前方後方墳さん のコメント
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/10/05 ───────────────────────────────────
今回は、ニコ生ゼミ9月23日(#249)から、ハイライトをお届けいたします。
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───────────────────────────── 「 【“錯覚”の話】 書き手のIQが高過ぎて誤解される文章 」
ネットのニュースや記事をよく読んでいないのに、読んだ気になってしまう。
よくありますよね?
タイトルを見ただけとか、何行か読んだだけで、何か全部 読んだ気がしたうえで間違った結論に飛びついてしまうと。
そういう “錯覚” の話をしようと思います。
また、そういう錯覚を狙って作られたりする広告の記事とかもあるんですね。
そういう話もしようと思います。
・・・
「黒人は人種的に頭が悪い」という記事ですね。
これもまぁ、エゲつない話なんですけどね(笑)。
これは元々、橘玲さんが『橘玲の日々刻々』というタイトルのブログで、凄い細かい字なんですけども、すっごい分量を書いてるんですよ。
まぁ、こういう記事を見たときの反応です。
一番上のタイトルの所に、「知能や気質は、人種ごとに遺伝的な差異がある」というヤツです。
アメリカでIQ試験をすると、ヨーロッパ人種は100点を取る。
これを平均とすると、アジア系の人がIQ試験をすると105点。
それに対して黒人の人たちは、だいたい85点から、良くても90点ぐらいになるそうです。
これを、どう読むのか。
こういうのを読むと、だいた反射的に人間って言うのはパターン1です。
パターン1・やっぱりアジア人は優秀やで! 黒人は野蛮や!
こういうふうに考える人ですね。
います(笑)。
こういうふうに反射的に考える人と、逆に、逆の判断をしちゃう人もいます。
パターン2です。
パターン2・奴隷制の歴史や差別があるからや! こんなん、クソ調査や!
そう言ってしまう人ですね。
だいたい、この2パターンに別れるんですよね。
・・・
こういうふうに「人種ごとに遺伝的な差異がある」という記事を読むと、このタイトルを読むだけで、この予断を持って読み始めるとかですね。
もしくはその予断の所で、もう不快だから先を読まないと。
もしくは自分が飛びついた結論を確かめるために読んでしまうと。
こういうパターンがよくあるんですね。
それで、「ネットで記事を読む人のほとんどは」って言ったら失礼なんですけども。
マジメな話、ネットで記事を読む人のほどんどは、このようにタイトルだけで決め付ける特徴があります。
だから吊り広告とか、釣り記事っていうのは成立するわけですね。
それで読んでもいないので、こういうのは誤解じゃないですね。
錯覚です。
そういう記事を読んだ気がして、その結論を得た気がすると。
さっきも言ったように、あらかじめ予断を持って、そういう部分だけを探して読んじゃうから、その結論を得た気がする。
または、もうこんな記事はイヤだから、それで「こんな記事があったんだ、許せないな」というふうに読んだ気がしちゃうんですね。
そういう厄介な錯覚があります。
・・・
それで、この「知能や気質は、人種ごとに遺伝的な差異がある」ですね。
これは実は、別々に育てられた一卵性双生児の差を、それぞれ観察する比較研究が、アメリカでは大分昔からやられていてですね。
“行動遺伝学”的って言うんですけども、それには結論が出ています。
ちょっと面倒くさい言葉になるんですけども、DRD4(ドーパミン受容体D4)遺伝子の、その中の7R(7リピート)対立遺伝子。
これで説明が付いてしまう。
どういう事かっていうと、注意欠陥障害(ADHD)に関係し落ち着きのない衝動的な振る舞いや、注意散漫などを引き起こす。
それが、この対立遺伝子ですね。
欧米をはじめ世界各地で、この遺伝子の遺伝的多型がかなりの頻度で見られるが、実は東アジアではまったくといっていいほど存在していない。
そういうふうに、研究発表が出ています。
