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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/07/27
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おはよう! 岡田斗司夫です。
今日は、5月22日(日)ニコ生 岡田斗司夫ゼミ のハイライト動画をお送りします。
岡田斗司夫の最新生放送はこちらです⇒http://ch.nicovideo.jp/ex
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3分動画「奇跡の庵野!庵野秀明の作家性を知りシン・ゴジラを楽しむ」
(※3分動画は、3分では無い場合があります)文章はこちらに掲載しています↓
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庵野くんは、本当に面白いよ。
なまじ知り合いで、彼がオタクというのを知ってたから、あまり作家として分析した事が無かったんですけどね。
たとえば宮崎駿だったら、「こういう思想性がある」と。
押井守でも、富野由悠季にしても、ある程度は語れるんです。
だけど庵野秀明に関しては、「知り合いだからなぁ」という事で、分析する事を思いつかなかったんです。
考えてみれば、変な事ばっかりなんですけどね。
「なんでアイツは“爆発の庵野”と言われてたんだろう?」
「なんでアイツはウルトラマンに なりたかったんだろう?」
そんな、みんなと同じ情報で考えてみたら、彼の“作家としての異常性”という“個性”が見えてくるんですね。
個性で考えてみると、実は庵野くんは、かなり思想性が強い。
実は作家として、テーマがハッキリしてる。
そのテーマが分かりにくいから、タランティーノみたいにオタクとして語られる。
つまり、「○○が好きだから、作品に出してるんでしょ?」と語られる。
でもそれは庵野くんだけじゃない。
それは黒澤明であろうと、スピルバーグであろうと「好きなものだから作品に出す」のは、当たり前なんですよ。
でも、その「出し方」とか「何でそうなのか?」というのを考えてあげなといけない。
じゃないと、なかなか「何がやりたいのか?」は見えてこないんですよね。
なので『シン・ゴジラ』を語る前に、“庵野秀明の作家性”をトコトン分解して考えてみようと思ったんですよ。
昔、『トップをねらえ!』という作品を作ったんですけど、その中に“宇宙怪獣”という人類や文明の天敵が出てきます。
この宇宙に文明が発生しないように存在してる白血球みたいなものだと思ってください。
まず僕たちは、『トップをねらえ!』の世界の中では、“宇宙にとって、文明の発達は、何も良いことがない”と、考えたんですね。
この宇宙全体を一つの“生物”と考えてみる。
星が一つ燃えたら、それが消えて行って、収縮していく。
また別のところで星が生まれる。
正しい細胞活動っていうのは、そうやって健全な新陳代謝が行われている。
しかし、そんな所に“文明”を持った生き物が生まれたらどうなるか?
自分たちの文明を守りたいがために、いろんな無茶をしちゃう。
たとえば『スターウォーズ』だと、太陽のエネルギーを吸い出して、よその星へのビーム攻撃に使うとか。
あと、地球を早く砂漠化させたりとかですね。
とかく“文明”とか“知性”は、宇宙全体に関して言えば、何もいい事が無い。
なので文明とか知性を持った生命が発生してしまったら、その生命がいる星を滅ぼす白血球が、宇宙怪獣なんですね。
白血球はバイ菌より強い。
同じように、宇宙怪獣には、人類はどうやっても太刀打ちできない。
そんな設定にしたんです。
打ち合わせのときに「ここまでしても、いいのかな?」って思ったんです。
けどもシナリオ執筆の山賀くんが「大丈夫です」と言ったんですね。
「俺たちはもう『オネアミスの翼』で疲れ果てている。
頭のいいアニメは、すごくしんどいのが分かった。
ここからは庵野のために、頭の悪いアニメを作ろう。」って。
頭の悪いアニメとは、「でも、愛があるの!」とか、そういうセリフ一発で逆転する作品ですね。
『トップをねらえ!』では、それを「努力と根性」と言ってました。
人間とは、“怨念”とか“思い”が、論理性を超えるお話に感動します。
“感動”というのは、罪悪感の解消ですからね。
普段だったら、世の中の“当たり前”や“当然の事”に押しつぶされていく自分達がいるんです。
それに対して「でも、それじゃいけない!」と言って、無理だと分かっていても、負けると分かっていても、頑張る人がいる。
それを見たら、僕たちは、自分の罪悪感ゆえに感動してしまう。
その結果、“思い”が勝ってしまう話を作った。
それが『トップをねらえ!』です。
これは『不思議の海のナディア』も同じですね。
ナディアのお兄さんのネオ皇帝は、ロボットです。
でっかいコンセントで、電源につながれていました。
そして最後に、悪者にコンセントを抜かれるわけですよ。
ロボットで、電源があって「コンセントを抜いたら動かない」って言ってるんだから、もう動いちゃいけないんです。
でも何故か もう一回、ネモ皇帝は動き出しちゃうんですね。
それに対して庵野くんが出してくる理由は、「奇跡だ!」の、ひと言なんです。
なんて頭の悪さだ(笑)
でも、それを僕らは感動しちゃうんですね。
これが庵野作品の思想の三番目のテーゼ。
“すべての論理は、情念に道をゆずる”です。
逆に言えば、“論理”は“情念”の不条理さを目立ささせる“わき役”にしか過ぎない。
だから庵野作品の中では、いろんな理屈・理由がたてられる。
『エヴァンゲリオン』でも、「ネルフには、こんな事情がある」みたいな事を言われる。
だけど、それらはすべて、後に出てて来る“奇跡”の為です。
“理屈”は“わき役”に押しやられる為にあるんですね。
でも僕らは弱い“論理”を信じる人間ですから、ついつい論理性を探して、拾うんですね。
それを庵野秀明は、全部、破壊してしまう。
いわゆる町を破壊する爆発シーンと同じです。
論理性をすべて破壊して、奇跡をポンと見せることによって、庵野ドラマは成立してるんですね。
論理とは、情念の不条理さを目立ささせる わき役に過ぎないんです。
これが庵野ドラマの三つ目の特徴です。
なので『不思議の海のナディア』というのは、『ダイコンⅢ・オープニングアニメ』のリメイクだと思うんですよ。
誰もこんな事は言っていないんですけどもね。
これは「僕は、こう思っている」という、僕だけの考えです。
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