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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2017/10/02
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今回の記事はニコ生ゼミ9/24(#197)よりハイライトでお送りします。


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「ロケットに宇宙飛行士って必要かな? って思ってました」


 この人は去年も紹介しましたから、みなさん、覚えてるでしょうか?

 マーガレット・ハミルトンです。

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 マーガレット・ハミルトンは、マサチューセッツ工科大学で、人類初のプログラマーをやっていたんですけども。

 優秀なお姉さんですね。

 NASAにいたときは32歳の女の人です。
 彼女が自動操縦プログラムを書いてたんですね。

 宇宙飛行士たちに嫌われた自動操縦プログラムを書いたのが、マーガレット・ハミルトンだったんですけども。

 もうとにかく、嫌われる嫌われる。


 たとえば宇宙飛行士が宇宙船を操作するときに、間違えてボタンを押したときに、それを回避するプログラムとか。

 間違えてボタンを押したときに「それは間違いだよ」と教えるというプログラムを書いたんですよ。

 そしたら、それをNASAは採用を拒否するんですね。


 で、理由は何かっていうと、「宇宙飛行士は完璧に訓練されているから、間違いを犯さない」っていうのが理由でですね、反対されたと。


 それで宇宙飛行士も、激しく そのプログラムの搭載に反対したと。
 「俺たちが間違えたときに教えるプログラムなんか、必要ない!」って言い張ったんですね。

 で、一番 言い張ってたのが、アラン・シェパードってアメリカで一番 最初に宇宙飛行をしたオッサンですね。

 コイツが「とりあえず、ソレを全部 消せ!」と。

 「俺が自殺したくなったら、そのプログラムを走らせるから。それまで消せ!」と命令していたんですけども。


 まぁ、さんざん拒否した。

 で、しょうがないから、マーガレットは「そこまで反対されるんだったら。でも、絶対にコレは要るよ!」と思って、こっそり入れたんですよ。

 で、こっそり入れて、ずーっとバレなかったんです。

 
 ずーっとバレなかったんですけども、バレる日がやって来た。

 バレる日が何で来たかというと、宇宙飛行士が操作ミスをした時なんですけども(笑)。 


 後にアポロ13号で月に行く事になるジム・ラヴェル船長が乗ったアポロ8号が、1968年に人類が初めて月に飛んで、月の周回軌道を回った時に、間違えたスイッチをプッて押した瞬間に、マーガレットのプログラムがピーッと走って「それは間違いです」って言ってですね(笑)。


 マーガレットは別に怒られなかったそうですけども、「ほら、このプログラム、役に立つじゃん」って話になったんですね。 

 まぁ、何か、そんな人です。


 こういうふうに僕は昔から、こういう話が好きで、いろいろ調べていると、「結局、宇宙飛行士って、実はいらないんじゃないのかな?」って考えることが、凄く多かったんですよね。


 たとえばフォン・ブラウンってドイツから来たロケットの博士っていうのは、もちろん偉大な技術者であると同時に、わりと政治家でもあるんですね。

 だから、いろんな所からお金を引っ張ってくるのも得意だし、あとはウォルト・ディズニーと仲良くなって、ウォルト・ディズニーの番組に毎週テレビ出演して、宇宙飛行の重要性を説いたおかげで、アメリカでは大人気になったようなオッサンなんですけども。

 まぁ、そういう政治も出来る人ですし。


 1965年の、ジョンソン大統領の “予算 無制限 OK” というのも、やっぱりそのジョン・グレン達、飛行士たちのおかげでもあるんですけども、フォン・ブラウンの政治力もあったと。

 この人は、宇宙飛行士の悪口は絶対に言わないんですよ。


 おまけに宇宙飛行士たちっていうのは、当時のアメリカでは本当にヒーローだったんで。

 そのヒーローのおかげで予算が出るっていうのもあったんですね。


 実はアポロ計画やマーキュリー計画の前から、月探査とか火星探査って計画はあった。

 無人ロケットを打ち上げて、無人ロボット衛星で探査しようという計画はあったんですけども、いっさい予算が下りなかったんですね。

 やっぱり議会は、そういうヒロイズムの無い、ハッタリの効いてない、派手でない、人の心が動かない事に関して、お金を出してくれないんですよね。


 何でしょうね。

 普通の中学校とか高校でも、サッカー部とか野球部にばっかり予算が行って、他の文化部は年間10万か20万の予算も無いのと同じようなもんだと思うんですけども。


 “ヒーロー”があるところには金が出て、ヒーローが生まれにくい所にはお金が出ないという。

 この不公平っていうのは、もうどうしようもないと。


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