今回は「オタクはオタクを貫き通さないといけない」という話をします。
今回の記事はニコ生ゼミ5/7(#177)より一部抜粋しました。
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「“オタク”より“商売人”の道を選んじゃったオタキング」
僕は昔、大阪で『ゼネラルプロダクツ』ってお店をやっていたんだ。
アメリカに行って、ディスカウントストアでおもちゃ買って、それを日本に持って帰ってきて売っていたんだ。
最初は500円で買ったものを800円で売ったら300円の利益が出ると思ってた。
でも、行き帰りの飛行機代とか負担しなきゃいけない。
なので500円で買ったものを、4倍の2000円くらいで売ればちょうどいいと気がついた。
そうしたら他の輸入雑貨は、だいたい向こうの価格の4倍くらいで売ってたんだよね。
自分が輸入雑貨をするまでは、「えげつないことをするな」とか「ひどいことをするな」と思ったんだけども、原価の4倍がリーズナブルという事がわかってきた。
その中で、“思い切って5倍で売るもの”と、「これはもう2倍くらいで売り抜けよう」という商品との差のつけ方も、だんだんわかってきたんだ。
それである日、ハリウッドの小さいオモチャ屋で『ブレードランナー』のアーテルのスピナーのセットを見つけた。
映画『ブレードランナー』って人気がある割に商品化が少ないんだよ。
Tシャツとか、アーテルのミニカーくらいで、その他に公式グッズが一切ないんだ。
当時からそういう事情を知ってたから、「こんな公式のグッズがあったんだ!」とビックリして、その場にあった4つを買い占めたんだよ。
1箱5ドルだったんだよね。
「絶対に1個は自分のものにしよう!」と思って買って、日本に持って帰った。
日本に持って帰ってスタッフに見せても、スタッフのみんなが「うわーっ!」って言うわけだよ。
当時、1ドルは250円くらいだったんだよ。
だから1250円位。
ということは、通常の4倍で売ったら5000円位。
それで5000円で売るのかっていうと「いや違うだろう。これすごいイケるぞ!」と思って、思わず10倍くらいの値段をつけたんだよね。
1万5千円くらいつけたと思う。
それが一瞬でなくなったんだよ。
ホントに、店に置いた瞬間になくなっちゃった。
そこでね、心の中の悪魔が囁いた。
「どうぜ再来年またハリウッドに行くよ」と。
また行くから、自分の分も売っちゃったんだよ。
20倍で売ってしまった。
その時にね、やっぱりね、自分の中で引っかかる部分が2つあったんだ。
1つは「やっぱり、いくら商品の値段に凸凹をつけるといっても、20倍で売っていいの?」
そういうビジネスマン的な葛藤。
もう1つ大きい“引っかかり”は、「自分で欲しくて買ったものを、人に売っちゃったら、もうお前は最後だよ」というオタクとしての葛藤ね。
「自分用のヤツは最後まで売っちゃダメなんじゃないの?」
「それを売っちゃったら、俺はいいオタクじゃなくて、いい商売人になっちゃう!」と思ったんだ。
でもね、“いい商売人”の方をとっちゃったんだよね。
だってボーナスも出したいじゃん(笑)
ということで売っちゃった。
それをやったのがもう35年くらい前だよな。
それからずーっと引っかかってたんだよ。
ずーっと引っかかってて、今回、このスピナーを見つけて、「うぉー!」ってなった。
やっぱりオタクやるんだったら、オタクを貫き通さなければな、という話でした。
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