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岡田斗司夫の毎日ブロマガ【悩みのるつぼ】「おかしくなった二人の息子」

2016-09-12 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/09/12
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    おはようございます。

    今日は朝日新聞2010年9月11日の『悩みのるつぼ』から、セレクトしてお届けします。

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    相談文「おかしくなった二人の息子」

     20代の息子2人を持つ母親です。
     私と夫は家柄、学歴ともに申し分なく、夫は一流企業勤務、私は専業主婦です。

     私は息子たちにも、同じような高いレベルの人生、豊かな暮らしを願ってきました。
     私立中学を受験させ、大学からは私たちの出身地でもある東京へ進学させました。
     が、なかなか思い通りにはいきませんでした。

     まず、中学はすべり止めへ。
     大学も2人は地元を希望しましたが、なかば無理やり2人を東京へ進学させました。

     上の子には留学をさせ、本人は最初気が進まない様子でしたが、「楽しかった」と帰ってきました。
     就活も一緒にエントリーシートを記入、知名度の高い企業に就職できましたが、上司のパワハラで1年で退職。
     再就職は条件が下がり、中小企業の営業マンに。
     そこでちょっとしたミスを上司が執拗に叱責し、出社できなくなりました。

     下の子は、二浪で入った東京の大学に登校していないことが大学からの連絡で判明。
     上京すると、引きこもりで、友人もいないようで、アパートの部屋で常にPCに向かっています。
     資格でもとれば、と専門学校の講座を申し込みましたが、それさえ途中でやめていました。

     夫の実家が不動産を多く所有しているので、その管理を息子の仕事にしてやれますが、大学ぐらいは卒業してほしいと思うのです。
     上の子はやさしいけれど消極的、下の子はやんちゃで飽きっぽい子どもでしたが、私は、進路などの大事な局面以外は好きにさせてきました。

     夫は身勝手で仕事と自分の趣味に没頭して家庭を顧みず、子育てを含め、家庭のこと、夫の両親のことなど、すべて私が1人で、完璧にこなしてきたつもりです。
     何がいけなかったのでしょう。
     そして、子どもたちにこれから、どうしてやればいいのでしょうか。


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    岡田斗司夫の回答文

     あなたのミスは、思想と戦略と手法が一致しないことです。
     思想は「息子を一流の人間にしたい」ですね?これはOK。

     では戦略は「どのジャンルなら一流になれるかの見極め」であるべき。
     これに関してはあなたは0点、戦略ゼロです。

     あなたの好む手法は「徹底的に介入し、指導する」です。
     この手法を使う限り、自分が知っているジャンルしか扱えません。

     息子をとにかく一流にしたいとあなたは努力しました。
     その努力自体はすごく立派だと思います。
     
     でもあなたには「どんな一流が息子に向いているか?」というビジョンがない。
     しかたなく「私の知ってる一流」という方向で努力しちゃいました。

     あなたがスポーツ選手なら問題ありません。
     「私のようになれ、私を越えろ!」と教えればいいわけです。

     同じくあなたの家が老舗だったり歌舞伎みたいな世襲業なら、この教育方針でも決して間違ってはいません。

     しかし、あなたはスポーツ選手でも歌舞伎役者でもない。
     「私のようになれ」と息子に教えたら、どうなっちゃうのか?
     あなたは息子を「一流のお嫁さん」にしちゃったんですよ。

     長男には留学などのハクをつけ、就活という見合いをくぐり抜け、なんとか就職という結婚にこぎ着けました。
     でも嫁入り先の会社でイジメられると「実家に帰っちゃう」わけですね。

     次男は兄の不幸を見てるから、結婚のハクつけに大学に行ったり資格を取ったりするのがバカらしくなっちゃった。
     いまや息子は二人とも「家事手伝い」です。

     疲れたでしょ?
     でもしかたないんです。
     あなたの知ってる世界はそこまでなんだから。

     だからもう「理想の母」をしなくていいんです。
     「息子を溺愛する愚かな母」になってあげてください。

     彼らのすることを信じて、愚かと笑われても、夫や周囲に自慢してください。
     あなたは世の中の数多い「教育に失敗した名も無き母」の一人です。

     いまからできるのは、愚かな溺愛だけ。
     でも、そこから巣立って幸福になった子供だって数え切れないほどいます。

     僕もその一人です。

     僕は、いまは亡きおっかない母が大好きでしたよ。
     僕を溺愛してくれました。
     だからもう大丈夫です。
     手放してあげてください。

    以上、朝日新聞『悩みのるつぼ』よりお届けしました。


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