つまり、このIQテストの結果と言うのは、実はある程度の遺伝、人種によって決まっているというですね。
そういう研究結果が出てしまっていると。
で、そういう遺伝による差を生んだ原因。
遺伝って、最初から決まっているんではなくて、何千年・何万年かかけて獲得された形質というのもあるわけですね。
じゃあ、なんでそんな差が生まれたのか? っていうと、それは農業社会を経験しているかどうか。
今、ここで話に出てきた三つの人種ですね。
アジア人、白人、あと黒人は、その農業社会化率っていうんですかね。
実は、いつぐらいに農業社会に突入したのかによって、IQ試験の差が出てしまうわけですね。
ニコラス・ウェイドという人が、『人類のやっかいな遺産』という本で書いているんですけども。
狩猟・採取生活では、獲得した獲物はその場で食べる。
または仲間と平等に食べる。
なので、それに対して貯蔵できる穀物・農業社会は “所有” の概念を生み出し、自分の財産を管理するための数学的能力や、紛争を解決するための言語能力が重視されるようになった。
これはつまり、農業社会の特徴なんですね。
対して、狩猟・採取社会では、どちらかというと、やっぱり勇敢さや獰猛さといった気質が役にたった。
ところが、この勇敢さや獰猛さっていうのは、いざ農業を始めちゃうと、人口過密な村社会では嫌われると。
たとえば牛の中でも、気性が荒くて男(オス)らしい牛っていうのは、実は仲間内でも真っ先に殺されるそうなんですね。
牛同士の争いで。
同様に、農耕によって、農業によって、始めて登場した共同体の支配者・権力者は、自分に歯向かう攻撃的な人間を容赦なく処分したと。
攻撃的な個人は、村の平和を乱す迷惑者として村八分にされたり、村から追い出された。
つまり農耕社会では、温厚な性格、周りに合わせられる性格。
周りが何か言ったときに、まず言葉で反論したり、言葉で対話して、中間点を見つけようとする人たちが、選択的に生き残るようになった。
これが遺伝ってヤツですね。
で、工業社会や知識社会では、農業を経験した人種と。
つまり、白人とかアジア人はこれだと言ってるんですね。
白人とかアジア人が農業に目覚め始めたのって、だいたい10万年ぐらい昔なのでですね。
それをやっていた人間と、アフリカのように狩猟社会っていうのが凄く長かった人種の間には、適応度に違いがあるんですね。
北アフリカのようにちょっと農業をやっていた所もあるんですけども、ほとんどの所は、そんな事をしなくても済んだんですね。
あまりにも土地が豊かだったから。
アフリカでも農業が行われていたが、規模が小さく歴史も短いために、充分に対応する事が出来なかった。
それに対して、ユーラシア大陸で一万年にわたって農業を行ってきた白人やアジア人は、村社会の習慣を、そのまま学校や軍隊や工場などへ持ち込むことが出来たと。
これが単なる文化の違いだったら、アフリカ人やオーストラリアのアボリジニもすぐに真似できるはずだと。
なぜ、彼らが上手くいかなかったのかというと、文化や習慣の背後に遺伝的・進化論的な基礎があるからだ。
そんなふうにニコラス・ウェイドは『人類のやっかいな遺産』の中で書いています。
・・・
それで、今の話は何かっていったらですね。
ここまでで、今 言った所までが、橘玲さんのもの凄く長くて、全部で3ページあるブログの記事の、ほぼラストのところなんですよ。
だから、そこまで読んだ人は「あぁなるほど、やっぱりな。 そんな理由でアジア人は農業をやっていて、穏やかになって協調性があってテストの点数も良くて。 それに対して黒人は狩猟社会だったから、いわゆる野蛮で文明化されていない分、工業社会に対応できないんだ」というふうに思っちゃうじゃないですか。
ところが橘さんのブログは、ラスト40行ぐらいで結論がグイーッと折れ曲がるんですよね。
これが、橘さんの本が、いまいちメジャーにならない原因だと僕は思うんですけども(笑)。
・・・
「農業がもたらした異常な環境に直面した人類は、それに適応できるように自分自身を品種改良した」と。
つまり農業って言うのは、人類社会の中では異常な事態だったんですね。
さっき言ったように。
それで現代の進化論が提示する仮説では、現代人は家畜化された人であるというふうに言われていると。
