岡田:
最近、アニメやマンガって海外で儲けているんですか?
高橋:
最近は意外とピンチでしたよ。
岡田:
過去形ですね。
高橋:
2007年まで日本のアニメ業界の売り上げは2000億を突破ました。
これはアニメスタジオとかアニメ関係者が受け取っている純利益ですね。
業界の中の人が貰った金額。
そこから商品化されて出て行ったときは、もっと大きい金額になるんですけどね。
とりあえず、アニメ業界がもらっている金額が2000億。
商品化権と、映画制作費。
岡田:
日本の豆腐産業の1/5ですね。
豆腐産業は1兆円と言われてますから。
高橋:
紅ショウガ産業よりは勝ってますよ(笑)。
岡田:
紅ショウガには勝ってるけど、豆腐には負けてる(笑)。
高橋:
それが2006年がピークで、そこから落ちていったんですよ。
2000億を割ってしまって、売り上げが下がったんですけど、この2年ぐらいで海外での配信料が入ってくるようになった。
パッケージがダメになって落ちた結果、代わりにネットフリックスなどの様々な配信料が入ってきて、スタジオが息をつき始めた。
これが結構 大きい。
岡田:
それが今年の動きですか。
配信だと具体的な作品で言うと、どこが大きいですか?
高橋:
いちばん大きいのは東映だと思いますね。
数字は調べてないですけど、来年も配信は大きくなると思います。
しかも今回の『君の名は。』で、来年は中国が大きくなると思うんですよ。
『君の名は。』は買い切りになので、100億の興行収入があろうが、日本には4億円ぐらいしか入らないですけどね。
岡田:
あれは 「平成の『およげ!たいやきくん』」って言われてますよね。
どんなに売れても子門真人には1円も入らない(笑)。
高橋:
でも実はポニーキャニオンは、後から子門真人さんに100万円払ったらしいですよ。
岡田:
さすが後に『うる星やつら』で、ひとやま当てた会社ですね。
ちょっと、いい事しましたね(笑)。
でも『君の名は。』は、どんなに中国で当たっても4億円で買い切りなんですね。
高橋:
興行に関しては、そうですね。
だけどネットの配信までは、いくら東宝でも売ってないと思うんです。
となると、ネット配信では人気も出るし、おそらく正規のDVDも売れるでしょう。
岡田:
逆に言えば、あの値段で日本のアニメを中国が買ってくれた事は奇跡だったわけですよね。
高橋:
中国の人はそう言ってますね。
岡田:
日本のアニメを字幕で中国で全国公開する事は、中国としてはハードルが高い。
なのに、それをやって日本のアニメが爆発的にヒットする土壌を作った。
だから、そこで納得するしかないんですね。
高橋:
今回は儲けそこなった気がしますけど、いい球を打ったかなと思いますね。