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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第九話「最後の聖戦」のひみつ」
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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第九話「最後の聖戦」のひみつ」

2014-09-13 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/9/13
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    おはよう! 岡田斗司夫です。

    大好評の『アオイホノオ』YM9YwQ、第九話は見て頂けましたか?
    東京は金曜の深夜、大阪は月曜の深夜。
    その他、こちらの局でもやっています。http://goo.gl/ebVBOj

    ドラマを見ながら、僕が書いた解説をお届けします。


    これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。

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    ・「岡田トシオの頭のおかしさに驚愕する庵野たち」
    岡田の学生時代のニックネームは完全な放送禁止用語だったから、オープニングのナレーションでここまで言われても仕方ない。ただし、本人的には「君ら常識 的なことしか考えてへんから、常識的なことも出来へんねん。常識以上のこと考えて、はじめて常識程度のことが出来る。頭のおかしいこと考えて、はじめてす ごいモンが出来るねん」と考えていたことを付け加えておこう。

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    ・「15ページじゃなくて、31ページにしよう」
     週刊少年ジャンプに限らず、売られている雑誌や本にはすべて法則がある。それは「8または16または32の倍数でページ数が決まる」ということだ。
     雑誌には「4色カラー折り」「2色折り」「モノクロ折り」が混在している。折り、とは大判の紙を2回とか4回とか折った状態のこと。大判用紙を1回折れ ば、表裏で4ページ、2回折れば8ページ、3回で16ページになる。これを印刷業界では「折り」と呼ぶ。雑誌の目次を決めるときは、モノクロやカラーペー ジの順番を決めるために「折り」で考えることになる。
     モユルが最初に描いたマンガは15ページ。これに広告やお知らせの1ページを足せば16ページ折りになる。ホーリィが提案したのは、もっと大きな32ページ折り(広告1ページをマイナスして31ページ)をモユルに描かせようということ。

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    ・諸星大二郎とか星野之宣
     どちらも手塚賞を授賞した作家。
     諸星は「誰の影響も受けてないような、上手いのかヘタなのかわからないけど、異常なまでの作家性と世界観」でマンガ界に衝撃を与えた。いわば水木しげるタイプの作家。
     星野は「マンガなのかデザインイラストなのか見分けつかないほどの端正な画風と、複雑な設定」でマニアを唸らせた。いわば士郎正宗タイプの作家。
     1974年に諸星、75年に星野がそれぞれ手塚賞を取ったので、しばらくは手塚賞は「あれぐらいすごい新人でないと取れない」と怖れられた。

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    ・作画している赤井
     実際にアニメを作画している人間は、このように「座って黙々と描く」場合は少ない。自分の描いている動きを脳内で確認するため、「作画しているキャラと同じ動き」をする。
     つまりこのシーンの場合、赤井は「コップを持って、ニッコリ笑う」という動作を何度も自分で繰り返しながら、作画しているのだ。
     隣で見ていると、実はかなり気持ち悪い(笑)

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    ・核シェルター
    岡田邸の核シェルターは、実際には放射能には対応していない。放射能に対応する核シェルターには「1.衝撃と熱に耐える装甲」「2.電源用の発電機と燃 料」「3.空気循環フィルターとポンプ」「4.備蓄の食料と飲用水」が必要。岡田邸のシェルターには2と3がなかった。これは岡田の父・博が「核戦争で一 番怖いのは暴徒。ウチみたいに外から見ても金持ちまるだしの家は暴徒に襲われるのが一番怖い」と考えたため。

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    ・期限切れの保存食
     ちなみに実際に備蓄されていた食品で、庵野と岡田が盗み食いしていたのは「ポッカ缶コーヒー」「ハーシーの業務用特大チョコ」「とよすハイサラダ」。
     業務用チョコはタテ30センチ横60センチ厚み3センチぐらいあって、備蓄棚には木槌が常備されていて、それで叩かないと割れなかった。

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    ・「君はほんま描くだけの人間やなぁ」
     庵野は「アニメのみに打ち込む人間」だけど、「描くだけの人間」ではない。
     アニメの上映会があると遠くても出かけるし、しょっちゅう作画をサボってビデオでアニメを観ていた。マンガも大量に読むし、SF小説だって読んでいた。

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    ・「筆で描いて動かすっっ!」
     TVアニメ「タイガーマスク」「カムイ外伝」や「佐武と市捕物控」などから影響を受けまくった焔モユルの「荒い画風でダイナミックに動かしまくりたい!」という狙いは、けっきょくこの時代のアニメ界では主流にならなかった。
     僕が庵野たちと作ったアニメ会社・ガイナックスから独立したスタッフたちが2013年にアニメ「キルラキル」を作り、ようやっとモユルの目指したアニメは完成した。
     もちろん原作者・島本先生は「キルラキル」に狂気。札幌まで打合せに行った岡田にいきなり第一話を見せる、という「おもてなし」をしてくれた。

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    ・「アニメ用紙を使っていない!」「次からはその方法を真似させて貰うがな!」
     このシーンのウラ話、先日のスタッフ座談会で赤井孝美本人が語っていた。
    「島本君が僕の絵を覗きながら聞くんですよ。『そのやり方だったら、下の絵が透けて見えちゃうんじゃない?』って。たしかに透けるけど、それが”前の絵の残像が見えてる”ぽくなるから逆に効果的だ、って説明してあげたんですよ」
    「そしたら島本君、次回のファーピク作品で真似してきて、なんと”止め”シーンでも下の絵が透けてるんです!止めシーンに残像あるわけないじゃないですか!あいつ、本当にアホでしょー!」
     その場の福田監督も武田さんも山賀君も大爆笑。ああ、島本和彦ってなんて可愛くてバカなんだろう!!

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    ・にゃんにゃこタイガース
     冒頭のネコの作画は「セリーグAクラスに上がろうとするけど、すぐにずり落ちてBクラスになるタイガース」という意味。当時のタイガースファンの挨拶は「今年のタイガースはひと味違うで!」だった。つまり「昨年は弱かったけど、今年は強いぞ」と毎年、言い続けるわけ。
     春先は優勝を夢見て、夏前はAクラス残留を希望し、でも夏が終わる頃にはBクラスに落ちている。このタイガースの哀愁を描いているわけだ。
     
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