現代社会において経済的な成功を手にしたのは、自らを家畜化した人種であると。
逆に言えば、アフリカ人やアボリジニは家畜化されていない。
白人をチワワ、アジア人をダックスフントとするならば、彼らは狼なのだ。
そんなふうに言われています。
だいぶん前にハラリがサピエンス全史でも紹介したとおり、穀物によって人類は家畜化されたと。
つまり本当の人間らしい人間は、元々あった人間らしい人間っていうのは、小麦の栽培には向いていないために間引きされてですね。
おとなしく集団生活に向くように家畜化された人種だけが生き残ったと。
だから白人・アジア人っていうのは、その家畜の末裔。
僕らは家畜の末裔で、だからIQテストの点数が高いのは当たり前だと。
IQテストっていうのは、実は “どれぐらい上手に家畜になれますか?” テストですからですね。
黒人のテストの点数が低いのはですね、家畜化が進んでなかった証拠なんですね。
で、「人種・民族によって生来の違いがある」っていうのは科学的に証明されたんですけども。
しかし、それの解釈は、「これから有利なのはどっち?」っていうのは、誰にも言えないと。
なので、「進化した」とか「遅れている」とか「文明的」とか「野蛮」と決めてはいけないというのが全般の結論なんですけども。
この記事、ちゃんと読んでも、わりと間違えるんですよ(笑)。
で、わざとじゃないんだけど、そういう錯覚を生むと。
それで理由は何かっていうと、何でこんな事になるのかっていうと、“橘玲” という書いた人 本人のIQが高過ぎて、読者を置いてけぼりにするからなんですね。
・・・
橘玲のロジックの特徴を書いてみました。
この人の文章の書き方は、だいたいどれを読んでもこうなんですよ。
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Aである。
しかし、Bである。
しかし、Cという人はDという事を言っている。
最近の研究ではEやFという可能性も分かってきた。
しかし、この分野では今は有力なGを忘れてはいけない。
結局、 結論は元に戻ってB なんだけど、僕は Zだと思う な。
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そんな文章が、やたらと多いんですよ(笑)。
多分、これは英語を生業としているからじゃないかと思うんです。
英語で学術論文を書いているネイティブな人とかには、こういうのが多いんですけども。
英語って、関係代名詞で繋いで繋いでいくと、文章が知的に見えるんですね。
なので英語論文とか、あっちのノンフィクションとか、学術の書き手っていうのは、こういう書き方をする人が凄く多いんですよ。
それで橘さんも、そこら辺からの影響を強く受けてるんで、日本語にはそぐわない関係代名詞によって繋がれた、もしくは倒置法とかを使った書き方になっちゃうんですね。
それで結論はもう二つ目のBなんですけども、そこからZっていう仮説を採用するという書き方をしちゃうと。
なので、まぁいわゆるスキーのスラロームみたいなもんですね。
旗の間を抜けてワーッと走るみたいなもんで。
スキーを滑れる人は楽しいんですけども、スキーの初心者とか始めたばっかりの人間にとっては、そんな旗をよけて左右に走るっていうのがどんなに難しいか。
論理と論理の間をくぐって「面白~い♪ 面白~い♪ コッチもあるよな~♪ コッチもあるよな~♪」っていうのを楽しめる人はいいんですけどもですね。
だけど普通の読み手側は、こういうスラロームに疲れてしまうんですね。
これはハッキリ言って僕は、書き手側が、橘さんが楽をしてるからだと思います。
この人の文章を読むときは、結論を読んだように納得しちゃうので注意してください(笑)。
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いう通り、何行か読んだだけでつまらない文だという結論に飛びついてしまうという作者の術中にはまってしまった。
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