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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/08/14
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は“日本怪獣映画の黄金時代”を考えてみたいと思います。
僕は1966年が、日本怪獣映画にとって最後の栄光の年だったと思っているんですよ。
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「日本怪獣映画の黄金時代」


 1965年の東宝は、夏とお正月と、年に二回も怪獣映画をやってたんです。
 他の会社も怪獣映画をやりだして、本当に黄金時代でした。

 なのに今の日本は、庵野くんが『シン・ゴジラ』の監督をやるまで、12年間もゴジラが作られなかった。
 それは何故か?

 その理由が、翌年の1966年から始まります。

 まず大きいのが、『ウルトラQ』のテレビ放送。
 この番組のプレゼンのときに、円谷プロが「毎週、ゴジラが出ます!」って言ったそうです。

 これまでは年に二回、映画館でしか見れなかった大怪獣。
 それが毎週、お茶の間のテレビでタダで見れるようになります。

 確かに怪獣ブームが巻き上がったんです。
 けれども その“怪獣ブーム”は、映画館ではなくテレビに座を移しつつありました。

 1966年の4月に『サンダーバード』が放送を開始してしまいます。
 この作品は怪獣映画と同じ特撮とはいえ、人間ドラマの部分でさえ特撮なんです。

 普通の怪獣映画の場合、怪獣が出てくるシーンは子供たちも楽しんで見ます。
 ですけど、人間ドラマのシーンになってくると、退屈してくるんですよ。
 しかし『サンダーバード』は、人間ドラマもすべて特撮なんですよね。

 そんな作品がカラーの、品質が良い映像で、毎週 放送されちゃうんです。

 当然、映画館から、どんどんお客が取られていってしまいます。
 さらに7月には『ウルトラマン』が放送を開始します。

 「怪獣が出てくる。どうしたらいいんだろう?」という“恐怖”と“混乱”を描くのが『ウルトラQ』だった。

 それに対して『ウルトラマン』は、“勝ち・負け”という勝負の世界を持ち込んだんですね。

 ウルトラマンが怪獣と戦うことによって、“子供が見て模倣する対象”を出したんです。
 『ウルトラQ』や『ウルトラマン』は、怪獣映画やホラー映画を見やすくしたんですよ。

 ここに至って、テレビの怪獣と、映画館で見る怪獣映画の中に、大きな差が出来てしまった。

 映画館で見る怪獣には、お金を払わなきゃいけない。
 オマケに年に2回しか、やってくれない。

 でもテレビで見る怪獣は、毎週 見れる。
 そして感情移入できる勝ち負けがある。
 そして常に正義の味方が登場する。

 こんなに分かりやすい図式になってしまいました。

 1966年12月に大映は『大魔神逆襲』という作品を公開しますが、大魔神シリーズはこれで打ち止めになります。

 制作予算をかけても、怪獣映画ではリクープできないことが分かったんですね。


 1965年から1966年のほんの短い一瞬だけ“怪獣映画の黄金時代”があったんです。
 でもその黄金時代は、ほとんどテレビに吸い取られてしまったんですね。

 しかしテレビの怪獣ブームは、長く続きませんでした。

 1972年に『マジンガーZ』が始まります
 1974年には『宇宙戦艦ヤマト』

 SF映像の最先端は、アニメの世界へ移ってしまいました。

 あんなに楽しみだった怪獣映画やゴジラ映画。
 それが『ウルトラQ』と『ウルトラマン』が出てきたら、あっという間に色あせた。
 『サンダーバード』が出てきたら、それらも色あせてしまった。

 “怪獣”という、古代のにおいがするモンスターより、科学的なモノサイエンスフィクションに子供たちの興味が移っていってしまった。

 『機動戦士ガンダム』が、すべてを持って行ってしまうまで、それがずっと続いたんですね。
 なのでゴジラ映画が生き残るためには、子供を相手に商売をしなければいけなくなった。

 そして興行成績がどんどん下がった。
 だけど1984年から平成ゴジラシリーズが入ってきて、一瞬だけ興行成績が上がった。

 でもこれは、おとうさん・おかあさん世代がゴジラを見ていたから。
 子供と一緒に見ようと映画館に行ってたのが、すごく大きい。

 平成の『ゴジラ対モスラ』がそんなに面白かったわけでは、ないんですよ。
 あのあたりの動員数が400万人ですね。

 『ゴジラ対メガロ』のころの動員数は100万人。
 なんで動員数が4倍に膨れ上がったかというと、これは「子供を連れて行ったから」としか、説明のしようがないんですよね。

 映像の中心はアニメに移ってしまった。

 今回の『シン・ゴジラ』も、そこら辺を考えちゃうところではあるんですよ。


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