実はエヴァは機動戦士ガンダムにも すごくオマージュを奉げていてですね。
これは、この後のシーンで碇シンジ君が ここに小さくいます。
碇シンジ君は ここに小さくいるんですけども、この頭上をミサイルがギューンと旋回して、ですね。
そのまま このミサイルが右側にビューッと飛んでいきます。
碇シンジ君の頭の上でミサイルがギューンと旋回して飛んでいくその先に、ミサイルがホップして上がっていくと使徒がいて、使徒にドンドンドンドンドンとミサイルが当たると。
つまり、頭の上で誘導ミサイルが旋回して、ビルの間をかいくぐって、使徒に当たるところまでをワンカットで見せてるんですね。
これはもちろん、機動戦士ガンダムの第一話ですね。
「危ないから、やめなさい!」と言われたシェルターから出たアムロ・レイがですね、見上げると、真上にザクがいて。
そこに誘導ミサイルが、誘導ワイヤーを引っ張りながらビューッて飛んで来るシーンですね。
このシーンを、もっとカッコよく撮ったものなんですよ。
本当に、古今東西のアニメのカッコいいシーンというのを、エヴァの第一話というのは集めまくってるんですよね(笑)。
たとえばエヴァンゲリオンのオープニングというもの自体が、マジンガーZをすごい参考にしてるんですね。
これは、全然 違うように見えるんですけども。
たとえばマジンガーZのオープニングというものは、ホバーパイルダーが飛んできて、マジンガーZの頭のドッキングしてから、敵のロボットたちを薙ぎ払って。
最後は、ホバーパイルダーから降りた兜甲児くんの笑顔で終わるというものなんですけども。
実はエヴァンゲリオンのオープニングも、首の後ろにドッキングしているプラグを写して、使徒と戦って、最後はシンジ君の切ないような笑顔みたいなので終わるというですね(笑)。
ちゃんとマジンガーZの文法を踏まえてるんですよ。
で、それは何でかっていうと、やっぱりロボットアニメのオープニングっていうのは、マジンガーZで ある種 極められた所があるので。
それを崩さないような “自分アレンジ” が、ちゃんと効いてるんですね。
で、こういうのを見つけるのもエヴァの楽しみの一つなんです。
…
その他にも映像だけではなくて僕が「あぁ、これは凄いな」と思ったのが、エヴァの第二話です。
エヴァの目が、使徒によって頭の後ろまでゴーンと貫き通されたので、血をバーッと吹くシーンがあるんですね。
この大量出血。
これが何かというと、これもちゃんと原典があって、実はコレは漫画版のデビルマンなんです。
シレーヌと戦うときに、シレーヌが口からドポッと血を吐くシーンなんですね。
なんでこのシーンがそうだと言えるのかというと、実は横アングルで血を吐くシーンなんて珍しいんですよね。
右側のコマは主観的な描写。
デビルマンの見た目線なんですね。
「やったなデビルマン!」と言ってるんですけども。
この「やったなデビルマン!」の後は、普通は正面から血を吐くんです。
でも永井豪の この時の神がかった漫画技術ですね。
いきなりシレーヌを横向かせて、血をボコッと吹かせる事によって、主観的じゃない、客観的な血の量というのを見せていると。
ここら辺も、何から影響を受けて、それを一番 凄いと思ってるのか。
たぶんエヴァの目が貫かれているときの演出家の考え方としては、「エヴァがやられた。 それで血をものすごく出す。 俺が知っている血を出すシーンで、一番ショッキングなものは何だろう?」と。
「それはやっぱり小学校のときに読んだデビルマンの、妖鳥シレーヌの血を吐くシーンだ!」と思ったら、これを真横からのアングルにしちゃうわけですね。
そうすると、この真横からでシルエットっぽく見せるという。
妖鳥シレーヌをパクるんじゃないんですよ。
もっとカッコよくして見せるという方法で、積み上げていくわけなんですよね。