壁が崩れて(本当に崩れる)他の登場人物が拍手してくれる、という自己啓発セミナーみたいな終わり方をしたのだ。

 試しに身近なオタクにエヴァのストーリーを訊いてみるといい。
 誰もが、途中で判らなくなって言葉につまったり、感情的になったりする。
 これは今一番面白い遊びだ。

 このトンデモアニメ・エヴァの評価でオタクたちはまっぷたつに割れた。
 結婚詐欺にひっかかった女のケンカとそっくりでおもしろい。

 「ダマされた。あの人はただのウソつきだったのね。あの人が語ってくれた夢や希望やSF設定は全部ウソだったのね」
 「ほ〜ら、あなたには彼の事なんて何一つわかってなかったのよ。私はあの最終回まで含めて全部好きよ。それを騙されたなんて、最初からホントの愛じゃなかったのよ。」

 「自分だけが彼のことをわかってあげられるのよ」という肯定派の自信満々の顔を見ると、「まだ目が覚めないのね」と否定派はますますイライラする。

 そこへ制作者が「え〜、あれは不本意なラストでした。本当のエヴァは来年発売のLDでしか見れません」と発表した。
 これには一同唖然。
 頼みの綱のアニメ誌にはもちろん提灯記事しか載っていない。
 
 オタクたちの受難は来年まで続きそうだ。


以上、『オタクの迷い道』よりお届けしました。