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「カリオストロ公国の秘密【2】“ご先祖様の秘宝はローマ遺跡などではなかった!”」
その最もわかりやすい説明としては「ご先祖さまが残したという秘められた財宝を手に入れるため」でしょう。
その財宝の正体が何だったかは、伯爵自身にも最期まで分からなかったんだけど、とりあえず「すごい お宝だ」ということだけは聞いていた。
そして、そのお宝をゲットするには両家を統一しなければいけないから、伯爵はクラリスとの結婚を望んでいる、というわけですね。
映画のラストを見たらおわかりの通り、カリオストロ伯爵すらも最後まで知らなかった宝の正体とは “ローマ遺跡” だったということになっています。
ちょっと横長の絵になっちゃうんですけども、これが映画の最後、上カリオストロである大公家の前の湖から出てきたローマ遺跡というシーンなんですけど。
実は、ここで描かれたローマ遺跡には、ある秘密が隠されているんです。
たぶん、この話を聞いて以降は、みなさんも『カリオストロの城』でこのシーンを見る度に「なるほど!」と思うことになりますよ。
何が違うかというと、柱のてっぺんとか建物の屋根などが金色なんです。
このシーンは、実在するローマ遺跡とは明らかに違うものとして描いてあるんです。
さっきのルパンの説明に照らし合せると、「クラリスのご先祖様は、ローマ人が去っていった後の都市をよそ者の手から護るために1517年に湖に隠した」ということになるんですけど、それだと変なんですよ。
その50年後だったら、スペイン王のカール5世というヤツが “ローマ劫略(ごうりゃく)” という宗教戦争を起こして、ローマの遺跡を壊しまくるというエゲツないことをやっていたので、隠さなければならないのもわかる。
そんな時期に、クラリスのご先祖様がローマ遺跡を隠す理由は全くないんです。
ここに描かれている建物は、屋根の上や柱の所々が金色に輝いています。
なぜかというと、大理石の上に黄金を貼っているからですね。
これとよく似た光景が『天空の城ラピュタ』でも描かれています。
ラピュタの中に兵隊がワーッと入って行く時に、興奮した兵隊たちが壁とか柱から金を剥がしていたシーンって覚えていますか?
あれは、金を剥がしてたんですよ。
昔の神殿建築の金色の部分というのは、金色の塗料を塗っているのではなく、薄い金を貼っていたんです。
だから、彼らは、ラピュタの壁面に貼り付けてあった金をバリバリ剥がして持ち去ろうとしたんです。
あれは、石の上に純金が貼り付けてあったからこそのシーンなんですね。
このローマ遺跡も、それと同じように描いてあります。
つまり、この金色の部分というのは、実際に本物の金が貼ってある状態なんです。
これが、かつてカリオストロ家が繁栄した理由です。
しかし、1517年頃に、この黄金都市の金が枯渇してしまった。
というのも、映画の最後、ルパンとクラリスが手を繋いで歩いていた場所では大理石が剥き出しになっているんですよ。
ローマの遺跡が現れた時の絵では、建物の上の方は金色に塗られていたのに、ルパンとクラリスが歩いた場所は、白い普通の大理石。
つまり、もう金が剥がされた後なんです。
そこで、クラリスのご先祖様は、この遺跡を湖に沈めることにしたんです。
なぜかというと、「既にカリオストロの黄金はなくなっている」ということを隠すためですね。
そして、「カリオストロ家には無制限の黄金がある」とか、あるいは「無制限に黄金を作れるような錬金術がある」という噂が生まれていた。
黄金都市の金がなくなった後のカリオストロは、こういった噂を根拠にして偽金貨の製造を始めたんです。
でも、それ以降は、金が枯渇してしまったので、偽金を作るようになっちゃった。
これが、カリオストロ家が2つに分かれた理由であって、この年号の秘密だったんですね。
「この都市を見られてしまったら、黄金が枯渇してしまったことがバレてしまう」ということこそが、カリオストロ家が最も隠したかった最大の秘密なんです。
はい、これが “岡田斗司夫史観” によるカリオストロ家の歴史です。
こういうのが、このアニメのすごい皮肉なところなんですよね。
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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