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「岡田斗司夫が選ぶ歴代アニメベスト10」
今の最新の作品を見て、「どうだ! こんな作品も見てるんだ! 俺って流行に遅れてないよね? 俺ってオタクの仲間だよね?」という形で「今」を過剰に入れたがる。
それに対して、氷川竜介さんとかは違うんです。
……いや、もちろん、氷川さんも最新の作品は見てるんだけども。
最新のものを見過ぎたあまり、この間、「いい加減にしろ!」と家族に怒られたそうだけども(笑)。
最近のアニメを3本立て続けに見てたら、そのどれもが同じ時期に始まった作品だったもんだから、3本とも同時に第10話に入って、一斉に「過去の因縁話」をやったそうなんですね。
で、「そんな回想シーンだけの回を3つも見せられて、嫁さんと娘に怒られた」ということを、この間、氷川さんが書いてたんですけども(笑)。
まあ、だいたい若手の評論家とか、ちょっとブイブイとイキってる感じの人は、今の作品を挙げたがる。
それに対して、俺みたいなオッサン評論家は、どうしても昔の作品を挙げたがる。
もう、みんなも予想してた通りの『ガンバの冒険』などを挙げたがる。
なぜこういう作品を挙げたがるのかというと、「説教したくなる」という感覚に近いんだけど、どうしてもひとこと言いたくなってしまうから。
なんかね、「自分の好みだけではいけない! 自分が受け継いだバトンを後ろの人に渡さなきゃいけない!」って感じになっちゃうんだよね。
これはね、本当に年齢が上がっていかないとわからないことなんだろうけど。
つまり、「1年生の時にはあんなに反発していた正座みたいなしきたりなのに、2年生の後半になる頃には後輩にやらせるようになるのか」に近いんだ。
「ああ、これしかないんだ」とか、「自分たちが受け継いだ流れというのを絶やしちゃいけないんだ」という義務感みたいなものが出てくる。
そして、おそろしいもので、たかだかアニメの評論程度をやっている俺らにしてみても、それは同じなんだ。
何十年も前のアニメと今のアニメを見比べたら、今のアニメの方が、スピード感があって面白いし、逆に昔のアニメをDVDで見たら、思っていたよりトロくて、タルくて、シンドいんだよね。
ギアをどこかで変えないと見れないんだけど。
それでも「これは紹介しなくちゃな」みたいな、義務感のようなものがあるんだ。
だからこそ、こういうアニメのベスト10みたいなものをいろんな人に選ばせると、そういう温度差みたいなものが見えて面白いんだけどね。
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