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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「僕たちが目指したのは『空前絶後のSF大会』」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「僕たちが目指したのは『空前絶後のSF大会』」

2016-10-07 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2016/10/07
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    おはよう! 岡田斗司夫です。
    今日は週刊アスキー『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』の記事から、セレクトしてお届けします。

    最初からの一気読みはこちらです→http://goo.gl/L10s6c

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    ◆岡田斗司夫の最終ビジネス(10)
      

     一九八二年八月一四日深夜、SF大会合宿場の一室で、次回SF大会の開催調整が関係者だけで行われた。
     部屋に入りきらない男たちと、もうもうと立ちこめるタバコの煙が廊下にまで溢れていた。

     「では来年の大会は大阪で。武田さん、岡田さん、おまかせします」拍手を受ける僕たちは、神妙な表情を作っていた。

     半年近く、あつかましいほど繰り広げた「八三年SF大会は大阪に」「八二年星雲賞はダイコン・オープニ ングアニメに」のキャンペーンは見事にあたった。

     翌日の舞台で僕たちはSF界最高賞の星雲賞を受賞し、来年度開催権を手に大阪に帰ることになる。
     誘致の宣伝に作った『愛国戦隊大日本』の上映も大成功だった。

     しかし、まだまだ予算は余っている。
     おまけに僕たちが目指したのは「空前絶後のSF大会」だ。

     四千名の参加者は全員合宿制、参加費も一万五千円。
     つまり大会総予算は六千万円となる。
     
     これだけの予算を、わずか二日のSF大会で使い切るには、いったいどんな企画が必要だろうか?

     まず思いついたのが、豪華客船を借り切った「海の上のSF大会」だ。
     船という完全に閉ざされた空間を借り切れば、中の演出が思いのままだ。

     DAICON 星系へ向かう宇宙船という設定にすれば、参加者は新惑星への入植者、スタッフは宇宙船乗組員。
     すごく面白いイベントになりそうだ!

     しかし参加者四千名が全員乗れる船を探すのに難航した。
     まだピースボートもない時代だ。
     チャーター船の情報を探すにも、電話帳で該当しそうな先に片っ端 から問い合るしかない。
     
     大阪に寄港する最大級フェリー『さんふらわあ』を有する関西汽船には僕が直談判した。
     しかし旅客人数は五百人程度。
     圧倒的に足りな い。

     「チャーターできませんか?車やトラックを入れる甲板に、畳と布団をずらっとひいて四千人、詰め込みます」

     担当者が鼻で笑った。
     「チャーター費、払ろてくれるんやったら考えまっせ。二日で48時間、まぁ二千万かな。学生さんやし取引実績はないんやから、前金になりまっせ」
     「二千万、来週に振り込めます」

     僕たちの即答に、さすがに相手も真顔になった。
     ところが、問題点がいくつも出てきた。
     
     まず先方は警備会社を入れてくれと言う。
     船舶クルーだけでは学生中心の行儀の悪そうな客が、一晩中酔って騒ぐのが不安だと言うのだ。

     内装を宇宙船っぽく、というのも問題だった。
     
     非常時の安全確保のため、通路には一切なにもできない。
     塗装もシール貼りもダメ。
     船室の飾り付けも、あらか じめ艤装パーツをこっちで作るにしても、船に換装するのに一日では不可能だ。

     けっきょく、四日間・96時間も借りることになる。

     参加者の食事は保健所の衛生検査を通すため、指定業者の仕出し弁当か、船内のスナック売店のみ。
     手間と費用がうなぎのぼりに増えていった。

     決定的だったのは、貸切しても港に二日間泊めっぱなしにはできない、という予想外の規制だ。客船は運輸省(当時)の管轄、ホテルではないから「泊めるだけ」はできない。
     大阪港を出発して湾を一周し、また港に戻るのでもかまわないが、どうしても航海しないとダメらしい。

     ところが船が動いてしまうと、遅れて 来た人が参加することができなくなる。
     
     特に多忙なSF作家などゲストは、仕事の都合で遅れてくることも多い。
     それでも参加してもらえるのはありがたいことなのだ。

     「夜9時以降は参加できません」などという対応ができるはずもない。
     
     チャーターしても客船は思い通りにならない。
     「世界初!豪華客船を借り切って海の上でSF大会」という企画を泣く泣くあきらめた。

     しかし、金の使い道はいくらでも思いつく。
     次に僕たちが燃えたのは「大阪フィルハーモニーを雇ってSF音楽を演奏させよう」という企画だった。


    以上、『岡田斗司夫の ま、金ならあるし』よりお届けしました。


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