岡田:
まず、“ゲームブック”っていうのは、どういうものなんですか?
高橋:
ページの中に選択肢がついていて、選択肢の番号を選んで先に進むというゲームですね。
たとえば「ルパン三世はそこでワルサーP31を撃つか、撃たないか」の判断で、「撃つ人は121番へ、撃たない人は24番へ」と。
岡田:
じゃあ、その24番のページを探して行かなきゃいけないと。
高橋:
これは元々はTRPG(テーブルトークRPG)のゲームマスターが読んでいるマスターブックなんですね。
そのストーリーを本にしたもの。
これがアメリカで当たったので、日本で作ったんです。
岡田:
これが後のアドベンチャーゲームになるわけですね。
高橋:
そうですね、テキスト型アドベンチャーゲーム。
『南青山アドベンチャー』とか『ポートピア連続殺人事件』とかの流れ。
岡田:
『ひぐらしの鳴く頃に』の原型ですよね。
高橋:
僕の恩人に橘川 幸夫(きつかわ ゆきお)さんという人がいて、その人の勉強会で「アメリカでゲームブックが当たっている」と聞いたんです。
それで勉強会で英語のチャートを読んでみたら、400項目ぐらいでチャートになっていた。
それで設計図が出来た。
それで「これなら俺でも作れるな」と思って、出版社に持ち込んだ。
ところが誰もピンと来なかったみたいで、「どうやって校閲するんですか?」と聞かれて、「全部、順番にたどってください」と面倒なことを頼んだりしました(笑)。
岡田:
最終的に、エンディングは、いくつぐらいあったんですか?
高橋:
一番多い作品は、10コぐらい作りましたね。
だいたいハッピーエンドが3つに、バッドエンドが3つぐらいなんだけど、ためしに10コぐらいのを作ったんですよ。
そのうち勉強会も解散してしまった。
いろんな出版社に売り込んだけど、どこも乗ってこない。
それで「駄目かな?」と思ってたところに、『火吹山の魔法使い』が社会思想社の現代教養文庫から翻訳が出てバカ当たり。
20万部ぐらい売れたそうなんですね。
岡田:
昔のファンタジーファンは全員お世話になった社会思想社の、最大のヒットですね(笑)。
高橋:
それを見て双葉社の営業の人が「これか!」と気づいて、「早速、作れ!」ってなったんですね。
岡田:
もう準備は出来ているんだから、完成は早かったでしょうね(笑)。