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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/06/02
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おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は「オタクはオタクを貫き通さないといけない」という話をします。


今回の記事はニコ生ゼミ5/7(#177)より一部抜粋しました。

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「“オタク”より“商売人”の道を選んじゃったオタキング」


 僕は昔、大阪で『ゼネラルプロダクツ』ってお店をやっていたんだ。
 
 アメリカに行って、ディスカウントストアでおもちゃ買って、それを日本に持って帰ってきて売っていたんだ。

 最初は500円で買ったものを800円で売ったら300円の利益が出ると思ってた。
 でも、行き帰りの飛行機代とか負担しなきゃいけない。

 なので500円で買ったものを、4倍の2000円くらいで売ればちょうどいいと気がついた。

 そうしたら他の輸入雑貨は、だいたい向こうの価格の4倍くらいで売ってたんだよね。

 自分が輸入雑貨をするまでは、「えげつないことをするな」とか「ひどいことをするな」と思ったんだけども、原価の4倍がリーズナブルという事がわかってきた。

 その中で、“思い切って5倍で売るもの”と、「これはもう2倍くらいで売り抜けよう」という商品との差のつけ方も、だんだんわかってきたんだ。


 それである日、ハリウッドの小さいオモチャ屋で『ブレードランナー』のアーテルのスピナーのセットを見つけた。

 映画『ブレードランナー』って人気がある割に商品化が少ないんだよ。
 Tシャツとか、アーテルのミニカーくらいで、その他に公式グッズが一切ないんだ。

 当時からそういう事情を知ってたから、「こんな公式のグッズがあったんだ!」とビックリして、その場にあった4つを買い占めたんだよ。

 1箱5ドルだったんだよね。
 「絶対に1個は自分のものにしよう!」と思って買って、日本に持って帰った。

 日本に持って帰ってスタッフに見せても、スタッフのみんなが「うわーっ!」って言うわけだよ。
 

 当時、1ドルは250円くらいだったんだよ。
 だから1250円位。

 ということは、通常の4倍で売ったら5000円位。

 それで5000円で売るのかっていうと「いや違うだろう。これすごいイケるぞ!」と思って、思わず10倍くらいの値段をつけたんだよね。

 1万5千円くらいつけたと思う。
 それが一瞬でなくなったんだよ。

 ホントに、店に置いた瞬間になくなっちゃった。

 そこでね、心の中の悪魔が囁いた。

 「どうぜ再来年またハリウッドに行くよ」と。

 また行くから、自分の分も売っちゃったんだよ。
 20倍で売ってしまった。

 その時にね、やっぱりね、自分の中で引っかかる部分が2つあったんだ。

 1つは「やっぱり、いくら商品の値段に凸凹をつけるといっても、20倍で売っていいの?」
 そういうビジネスマン的な葛藤。

 もう1つ大きい“引っかかり”は、「自分で欲しくて買ったものを、人に売っちゃったら、もうお前は最後だよ」というオタクとしての葛藤ね。

 「自分用のヤツは最後まで売っちゃダメなんじゃないの?」
 「それを売っちゃったら、俺はいいオタクじゃなくて、いい商売人になっちゃう!」と思ったんだ。

 でもね、“いい商売人”の方をとっちゃったんだよね。
 
 だってボーナスも出したいじゃん(笑)

 ということで売っちゃった。
 それをやったのがもう35年くらい前だよな。
 
 それからずーっと引っかかってたんだよ。
 ずーっと引っかかってて、今回、このスピナーを見つけて、「うぉー!」ってなった。

 やっぱりオタクやるんだったら、オタクを貫き通さなければな、という話でした。


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