アメリカ人が『アル・カポネ』を初めて意識したのは1920年代。
それはアメリカから西部という時代と田舎がなくなって、どんどん都会になっていったという前提があるんだ。
1931年にハワード・ホークスが作った『暗黒街の顔役』という映画があるんだ。
プロデューサーはハワード・ヒューズ。
実業家であり発明家であって、地球上の富の半分を持つ男というのがあだ名。
その2人が組んで作ったのが、『暗黒街の顔役』。
映画が作られたのは1931年、でも映画が公開されたのは32年。
1年間お蔵入りだったんだ。
あまりにも残酷な描写とか、怪奇な表現とか、ギャングを美化しているとか、いろんな問題があって、アメリカで公開されなかったんだよね。
で、丸1年間お蔵入りしている間に、世間は変わってしまった。
アル・カポネが逮捕されたんだ。
映画を企画している時は、アル・カポネはアメリカの英雄の1人だった。
間違いなくセレブの1人であったし、大統領になる前のドナルド・トランプみたいなポジションだったんだよね。
32年に逮捕されたんだけども、裁判の判決が出るのはもうちょっと後。
なので『暗黒街の顔役』が撮られて、映画が公開された時には、アル・カポネ帝国に陰りがみえてきた時代でありました。
そんなアル・カポネが作ったのが、ギャングの定番みたいなボルサリーノ帽という帽子を被り、葉巻をくわえている姿なんだ。
『アンタッチャブル』のロバート・デ・ニーロがやったアル・カポネもそうだけど、やっぱり昔のギャングって、そんなイメージがあるよね。
『HUNTER×HUNTER』の「ヨークシン編」でもそうだけど、マフィアが出てくる漫画って、いまだにそうじゃない?
なんとなくスーツ着て、帽子かぶせて、手に葉巻を持たせてしまう。
これって昔からそうだったんじゃなくて、アル・カポネがたった1人で初めたムーブメントなんだ。
アル・カポネが人前に出る時に、「俺たちはスターなんだ。セレブなんだ。だからみすぼらしい格好をやってちゃいけない!」と帽子を被って葉巻を持って、それをシンボルマークにしたんだよね。
アル・カポネをどう紹介しようかと思ったんだけども、『犯罪界のシャア少佐』と言おうと思うよ(笑)。
彼は案外若い。
まだ18歳とか19歳くらいでデビューして大活躍しているんだけども、若いのにすごかったんだよね。
ジョージ・ルーカスも若い頃はスタッフが言うことを聞いてくれなかった。
髭がなくて貫禄がなかったから。
なので無理して髭を生やして、とにかく老けた顔を作って、それでスタッフの人望を集めた。
同じようにエブラハム・リンカーンも髭生やしたら、みんな演説を聞いてくれるようになったという話がある。
基本的にやっぱり若すぎると、舐められてる時代なんだ。
なのでアル・カポネも老け顔にしてた。
もう20歳くらいから老けてるんだよね(笑)。