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「ダーウィンの進化論が巻き起こした大混乱と、降霊術ブーム」
『幽霊を捕まえようとした科学者たち』で書かれているんですが、19世紀の後半、イギリスでは科学と宗教が混乱してました。
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これがねえ、科学と宗教が対立してたんだったら訳が分かりやすいわけですよ。
迷信の宗教と論理の科学みたいなもんで、善悪もはっきりするじゃないですか。
そうじゃなくて、関係が混乱してたんですね。
で、なんで混乱してたかって言うと、元々 科学っていうのは自然の法則を発見することで神の叡智を証明しようとしていました。
神の存在を証明するというようなもんです。
だから、メンデルにしても、誰にしても、昔の科学者っていうのは、牧師さんとか神父さんが多かったんですね。
なので、19世紀の当時、イギリスのケンブリッジとか、オックスフォードの自然科学の教授たちから、初めて “サイエンティスト” っていう言葉が生まれました。
というのも、それまでは科学をする人とか、マン・オブ・サイエンスとか色んな言われ方したんですけども。
「アートをする人間がアーティストなんだから、サイエンスする俺たちはサイエンティストじゃねえか」ってふうに言われて、サイエンティスト、科学者っていう、人種と職業が初めて生まれた時代でもあったんです。
この時代、ケンブリッジとかオックスフォードの一流の大学の大学教授は、全員英国国教会、イギリス独自の宗教なんですけど。英国国教会の聖職者でもあったんです。
つまり、神父さんクラスの司教クラスの人だったんですね。
これ、すごい時代ですね。
大学の教授イコール聖職者であった時代だったんですけどもですね。
マジな話。
それを引用することとか、あと、あれはもう本当に誰が読んでもそれを認めざるをえないものすごい膨大な証拠と証明で書かれたので、当時のイギリスの科学界はダーウィンの進化論を否定することすらできなかったんですね。
匿名なんだけど、「あれは、こういうふうに使えるよ」とか、「ここの部分の証明にもなって、すごくいい」っていうようなことを言ってて。
で、じつは「人間の祖先は猿」っていう事は、ダーウィンは書いてないんです。
ダーウィンも大学の教授ですから、それがどんなに危険なことか分かってるんですね。
ただ『種の起源』では書いたあらゆる生物は進化する。そして生き残った生物が──適者生存の法則ですね──がさらに次の子孫を残すっていう、この原則は科学者として曲げられないんですけども。
「人間は猿から進化した」っていうことは1行も本当に書いてないんです。
ところが当時の科学者たちは色んな世界各国の国で見つかった類人猿たち、オラウータンとかチンパンジーとかそういうのを、いっぱい資料持ってるから、もう当時の科学者は誰が読んでも「あ、人間の祖先は猿だ」って分かったそうなんですね。
実は、そうすりゃあ混乱は無かったんですけどもですね。
でも科学者たちはみんな気がついちゃったんで、『シン・ゴジラ』を見た時の評論家と同じで、みんな言わずに言られないんですね。
「ということは人間の祖先は猿か」とか「ダーウィンは人間の祖先は猿だと言ってるぞ、けしからん」って言われながらも、それは書いてないんですよ。
書いてないんだけど、分かっちゃったからみんなでガンガン書いてしまったもんで。
「人類の祖先は猿」っていうのが一般の人にもばれるような事態になっちゃったんですね。
なくなっちゃうんですね。
倫理の根拠というのは変ですけど。
人間はなぜ善なのかとか、人間はなぜ自分の欲望を捨てて、功利主義と違う方向ですよね、そうでなくて利他的な行動、他社にとって良い行動ができるのか、道徳的な行動が出来るのかという。
それら全ての根拠を──今のような社会科学とかがないので──神から創られた特別な存在、だから獣と違うんだっていう説明でやっていた宗教観が全部崩れちゃったんですね。
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