今回はスタジオ・ハードデラックス株式会社の高橋信之さんをお迎えして、オタクの“他人承認欲求”について語りました。
この記事は2016年12月18日のニコ生より抜粋しました。
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「自分を見て欲しいリア充、良い作品を勧めるオタク」
高橋:
私は『この世界の片隅に』という作品が非常に気に入ってるんです。
それで主人公の北条すずさんと、一年間一緒に暮らしたいなと思いまして、
岡田:
だからカレンダーを作ちゃったんですね(笑)。
高橋:
ちょっと手違いがあって、先にAmazonで売ってしまったんですけどね。
でも、劇場でも出るはずです。
岡田:
すずさんと十二ヶ月間、一緒のカレンダー。
高橋:
テーマは「一緒に暮らす」です。
岡田:
これの版元はどこですか?
高橋:
制作委員会と、それを仕切ってるジェンコさんです。
岡田:
ジェンコの真木太郎さんが先週うちに来て、死ぬほど酒を飲んで帰りましたよ。
吉祥寺の塚田農場でぐいぐい飲みながら、「岡田くん、なんであんなこと俺に言わせるの!」って、バンダイの渡辺さんと、まったく同じ飲み方してた。
二杯くらい同時に注文して、一杯空けては次のを飲むという。
「死ぬぞ、この人。」と(笑)。
高橋:
あの人は、日本では稀有なプロデューサーで、ヒットメーカーですから。
僕、「たんぽぽ革命」というのを思いついんたんですよ。
自分たちが、「良い!」と思った作品だからこそ、同人誌を作ったりしている。
『ガンダム』や『ヤマト』だって、自分たちがいいと思ったから、色々とやってた。
今、それが『この世界の片隅に』で起きてる。
黄色い“たんぽぽ”を摘まずに、どんどん増やしていく。
白い“たんぽぽ”の中で増えていく。
これを「たんぽぽ革命」と呼ぼうと。
岡田:
つまり、俺たちオタクの生き様は、人に「この作品、いいよ!」と勧めるだけの人になると。
高橋:
“自己承認欲求”ってあるじゃないですか。
それに対して、我々オタクって“他人承認欲求”なんですよ。
岡田:
そうか。
パリピの人とかリア充の人って、「俺を見て」「私を見て」ですね。
僕らは「これを見て」「あれを見て」の方が幸せ。
わかるわ、それ。
高橋:
人間は“自己承認欲求”もあるけど、対極に“他人承認欲求”もある。
「この人、素晴らしいよ!」
「この作品、気に入った!」
「この監督をリスペクトする!」
僕たちは、そんなリスペクターじゃないですか。
岡田:
間接的な自己承認欲求なんだけど、間接的な分、社会に貢献できるんですよね。
考えようによっては、ナチス党が党員を増やすのと変わらないかもわからないけど。
それは暗黒面ですね(笑)
高橋:
そこには落ちないでください!(笑)