━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/09/16
───────────────────────────────────

おはよう! 岡田斗司夫です。
今日は週刊アスキー『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』の記事から、セレクトしてお届けします。

最初からの一気読みはこちらです→http://goo.gl/L10s6c

───────────────────────────────────


◆岡田斗司夫の最終ビジネス(7)
 

 目標は「赤字は出さないけど、予算は使い切る」だった。
 試算では10万円くらい黒字のはず。

 しかし大会当日が近づくにつれ、予想外の出費が増える。

 「会場では設備費以外に保険料もかかる」
 「ガムテや文具は倍近く用意しないと機能しない」
 「ゲスト呼び出しスタッフにインカム(携帯無線機)が必要」
 「スタッフ用弁当の数が予想より多い」
 などなど、キリがない。

 アニメにも予想外のお金がかかった。

 素人集団だから失敗も多い、つまり資材にムダが出る。
 撮影が失敗するとフィルム代や現像費も倍かかる。
 撮影用のライトもつけっぱなしで、家の電気代が一ヶ月20万を超えた時、さすがに両親に怒鳴られ弁償させられた。

 正直な話、赤字は覚悟していた。
 問題は、どれくらいの赤字か、だ。
 
 まず出費。
 予想より80万円も多い。

 しかし、これ以上に凄かったのが売り上げ不足だ。

 大会参加者千二百人のうち、なんと二百名近くが参加費を払っていなかった。
 ゲストの作家さんや出版関係者、その家族や友人・取り巻きみたいな人たちが、いわゆる顔パスで入場したのだ。

 参加費六千円×二百人で百二十万円。
 予想外の出費と売り上げ不足で赤字合計は二百万円となった。

 大会グッズは評判も良く売り切れになったので、利益が三十万ほど出た。
 それでも百七十万のマイナスだ。

 SFショーの時、たった80万円の赤字でも、あんなに大変な思いをしたのだ。
 百七十万円を学生たちがバイトで返すのは不可能だ。
 梅田の喫茶店で僕たちは頭を抱えた。

 アニメを売ろう。
 もうそれしか手はない。

 なにも一般売りするわけじゃない。
 SF専門誌に告知を出して「今年のSF大会は大赤字を出してしまいました。助けると思ってみなさん寄付をお願いします」と土下座すれば、カンパに応じてくれるんじゃないか?
 
 そう考えただけだった。

 深刻な会議の雰囲気は一変した。
 なんかいけそうな気がする。

 でも、たった五分のアニメをビデオにダビングして、はたしていくらで売ればいいんだ?
 千円?
 二千円?
 常識的な金額だ。

 たしかにそんな値段ならひんしゅくも買わないし、カンパと笑って許してもらえるだろう。
 でも、百七十万の赤字解決にはならない。
 僕は思いきった金額を提案した。

 一万二千円。

 全員、引きつった。
 たちまち、猛反対の嵐だ。
 
 しかし引き下がるわけにはいかない。
 喫茶店の紙ナプキンを裏返し、ボールペンで試算を殴り書きした。

 ●一本二千円で売った場合・・・テープ代千円、ダビング費無料だから利益は千円。
 赤字回収まで千七百本売ること。

 ●一本一万二千円で売った場合・・・利益は一万千円。
 赤字回収は百六十本程度で可能。

 「SF大会参加者は千二百人です。買ってくれるのは、あのアニメを見た人だけ。つまり売り上げは最大千二百本しかあり得ないのです」
 僕は数字を示しながら説明した。
 「映像特典をつけて、一万二千円で売りましょう」

 「でも」とSF研の先輩たちが反論した。
 「俺たちの評判は最悪になるぞ」
 「がめつい大阪人がエグい商売してる、と言われるぞ」

 もうたくさんだった。
 SFショーでも実際にバイトして金を返したのは、僕を含めて二人きりだったくせに。
 手を汚さずに口だけを出すな!

 「じゃあ他にどんな手があるんですか?ありませんよ!」


以上、『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』よりお届けしました。


───────────────────────────────────

いかがでしたか?

「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。

番組内で取り扱う質問はコチラまで!

よい質問は、よい回答にまさる、と言われます。
みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
だから僕は、質疑応答が大好きです。

みなさんからの様々な質問をお待ちしています
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
企画編集:のぞき見のミホコ(FREEex)
     起こしのヤスタカ(FREEex)
     筆耕のヒロキ(FREEex)
     横浜のヨシアキ(FREEex)
     遊牧のマサヒサ(FREEex)

───────────────────────────────────


岡田斗司夫
and
Special Thanks To読者のあなた
───────────────────────────────────
Copyright(C) OkadaToshio. All Rights Reserved.
───────────────────────────────────
■お問い合わせ
有料メルマガの購読、課金、メール未達に関するお問い合わせは、
『ニコニコヘルプ』のページよりお願いします>http://qa.nicovideo.jp/category/show/501