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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/08/26
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今回の記事はニコ生ゼミ8/13(#191)よりハイライトでお送りします。


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「【捨てられないTシャツ・シリーズ】 『ジョーズ』の怖さの本質はスピルバーグ監督の悪意にある」

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 (前回からの続きです。)


 『ジョーズ』がなぜそんなに怖かったのか。


 『ジョーズ』で、サメに襲われる一人目は女子大生っぽい女の子。

 一人で夜の海を泳いでいたら、下からサメが襲って来ていきなり下に引っ張られ、まず脚を食いちぎられる。

 このサメに襲われるファーストシーンは、かなりショッキングに描かれている。


 二人目は、海岸で遊んでいる男の子。

 このシーンでも、脚が強調される。

 ビーチボートから出てパシャパシャしている男の子の脚が、水中でゆっくりアップになっていく。
 次の瞬間、カメラが引くと、水面にガーッと赤い血が噴き出し、男の子が襲われたことが観客にわかる。


 三人目は漁師。

 船着き場で漁師が肉の塊に、すっごいでっかい釣り針みたいなものに刺して、海の中にどーんと投げ入れる。

 見つめていると、その肉塊が食われたらしく、ザーッと浮き代わりにしているゴムタイヤが海面を動く。

 漁師二人が「やった!」「やった!」と釣り上げようとしてるんだけど、すごい力で引っ張られて、船着き場が壊れだす。

 慌てて2人が逃げるんだけど、焦った一人が海に落ちちゃう。

 そうすると、向こうの方に持って行かれていたタイヤがダーッと手前に戻って来るのが見えるんだ。
 そのタイヤが、ドンドンこちらに近づいて来る。

 船着き場に残っている1人が助けようとするんだけど、海に落ちている方が焦って、壊れた船着き場に上がれない。

 上がろう、上がろうとしてもがいて、もう一人が必死で引っ張って、間に合うか間に合うかというところで、タイヤがもうここまで来ててさぁ。

 最後に、ようやっとガーッとひっぱり上げられる。
 そのとき水面から足先が見えた時にさぁ、すっごく安心するんだよね。


 次に映画の真ん中あたりで襲われるのが、ブロディ署長という主人公の次男。
 4歳か5歳くらいの、まだちっちゃい子供なんだよ。

 その子供が、安全なところでオモチャみたいなボートに乗ってるんだよ。

 でも、安全と思われている場所までジョーズは来ていて、近くにいた監視員が食べられてしまって、海が本当にもう血まみれで大惨事になっている。

 気付いた署長が、「うわーっ、俺の息子は無事か!?無事か!?」って焦りながら、向こうから砂浜までダーッと走って来るんだけど、人がいっぱいいて見通せなくてよくわからない。

 やっと助けられている自分の息子を見つけるんだけど、グターッと倒れたまま水面の上をずーっと引きずられてるんだよ。

 小さい子供が引きずられているのをカメラが頭からゆっくり舐めるように撮っていく。
 胸、腰と撮って、脚から足先まで映って、ようやく無事なのがわかる。

 それまでが、すっごく怖い。


 やっぱり、冒頭に2つ、2人続けて脚を食われるというシーンを出した後に、脚をゆっくり映して見せるっていうのは、見ているこちら側をドキドキさせるうまい演出法だと思う。

 でもスピルバーグのこの演出は悪意があるよね。


 なぜこのシーンが怖いのか。
 「脚が食われてるかも」って思うから怖いんだよね。

 それって、「脚が食われているんじゃないか」と、心のどっかで期待もしてるからこそ感じる恐怖なんだよ。

 脚が食われていることを「期待してるけど、同時に恐れている」。

 その両方の感情があるからこそ、このシーンが怖く見える。
 どっちが欠けても怖くないんだよ。


 映画ってこんなこと出来るんだって驚いた。

 主人公が焦ってる顔。
 次に青白い子供の顔。
 ゆっくり引きづらていく子供。

 その子供を頭から足元までカメラが舐めて行く。
 そして、ちゃんと足先まで映ることで、監督の意図がわかる。
 その時点で観客は、安心すると同時にがっかりする。

 そうやって、自分の中の残虐性とか、それに対して期待している己というのを思い知らされて、ぞっとする。


 うわーっ、これってすごいなあー!と思った。

 それから『ジョーズ』はマイフェイバリット映画№1になってね。必要もないのに『ジョーズ4』まで見てしまったよ。


 『ジョーズ4』くだらないよ!
 本当に。

 2、3と回を追うごとにくだらなくなっていくんだよ。


 このTシャツ https://goo.gl/a4R3db を買ったのは10年位前、通販で見つけたんだよ。

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 アミティーアイランドで一番 有名なビジュアルは、砂浜を女の子が寝そべっていて、向こうにサメのヒレだけ見えていてというやつね。

 この寝そべっている女の子っていうのがポイントなんだよね。

 ユニバーサルスタジオジャパンのアミティーアイランドの看板も、やっぱり寝そべっている女の子がそのまま描いてある。

 これは、アミティーアイランドのTシャツでありながら、その一番 有名な構図を使っていない。


 太陽が沈みつつある。

 太陽にかかっている雲を横線で表現するという、いわゆる70年代のサーフカルチャーっていうのかな、サーフィン文化というのを前提としたデザインで、アミティーアイランドって入れてるだけ。

 まったく『ジョーズ』人気にあやかろうという気がない。

 そういうデザインの潔さに惚れて買ってしまいました。

 その当時、僕は着れましたが、もう着れませんので、僕の捨てれないTシャツとなっております。

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